2014/09/30

保冷バッグ


 パリからやって来る友達に「何が欲しい?」と聞かれると悩んでしまう。あれもこれも欲しい。いつも使っているクリームがもうすぐ切れそうだなとか、あそこのお店の紅茶が飲みたいなとか、考え始めたらきりがない。高くても日本で買えるものは候補から外して、なるべく小さくて重くないものがいいかな。買えるお店やブランド、メーカー名があやふやなものは、友達が探すのに困ってしまう。
 いろいろ欲しいものが、頭の中でぐるぐる巡るけど、でも行き着くのはいつもFromage(フロマージュ)。もちろん日本にもおいしいチーズはあるけれど、やっぱりフランスのものは種類も豊富でおいしい。ワインも、と言いたいところだけど、そこはグッと我慢、我慢。
 あとはTarama(タラマ)とか。食べるもの、特に要冷蔵のものは涼しくなってきた頃じゃないと、ウチにやってくるまでドキドキものだ。
 もし、フランスで困った時は、冷凍食品専門店 ”Picard”(ピカール)に行けば、保冷バッグが売られているので、それに入れて持って帰ればよい。
 
 フランス全土にあるピカール。おいしいものがたくさんあるフランスでは、あまり必要なさそうだけど、フランス人の友達の冷凍庫にはポテトやピザ、アイスなどのピカール製品が常備されている。ちょっとしたお誕生会のケーキや友達が来た時のデザートも人気がある。最近では、お寿司や焼き鳥もあって、けっこう人気があるらしい。おいしいかどうかは、わからないけど。
 話が逸れたけど、保存に不安なものを持って帰りたい時は、ピカールの保冷バッグを買えばよいかな。

2014/09/29

Calvados


 日本には漬けるという、おいしい習慣がある。漬物、梅干し、らっきょう。ものによっては何十年も漬け込んで、深い味を楽しむ。フランスにもピクルスとかあるけど、日本で言うところの浅漬けだ。毎日、糠を混ぜたり、そんなことができるのは日本人ならではかなと思う。
 
 フランス人が年月をかけて楽しむのが、Calvados(カルヴァドス)。ノルマンディー、カルヴァドス地方のりんごで作られた、シードルを蒸留したお酒。ワインを蒸留して作ったものがブランデー、カルヴァドス地方で2年以内のシードルを蒸留して作られたものだけが、カルヴァドスと呼ばれる。度数が40度もあり、少しずつ、小さなグラスに入れて飲む。
 さて、フランス人はこのカルヴァドスを大切に戸棚に寝かせている。飲み頃は10年くらいらしいけど、20年、30年、さらに50年ものとかも大切にしまってある。とにかく、コクがあって甘みも強く、飲んだらぐっすり眠れそうなお酒。これを戸棚から出してくれるフランス人の顔は、大切な宝箱を開ける子供のようでかわいい。大切な年代物のカルヴァドス、味わって飲まなきゃ。

2014/09/28

正義


 フランス人は常に主張する。自分が自分が、じゃなくて、これでいいのか、といった正義からだ。それは振りかざす正義ではなく、沸々と湧き出てくる、みなぎる正義なのだ。何とも、潔く、そして清々しさ、さえも感じるくらいだ。
 
 フランスではManifestation(マニフェスタシオン)が頻繁に起こる。みんなでデモ行進を行うのだ。フランス人の友達によく言われる。「なぜ、日本人は主張しないのか」と。。なぜ、言いたいことがあっても、みんなもそうだから、自分よりもつらい人がいるからと、すぐにガマンするのかと聞かれる。ガマンしなくてもいい、みんなで主張して戦えばいいのにと嘆く。確かにそうだと思う。そんなのは美徳でも忍耐でもない、ただ何もしていないだけだと。
 そう、小さなことからでいい。まず、家の中で、友達同士で、仕事の中で。わがままでなく、自分の意見を持って生きていけたらいい。だから、時々フランス人と語り合いたくなる。背筋がぴーんと伸びる気がして、がんばれるから。

2014/09/27

フランス好き




 毎日、フランスについてブログを書き始めて200日。改めて、やっぱりフランスが好きだなぁと思う。かっこよくて、おしゃれなフランスよりも、気取らない日常のフランス、フランス人が好きなんだと思う。かっこよくて、おしゃれなものは東京のほうがたくさんあるし、他の国だっていいわけで。
 
 あとは、フランス語も好きな要因のひとつかもしれない。しゃべれるようになる前から、映画などで聞くフランス語の響きが心地よかった。初めてフランスをひとり旅で訪れた時、数ヶ月間、片言のフランス語で過ごした。しゃべれなくてもあんなに楽しかったのだから、しゃべれてたらもっともっと楽しかったのかな。
 暮らし始めた当初、きっと住んでいればすぐにしゃべれるようになると軽く考えてた。でも学生時代に学んでいた英語と違って、耳からフランス語がすんなり入ってこなかった。どれもこれも何を言ってるのかわからないのだ。これはまずいと思い、3ヶ月だけ語学学校に通った。でも当たり前だけど、先生もフランス人。初心者クラスだったのだけど、ヨーロッパ圏内の人は単語や文法が似ているからか、あっという間に理解できている。私は悪戦苦闘しながら、先生の言っていることを書き留め、家に帰って復習して、を繰り返した。
 その後は、日本語を習いたいフランス人とéchange(エシャンジュ)、私が日本語を教える代わりにフランス語を教えてもらったり、どんどんフランス人の友達ができて、意思の疎通が図れるようになった。今では、日本でもフランス語がたくさん使われているし、フランス映画の公開も増えてきて、フランス語の馴染みが深くなってきた。あ〜、やっぱりフランス語、好きだなぁ。フランスの好きな人たちを募って、フランス語の授業、やっちゃおうかな。












2014/09/26

見分け方


 フランスの地方への旅は、ほとんどが友達を尋ねて行くことが多い。友達の実家だったり、友達の兄妹の家だったり。時には家族だけでどこかへ行くこともあるけど、行き当たりばったりの旅だ。

 Nantes(ナント)のClaudeの家を訪ねた帰り、ふと思い立ち、どこかに行こうということになった。パリまでTGVで戻る途中、まず、Angers(アンジェ)という町へ。ほとんど何も知らないまま行ったのだけど、こういう時はまず、町の地図をもらって、おすすめの場所やおいしいものを聞く。小さな町はのんびり歩いても、2, 3時間で回りきれてしまう。正直、小さな町や村は同じように見えてしまうのだ。でも、そんな時のほうがのんびりと過ごすことができて旅って感じがする。
 パリは東京で過ごすよりはもちろん、のんびりと時間が流れているけど、見たいものもやりたいこともあり過ぎて、欲張りすぎると目が回りそうになる。日本の田舎がそうであるように、フランスの田舎の時間は止まっているかのようだ。Caféに入ったら最後、立てなくなってしまう。そんな時、だいたい誰かに声をかけられる。最近はほとんど、間違われることはない。少し前までは「ニーハオ」とか平気で言われてたけど、フランス人曰く、アジア人の中でも日本人だけは見分けられるらしい。私もフランス人は、遠くから歩いてきてもわかる。歩き方? 身振り、手振りの仕方? うーん、不思議だ。

2014/09/25

お米


 この間、久しぶりにタイ米を食べて、フランスで食べていたごはんを思い出した。日本米は手に入りにくく、手に入れられても値段が高い。日本のものは、日本で買う値段の約3倍だから、なかなか手が出せない。なので、スーパーに売られているお米をいろいろ試した結果、わりと日本米に近いイタリア米をよく食べていた。日本米と同じく、丸い形でしっとりとした食感だ。これに油を2,3滴と塩をひとつまみ入れれば、けっこうおいしくなる。贅沢したいときは昆布も入れる。和食を作るときはイタリア米、カレーなどのスパイシーな料理のときは、タイ米にする。
 フランス人も時々はごはんを食べるので、炊飯器を持っている人も多い。でも私は鍋、それもホウロウ鍋で、しかも電気コンロで炊いていた。『はじめチョロチョロなかパッパ、、』と言うけど、時間や電気の調節などなど、どうやって炊いていたか記憶にない。でも、毎回、おいしく炊けていたから不思議だ。
 長くフランスに暮らす、香港人の Tai-kiuさんはごはんを炊く時、もち米を少し入れるとよいと言っていた。お米に対して、1, 2割入れるともちもちでおいしいらしい。みんな、それぞれに、安いお米でもおいしく食べられるように工夫していた。
 
 そういえば、一家で北アフリカからパリへ移住して来た家族の家に遊びに行き、食事をごちそうになった時、大皿の料理やごはんをみんなで囲んだ。手で食べるのだけど、一口ずつ口に入れるのは、ほんとに難しい。みんな、器用に食べることができて、真似しようとしてもできない。料理に合っているお米というだけでなく、アフリカ料理で食べるお米もタイ米と同じで、ちょっとパサパサしていて、手にくっつきにくい。日本米なら手にくっついて食べにくいだろうな。何か、うまくできてるな、というかそういう風に世界はまわっているんだな、すごいっ。

2014/09/24

じっとしてる猫


 猫も小さい頃から、散歩のクセをつければ、きちんと歩くようになるという話を聞いたことがある。ポチを飼い始めた頃、リードをつけて何度か散歩に出かけた。拾ったポチはもうすでに大きかったからか、それとも、しばらくの間、野良として生活していたからか、まっすぐ歩いてくれなかった。植木や草むらを見つけると入り込もうとして、それを阻止しようとリードを引っ張ると「シャーッ」と威嚇してくる。あんなに温和なポチが、そんな風になってしまうなんて。。この挑戦は数回で終わった。

 パリの街角でかごに載せた、じっと座っている猫を見せ物にしてお金をもらっている人がいる。あまり好きでないが、確かに逃げないでじっとしているなんて、やっぱりすごい。
 そういえば、ポチが通っていた動物病院の受付にも、じっと座ってぴくりとも動かない番犬ならぬ番猫がいた。猫に限らず、犬やいろんな動物がやってくるのに、まったく諍いにならない。ほんとに置物だと思われていたのかもしれないと思う。
 そんな躾がほんとにできるのだろうか? フランスでは、 肩に猫を載せた人もよく見かける。あんなにじっとしていられるなんて、どう考えても普通はムリだ。日本でも猿や鳥を肩に載せている人が昔いたけど。そもそも、ポチは太っていたから肩に載せるのはムリだったな。
 

2014/09/23

小腹が空いたら


 フランスに行ったら、誰もが何度でも通いたいBoulangerie(ブランジュリー)。まず、食べたいのは”Croissant au beurre”『バターたっぷりのクロワッサン』。濃厚なバターの風味と外はサクサク、中はしっとりの食感で、何個でも食べれてしまう。
 そして、Pain au chocolat(パン オウ ショコラ)は甘いパンの王道だ。散策の途中、疲れて小腹が空いたときはパンオウ ショコラが食べたくなる。フランス人にも大好きな人が多いからか、味は落ちるけど、大袋に入ったパンオウ ショコラがスーパーにも売られている。
 
 最近は日本にもおいしいパン屋さんがたくさん増えて、フランスと同じくらいと言わないまでも、あそこのあのパンはフランスのに負けてないよねとか、フランス人に言わしめてるパンもたくさんある。要するに好みなんだと思うけど、フランス人のお墨付きパンもけっこうある。おいしさは、作り手や材料によってもずいぶん違うのだろうけど、気候、湿度によっても違うのだと思う。クロワッサンだって、日本とフランス、味はほとんど同じでも、外がサクサク、が長続きしない。パリから戻る時、せめて一個でも持って帰りたいのだけど、おいしさが保てる自信がないから断念してしまう。
 
 普段、そんなおいしいパンに囲まれているフランス人。みんな、日本に滞在中、コンビニで手軽に買えるおにぎりがお気に入りになり、パンよりおにぎりだよね〜と言ったりする。ちょっと小腹が空いた時はコンビニのおにぎり。さて、中身をわかって買えているのか、疑問だけど。。ちなみに梅干しが食べれるフランス人、私はAliceしか知らない。

2014/09/22

Vétérinaire


 我が家の猫、ポチはフランスから日本にやって来た。パリのアパートの中庭で拾ったのだけど、しばらくして病気が見つかった。腎臓と尿道に石が見つかったのだ。生まれて初めて猫を飼った私は、トイレでしゃがみながら鳴くポチを見ても、病気だとは思わなかった。春だったし、発情しているのかと。。
 ある日、この世のものとは思えないほどの声で鳴くポチに、やっと異常を感じて病院へ駆け込んだ。Vétérinaire(ヴェテリネール)『動物病院』へ行くと、受付のフランス人にこっぴどく叱られた。「何でこうなるまで放っておいたの」今でも忘れられない、すごい剣幕だった。
 はじめ怖かった受付の人も診てくれた先生もやさしく、入院を2度ほど繰り返したポチはその後、家に戻ることができた。でも、一度病気をするとこちらも敏感になり、ちょっとしたことでビクビクしてしまう。
 ある日、ポチが涙を流していた。えっ、猫って泣くんだっけ? 悲しそうにも見えるし、つらそうにも見える。すぐに病院へ連れて行ったら、涙はすでに止まっている。先生に説明して診てもらったけど、これと言って悪いところはないらしい。「何か変わったことはなかった?」普段と変わらなかった。「ごはんを作ってたら、急にポチが涙ぐんでて。。玉ねぎを切ってたんですけど、まさか。。」「あっ、それだ」
 猫に玉ねぎを食べさせるのはよくないとは聞いてたけど、人間と同じように玉ねぎで涙が出ちゃうなんて。。
 
 ちなみに日本では、ここ最近できた動物用の保険がフランスではすでにあった。何度も勧められたけど、拾った時、もうすでに4歳ぐらいと言われていて、保険代もけっこうな金額だったのでやめた。こちらに帰ってからも何度か病院へ連れて行ったけど、それ以降、晩年は病院にかかることもなく、元気に過ごしてくれた。それもこれも、あの時、こっぴどく叱ってくれた受付の人のおかげだなとも思う。C'est gentil!

2014/09/21

La choucroute


 だんだん秋めいてくると、温かいものが食べたくなる。例えば、鍋、おでん、あったかいスープ。フランスだと、Pot-au-feu( ポトフ)もそうだ。牛肉やソーセージ、野菜を塩や黒胡椒、香辛料を入れ、じっくり煮込んだスープ。冷蔵庫の中に余っている野菜で簡単に作れて、パンにも合う。大きな鍋で作っておいて、お皿にたっぷり入れて、マスタードをつけて食べる。ちょっとしたおでんみたいな感じだ。
 
 Marieのブルターニュの実家を訪れた時、Papie(パピー)とMamie(マミー)の結婚記念日をみんなでお祝いした。パピーとマミーはMarieのパパ、ママだ。
 マミーのリクエストで"Choucroute”(シュークルート)をお祝いの食事に決めた。シュークルートとは、白ワインと香辛料で発酵させた、たっぷりのキャベツとソーセージ、ベーコンを煮込み、ジャガイモをつけ合わせたもの。元々はドイツの伝統的な料理で、アルザス地方でも食べられている料理。見た目は大雑把な料理に見えるけど、これがちょっとクセになる味。ビールにもワインにも合う、おふくろの味かな。大皿にたっぷり作っておいて、翌日、味のしみ込んだシュークルートを食べるのもクセになる。
 夏でも朝晩はかなり冷えるブルターニュにぴったりな料理だ。

2014/09/20

サンダル


 フランスへ行くと、滞在中に何度も洗濯をする。日本では、毎日、少なくとも2回は洗濯する我が家。旅行中は息子のサッカーのユニフォームがないとは言え、家族3人分、あっという間に洗濯ものが溜まってしまう。
 帰りに荷物が増える分、持って行く服は必要最低限だから、まめに洗濯しなきゃならない。パリにいる間は大丈夫だけど、地方に行く時は大変だ。旅先の友達んち、ホテルでもせっせと洗濯に勤しまなきゃならない。さすがにジーンズを夜洗って、朝には乾いてるってことはないけど、下着やTシャツぐらいは大丈夫。湿度の低いフランスならではだ。
 
 さて、いつも考えるのが靴。一ヶ月、一足は心許ない。歩き回るのはわかっているから、履き慣れた楽な靴がよい。でも、フランスの石畳を歩くと脚が疲れやすく、靴も傷みやすい。ぺったんこがよさそうだけど、地面から足が近いと疲れるのが早い。
 夏はやっぱりサンダル。この年は、パリへ向かう2, 3ヶ月前に買って日本でずいぶん履いた、太めのヒールのサンダルを持って行った。5cmほどのヒールだから、石畳はちょっと注意が必要だけど、慣れちゃえば平気だ。
 この年、かなり暑く、もう一足のコンバースが暑すぎて履けない。訪れたAlsace(アルザス)は猛暑で、38℃を越える日もあった。毎日、持って行ったサンダルを履き続け、その結果、皮革だったため、汗で見るも無惨な姿に。。歩き方も気をつけて、お気に入りの靴だったのに。。夏の旅の靴選びは要注意。あっ、しかも、アルザスの村から村に行くためにぶどう畑も歩いたんだった。。ちょっと反省。。

2014/09/19

Défilé


 フランス人、すぐに地べたに座りたがる。もちろん、椅子生活に慣れているから、椅子がある場所ではそんなことはしないけど。。
 本が売られているFNACでも、地べたに座って何時間でも本を読んでいる。結局、買わずに帰って行く人も多い。店内でもそうだけど、誰かを待っているのか外でもお構いなしで、どこでも座ってしまう。そうそう、だからなのか、出かける時には、汚れても気にならない恰好をしている気がする。突然、ピクニックも行くし、どこでも座れる服が便利だ。
 
 もうすぐ始まるパリコレには、座って汚しちゃいけないような服を着た、おしゃれな人たちで町は賑わう。
 暮らしていた頃、何度か観に行ったけど、どこからやって来て、どこへ帰って行くのかわからないおしゃれな人々で、どこの会場も溢れかえる。もちろん、ショーを鑑賞できて興奮もするし、まわりの人たちを見て、気持ちも上がる。でも、でも、終わって日常に戻った時のパリの町の風景とのギャップもすごい。これもまた、パリの魅力だと私は思っている。
 
 ちなみにファッションショーは業界用語で、”Défilé de mode”(デフィレ ドゥ モード)、話す時には略して”Défilé”(デフィレ)と言う。”Défilé”の元々の意味は、行進とか行列の意味。バレエでもオープニングで登場することをこう呼ぶ。非日常のデフィレは会場に入れなくても、町がすでにデフィレのようでワクワクする。

2014/09/18

Château des Ducs de Bretagne


 Claudeの暮らすNantes(ナント)へ行った時のこと。今は仕事を辞め、のんびりひとり暮らしを満喫しているClaude。少し前まで忙しく働いていたので、転勤でやってきたナントの名所の中でも、行ったことのないところがあったらしく、あまり詳しくないと言いつつ、いろんな場所に案内してくれた。

 ロワール川の右岸に建つ、”Château des Ducs de Bretagne”『ブルターニュ公爵城』はナントを訪れた際にはぜひ、立ち寄りたいところ。私たちもClaudeに連れて行ってもらった。お城をぐるっと囲むように堀が巡らされていて、建物も敷地も雄大だ。城内に入れば、堀に出られるのだろう。きれいに手入れされた芝生の上には、のんびりとくつろぐ人たちがいる。何だかのどかな光景だ。よく見ると、人々がくつろいでいる場所とは反対のところに、犬のような、でもちょっと違うような動物が数頭。聞けば、オオカミだと言う。夏の間だけ、オオカミを堀の一部で飼っていて、公開していたらしい。ほんとにオオカミだったの? 今は見れるかどうか、わからないけど。。

2014/09/17

実は気の長いフランス人


 フランスでは待てても、日本ではつい待てなくて。。

 今日、テラス席のあるCaféでお昼を食べることにした。店内にいるお店の人は背中を向けていて、テラス席まで、なかなか注文を取りに来てくれない。フランスでなら、こんな時、まっ、仕方ないと思えるのだけど、サービスの行き届いた日本では、ちょっとちょっと〜と思ってしまう。慣れって怖い。。
 フランスでは役所関係、郵便局、どんなところでも待たせるのは当たり前、っていうか、ほんと、あのフランス人が、みんな文句も言わず、待っているのが不思議だ。仕事中にも関わらず、昨日の出来事やら、今日の就労後の予定をぺちゃくちゃと喋り続けるフランス人。それを忍耐強く、待ち続ける、これまたフランス人。この図がまたまた、おかしい。
 やられて嫌なことはやらなきゃいいのに、自分もやってしまうから文句も言えない。何だか、不合理だけど合理的なのかも。これが日本だったら、客のひとりや二人が怒り出してもおかしくない。イライラしいだけど、実は気の長いフランス人。うん、のんびり行こう。

2014/09/16

席取り


 昨日、注文はレジで済ませる、どこにでもあるCafé に行った。連休ということもあってか、すごい混雑だった。本屋さんの中にあるここは、棟がいくつかあり、注文したものを持って、移動してもいいことになっている。あまりの混雑ぶりなので、席を確保しなければ、注文できても座ることができない。見える範囲に席は見当たらない。違う棟に行くと、若干だけど席があった。さて、困った、何を置いて注文しに行こうかな。私は見落とされそうだけど、いつもハンカチ代わりのバンダナを置くことにしている。まわりを見てみると、財布だけ抜いてバッグを椅子に置きざりにして、違う棟のCaféに向かっている人がほとんど。

 他の国では、もちろんフランスでも絶対にありえない光景だ。百歩譲って、見える場所に席があれば、まだいいけど。。フランスなら、ものの数分でバッグはどこかに消えてしまうだろう。日本でこの光景を何度見ても、慣れない。近くの席でそんな人を見かけた時は、こっそりバッグを見張ってあげている、余計なお世話だけど。。
 だから、パンツの後ろポケットに無造作に入れてある財布を見ると、心配を通り越して怒りを覚える。私でもスッと抜き取れそうだもの。フランスでは絶対にありえない。

2014/09/15

つるつる、すべすべ


 私は石鹸が好みで、顔を洗うのも身体を洗うのも石鹸。ボディソープは苦手で、変な話、一回にどれくらいの量を使えばいいのかわからない。さて、こうなったのはたぶんフランスのせいだ。

 フランス人は、液体状のボディーソープを使っている人がほとんどで、スーパーにはいろんな種類のものが売られている。しつこいようだけど、フランス人はお風呂やシャワーに入るのが、やや苦手。なぜかというと、湿度の低いフランスにおいて、毎日、石鹸でゴシゴシしてしまうと、水分も油分もすっかり摂られ、ガサガサ、バリッバリの肌になってしまう、という言い訳らしい。実際、そうなのだけど。。
 なので、しっかり洗えてしまう石鹸は敬遠され、トリートメント成分たっぷりのボディーソープで洗う。スーパーで売っているどれを使っても、似たり寄ったりで、泡立ちがワルいったらありゃしない。でも、私はキュッキュキュッキュ、しっかり洗えないと気が済まない。だから、泡立てたい一心でボディソープを出してしまい、どれぐらい使うと適量なのかがわからなくなる。。
 フランス人、お風呂やシャワーから出た後も、これまたすごい。しっとりと洗い上げた後はクリームをこれでもかというぐらい塗りまくる。でも、これでつるつる、すべすべを保っているんだから文句はないのだけど。。

2014/09/14

Pain de mie


 フランスには、日本で売られているような食パンはない。食パンに似た、Pain de mie(パン ドゥ ミ)なるものは存在するけど。。パン ドゥ ミは形こそ食パンに似ているけど、薄っぺらくて、焼いてしまうと柔らかい部分までも固くなってしまうパン。私は案外、嫌いじゃないけど、おいしいパンがいっぱいあるから、食べる頻度は少ない。

 あれ、パンドゥミは Boulangerie(ブランジュリー)にあったっけ? たぶん、あったと思うけど、パン ドゥ ミは基本的にはスーパーで買うもの。私も暮らしている頃は、朝食に焼いて食べたりもした。フランス人の家には、ポンと出てくる、ポップアップのトースターがだいたいあり、朝、トーストして食べる人もけっこういる。Caféのクロックムッシュ、クロックマダムはもちろん、家で作るシェーブルショウのサラダにもパン ドゥ ミを使うことがある。でも、決してサンドイッチにパン ドゥ ミは使わない。
 フランス人にとって立ち位置は低いけど、何気に食べられていて、キッチンの目立たないところに置かれているパン ドゥ ミ。チャンスがあれば、トーストして蜂蜜バターがおすすめ。

2014/09/13

美術館の楽しみ


 美術館、博物館へ行く楽しみは、芸術鑑賞だけではない。美術館内にあるCaféはどこも落ち着いた雰囲気でまったりできるし、常設のミュージアムショップに立ち寄ることも楽しみのひとつ。その時、催されている展覧会の関連のものから、書籍まで置かれていてじっくりと見る時間がほしい。

 そこここで個性もあり、必ず覗くのだけど、どこも本の充実さにも驚く。美術館なら絵画の専門書、写真や新進アーティストの展覧会の多い美術館には、写真集やポストカードなどが多く取り揃えられている。
 ポンピドゥーセンター内のショップは広く、写真集、文具や絵本の品揃えもよい。ジュウ ド ポウムのショップは広くはないけど、その時の展示物に添っていて、今欲しいものがすぐ手に入る。特にお気に入りはパレ ド トウキョー内のショップ。今も昔もやっぱりいいと思わせる写真集や雑誌、ちょっと洒落た雑貨が揃う。ここに来れば、ほしいものが見つけられるし、おみやげにも最適なものが見つかる。
 どこの美術館のショップも、ぱっと見ただけでは見つけられないような端のほうに、あまり見かけないパリ散歩のガイドブックだったり、町の書店では見つけられないような掘り出し物が見つかることも。展示を観るより、ここにいるほうが長いときも。。それほど楽しい。
 

2014/09/12

芸術


 フランスの子供たちは芸術に触れる機会も多く、大げさでなく、日常として生活の一部になっている。特にパリの町は、歴史的建造物だらけだし、美術館もたくさんある。小さな子供を連れて美術館へ行くのも普通だし、授業の一環として訪れることもしばしばだ。美術館の絵画の前で、先生の講義を床に座って聞いている小学生の子供たち、デッサンを描く学生たち、すてきな習慣だ。
 
 フランスへ行くと必ず、美術館へ訪れる。今は新しくなったピカソ美術館はこじんまりとした広さと雰囲気も気に入っていて、ピカソは何度観ても飽きない大好きな作品も多く、必ず訪れる。マレ散策の途中、とても落ち着く、お気に入りの場所だ。
 
 息子が高学年になった頃、時間をかけてじっくり観ることのできるオルセー美術館へ訪れた。学校の教科書に載っているような作品を間近で観ることができて、大いに刺激にもなり、きっと糧にもなっていると思う。
 大きすぎて、足を踏み入れることに勇気のいるルーブル美術館。数年前、その頃、ルーブル美術館を題材とした映画が流行っていて、せっかくだから『モナ リザ』を観たいと言い出した。では、ということで、『モナ リザ』だけを目指して、友達 Eliaceと観に行った息子。外で待っていた私に、『モナ リザ』について興奮しながら話してくれた。
 ちなみに、入館料はオルセー美術館もルーブル美術館も、ほとんどの美術館で、どこの国籍でも18歳未満は無料。EU圏などは25歳までの青少年も無料だ。
 こんな環境が芸術を身近にそして、すばらしい芸術家を育てるんだなとしみじみ思う。すばらしい、ほんとに。

2014/09/11

バスの中


 前回書いた、バスについてもうちょっと。
 暮らしていた頃は、メトロを乗り換えて行くより直で行けるからバスに乗ろうとか、天気がいいからバスに乗ろうとか、生活の一部だった。
 でも、限られた滞在の中では、バスばっかりでは移動できない、したいのは山々だけど。。でも、この道は混んでいるとか、この交差点は抜けるのに時間が掛かるとか、ある程度わかっていると突然の何かしらがなければ、バスに乗るかどうか、選ぶのも簡単だ。
 パリは一方通行も多く、細い道だらけなのに、あらま、こんな通りを通っちゃうのねってところをバスが通り抜けて行く。パリのバスは普通サイズのものと、真ん中を蛇腹で繋いだ、約2台分の長いバスがある。このバスにぎゅうぎゅう詰めに乗客が乗っている時は、さぞかし重いんだろうな、と思いつつ、いつも乗るのだけど。。
 パリのバスの座席は進行方向のものと反対向きのものもあって、流れる風景を見ながらバスに揺られていると、ついつい眠りそうになる。日本のように電車やバスで眠るのは、パリではやってはいけないことのひとつ。パリの人たちも絶対に目を閉じることはしない。でも、昼間のパリのバスはちょっぴりウトウトしてしまったりして。
 
 フランスではお年寄りや妊婦さん、身体の不自由な人に席を譲るのは当たり前で、ピアスジャラジャラ、タトゥーだらけの、ちょっとちょっと〜と思うような若者でも、すっと立ち上がり、自然に席を譲る。フランス人のこの身に付いたさりげない思いやりは、ほんとにすばらしい。そうそう、目を閉じたら、席も譲れないよ。

2014/09/10

パリのバス


 パリは交通の便がよく、どこへ行くにも困らない。地下鉄も便利だし、バスもあらゆる道を網羅していて、どんな方法でも行きたい場所に行ける。
 私が暮らしていた頃は地下鉄の駅は暗い雰囲気で、何時であろうと、何だかいやーな感じがした。でも、今はどんどん駅もきれいになり、何だかイメージも変わり、観光名所のあるところでは、何時まででも人が途切れず、遅い時間でも全然怖くない。でも、郊外に近づくにつれ、人も減るし、危険な地域もあるので遅い時間は気をつけたほうがよい。
 
 その点、バスはそんな雰囲気はほとんどない。外から見える、そんな安心感もあるし、女の人率も高い。パリ市内は一律の料金で、バス停には路線も書かれてあり、初めて乗る人にも割と分かりやすい。パリ市内の端から端まで通るバスも多く、時間に余裕があれば、観光バス代わりに乗っちゃうのも手だ。
 基本的には、どこの扉からでも乗り降り自由だけど、乗った時に料金を払うシステム。そして、降りる時はブザーを鳴らす。パリは歩くのも楽しいから、初めて乗る路線でも、バス停の名前がわからなくても、目的地が近づいてきたら降りちゃえばいい。
 ただ、時々困るのが、急に降りろと言われることだ。この先で工事しているとかの理由だったら合点が行く。でも突然「このバスはここが終点です」なんてことも、しばしば。。なぜだ〜、運転手さんの気が乗らないのか、それともガス欠?
 まっ、これもフランス。こんなことも、文句を言いつつ、楽しみたい。
 

2014/09/09

ラーメン


 フランス人はお寿司も牛丼も大好きだけど、ラーメンも同じくらい大好きだ。値段も手頃で、スープもおいしく、麺も具も入っていてボリュームがあっていいよね、とフランス人の友達は口々に言う。

 熱々のスープをググッと飲む、これがラーメンの醍醐味だと思うけど、フランス人は猫舌だ。熱いスープは冷まして飲む。スープをまず、ある程度飲んでから麺にいくので、ちょっぴり麺も伸びてしまう。そして、麺を啜ることのできないフランス人は、レンゲの上に麺を載せて、よく味わって食べる。その丁寧な食べ方はまるで、違ったものを食べているかのようにも見える。私たちが食べる時間の倍以上かけて、スープの最後の最後まで飲みきる姿は、何とも気持ちいい。なかでも豚骨ラーメンは人気があるようだ。
 フランス人に人気がある理由はそれだけではない。お店によって違うけど、自由にトッピングしてもいい、もやしだとか高菜とかをいたく気に入っている。「何でタダなの?」とか言いながら、丼の中にぎっちり載せたトッピングの数々。「そんなに入れたら、スープが冷めちゃうよ」と言いつつ。。冷めたほうがいいんだもんね、一石二鳥。
 トッピング好きな友達のMarieが気に入っていたお店に久しぶりに行ったら、トッピングの無料サービスは終了していた。あ〜、Marie、残念がるだろうな。

2014/09/08

和食


 パリは、いろんな国のおいしいものが集まっている町なので、舌の肥えた人が多い。いろんなものが食べれる環境にあるからか、みんな、好き嫌いも少ない。
 
 ここ数年は日本食ブームで和食のレストランも増え、パリだけでなく、フランス全土で和食が食べれるようになった。でも、私がパリに暮らしていた頃は地方には和食のレストランがほとんどなく、パリにあるレストランも日本人経営でなかったりして。
 そんなわけで、多くのフランス人が寿司みたいな寿司とか、日本では出ないようなものを和食と信じて食べていた。作る人が中国や韓国の人だったり、もちろん、食材も全て揃うわけではないから、しかたがない。とは言え、おそらく出汁を取っていないお味噌汁には味がなかったり、マッシュルームが入っていたり、とにかく日本で食べるものとは明らかに違った。
 そもそも、生魚を食べる習慣がなかったフランス人が、お寿司を食べれるようになったなんて。。食べる習慣があまりないたこは、食べるものじゃないとフランス人の友達に何度も言われ「しらすは何者なの?」と聞かれたり。
 でも、今は、フランスでもおいしい和食が食べられるようになり、日本に遊びに来る友達は、和食に舌鼓を打っている。お寿司も人気だけど、みんな気に入るのは牛丼。やっぱり、肉がいいのね。

2014/09/07

ラベルなしワイン


 最近、ニュースで見た。フランス人はあまりワインのことに詳しくないと。知識がないと感じている人が増えているそうだ。でも、それって普通かなと思う。知識はなくても、味はわかるからそれでいいんじゃないかと。。
 フランスのワインは奥が深い。産地もフランス全土に渡り、その年の天候によって出来も変わってくる。あとは、その人の好みによるわけで、絶対にこれというこだわりはあまりない。もちろん、お気に入りの銘柄や産地はあるけど、日々飲むワインに思い入れや値段はかけれない。普段飲むワインは、1000円前後、何百円って感じだ。もちろん、こだわりの何本かはCaveに保管してあり、とっておきの日に開けるけど。例えば、息子が生まれた年のワインを大人になった息子と飲むために、寝かせてあったりする。
 時々、かなり寝かせたとっておきを飲ませてもらう、そんな幸運に恵まれることがある。年月を重ねたワインは口当たりもよく、重い。
 
 田舎に住む人たちは、ワイナリーから直接、毎年、その年にできたワインを何ℓずつか、分けてもらう。そのためにワインの空き瓶は洗って干して、翌年のために保管しておく。Bergerac(ベルジュラック)のIsabelleの実家でも、Bourgogne(ブルゴーニュ)のFrorenceの家でも、Caveにこのラベルなしのワインがたくさん保管されていた。
 これがちょっと格別な感もあり、ほんとにおいしい。割安だと言っていたけど、こんなにおいしいワインが飲めるなら、毎日、同じ味でも文句はない。
 ちなみに私はどこのものもおいしくいただくけど、友達の家に行く時は、Côtes du Rhône(コート ドュ ローヌ)を選ぶことが多い。悩んだ時は、好きな産地のちょうどいい値段のワインを選ぶのが一番だ。

2014/09/06

A Table!


 「A Table!」ごはんが出来上がった時にみんなを呼ぶ、決まり文句だ。どこにいてもこの言葉でみんなが集まってくる。”ア ターブル”『テーブルに』という、言葉通りの意味だ。とてもわかりやすくて、大好きな言葉。目の前にいない人に向かって言う言葉で、近くにいる人には使わない。これを聞くとみんな一斉に集まってきて、大勢での食事って感じでわくわくする。
 
 そして、みんなが席につくと「Bon appétit!」(ボナペティ)で始まる食事。この言葉は食べる人に対しての声かけで「召し上がれ!」という意味だけど、すてきな言葉だ。レストランではお店の人から、公園やCaféのテラスなど、知らない人からも声をかけられる。おいしいって幸せだと感じるし、シンプルで気軽に言える、こんな言葉はすてきだと思う。
 
 初めて食べるものに関して「おいしくない」なんてことはあまり言わない。食べものに関して言えば、フランス人はかなりのチャレンジャーだと思う。
 おいしい時は、はっきりと「C'est bon!」(セ ボン)と言う。「Pas mal!」(パ マル)『悪くない』は、本来はけっこう良いって意味で使う便利な言葉だけど、友達の料理では使っちゃいけない。ほんとにおいしい時は、口の前で親指と人差し指で輪を作り、口と指を同時に開く。こんな単純なことだけど、自然においしさが表現できれば、もっと食事も楽しくなる。

2014/09/05

Champignon


 もう、夏が終わりに近づいている。今日は暑かったけど、風や陽の射し方がもう、秋の気配だ。
 フランスは秋を感じ始めると、一気に冬がやってくるから、秋を少しでも楽しみたい。フランスはMarron(マロン)がおいしい。秋になると増えてくるのが、焼き栗屋さん。筒状に切ったドラム缶の上に大きな鍋を置き、栗をコロコロ転がしながら焼くのだけど、これがまた、ほくほくしていておいしい。道端で売っているから、買うのにもなかなか勇気がいるけど、秋になるとちょっと食べたくなる。美味しいのは焼き栗だけじゃない。マロングラッセもおいしいし、モンブランも缶やチューブに入ったマロンペーストも。お気に入りのマロンペーストはおいしいうえにパッケージもかわいくて、おみやげにも喜ばれる。
 
 秋の味覚と言えば、Champignon(シャンピニョン)だ。フランス人はシャンピニョン好きが多い。キッシュに入っていたり、肉料理とも相性がいい。
 フランスではキノコ狩りにもよく出かけるけど、毒キノコもたくさんあって、食中毒の危険性も高い。よく、きれいな容姿のきのこには気をつけろと言うけど、こればっかりはわからない。そんな時、フランスでは薬局で食べられるキノコか、そうでないかを見分けてもらえるらしい。まだ、キノコ狩りには行ったことがないので試していないけど。薬局で毒キノコを選別してもらえるなんて、何かすてきだな。

2014/09/04

香り


 フランス人の友達の洗面台には、香水がいくつも並んでいる。その時々で使い分けているのか、それとも、飽きて新しいものを買ってしまうのか。とにかく、香水のかわいい小瓶がいくつも並んでいる。少し前まではエレベーターに乗り込むと、香水の匂いがきつすぎて、つい顔を背けたくなる、そんなこともよくあった。最近は嫌な匂いを感じることも少なくなった。匂いを匂いで隠すためでなく、純粋に香りを楽しんでいる人が増えた気がする。

 そういえば、空港に降り立つと、そこの国を象徴するにおいがする、と言われている。アメリカはハンバーガー、韓国はキムチ、日本は味噌のにおいがするらしい。では、フランスは? チーズだとか、バゲットだとか、いろいろ言われるけど、やっぱりエスプレッソのにおいかなと思う。もちろん、どこの空港でもコーヒーのにおいが立ち込めているけど、フランスはやっぱり、エスプレッソのにおいなのだ。フランスに降り立った時、このにおいを嗅ぐと、ほっとする。
 今でこそ、空港は全面禁煙だけど、ちょっと前までは、フランスの空港に降り立つとタバコのにおいがプンプンしていた。そりゃそうだ。喫煙所じゃなくて、空港内は歩きタバコの人だらけで、吸い殻も空港内にポイッと捨てちゃうんだから。。規則が嫌いなフランス人が、よく空港内禁煙を守っているな、とつくづく思う。これは、ほんとに、私の中の七不思議だ。

2014/09/03

Fromage


 フランス人は、食後に必ず、Fromage(フロマージュ)『チーズ』を食べる。Fromageはかごに入れられていたり、蓋のついた専用トレーに載せてあったり、大きめのお皿に無造作に並べられていたりして、基本的に常温で保存する。
 Marieはいつも、背の高い食器棚の一番上にぽんっと載っけていた。ちょっと暑い日でも冷蔵庫に入れることはない。
 
 フランスの家庭では、何種類かのフロマージュが常時、食卓に並ぶのだけど、これもフランスへ行った時の楽しみのひとつだ。その家によって好みも違うし、季節や気温によって出てくるものも違う。だいたい、3~5種類のフロマージュが用意してあって、食事の終わった順にフロマージュの載った容器をまわしていくのだ。各自、好きなフロマージュを好きなだけ、ナイフで切り分けて、バゲットと一緒に食べる。それぞれの家庭で好みが違うし、種類が同じでもFromagerie(フロマージュリィ)『チーズ専門店』によって微妙に味は違う。ワインと同じで、友達からのウンチクを聞きながら、フロマージュを味わうのも楽しい。すぐにでも、フランスのいろんな友達の家で、様々なフロマージュが食べた〜い。

2014/09/02

代々、受け継がれるもの


 蚤の市やアンティークのお店に置いてある、琺瑯のポットや鍋、ミルクパンなどは、フランスでも割といい値段がついているのだけど、日本で見かけるものはびっくりするくらいの値段がついていたりする。そんな人気の琺瑯製品は、フランスのどこの家にもひとつやふたつ、何かしらがあるけど、ずっと代々使われていたものをそのまま、受け継いでいる人も多い。

 おじいちゃんやおばあちゃん、両親から受け継いだ家を訪れるのは、まるでどこかのお店に立ち寄ったかのようでワクワクする。家の中そこらじゅう、欲しいものだらけだ。
 でも、暮らす人々は当たり前のようにそれらを使う、それが日常なのだ。それらを羨ましそうに眺める私を不思議そうにじっと見つめる。飾り棚、テーブルや椅子もそうだ。壊れたり剥がれたりしても、きちんと修理して捨てたりしない。
 日本に長く暮らしたDanielleもフランスへ戻るため、家具を処分した際「この棚もあのテーブルも高く売れるのに」と、嘆いていた。でも友達に安く分けてあげたり、使ってもらったりして、残念ながらそういうわけにはいかなかったけど。値段はどうであれ、100年以上も前のものたちが海を越えてやって来て、誰かに大切に使われているなんて、すごく不思議だなと思う。ウチにあるそんな大切なものたちは、この先どうなるのかな。息子に託すかな。

2014/09/01

Patrickのタルティーヌ


 フランスで食べた、一番おいしいものは? と聞かれても。。ほんとに困る。大好きなものばかりで、一番は到底、決められっこない。でも、朝食べるタルティーヌは10本指、ううん、5本指に入る。

 バゲットにバターとジャムを塗るだけ。たったこれだけのことなのに、朝一番にこれを食べると元気が出る。
 バターはスーパーで買っただけの、どこのものだっておいしい。フランス人の友達の家の冷蔵庫には、包装紙に包まれたままのバターが堂々と入っている。時折、深々とバターナイフが刺さったままのバターが。
 ある時、バゲットにバターを塗っているとMarieの旦那、Patrickにこう言われた。「バターはこう塗るもんだよ」と。バターナイフを、バターの表面を滑らせるように動かし、バターを削ぎ取るのだ、まるでカンナで木の表面を削るように。何度やってみても、Patrickのようにうまくできない。Patrickは、まるで職人のように薄くバターを削り取る。この方法でバターを塗ると、まんべんなく塗れて、ほんとにひと味違う。バターケースに入っていると、この職人技はできない。包装紙のまま、そして時々ナイフが刺さっているバターが、私の中のフランスのおいしいバターだ。そして、Patrickのタルティーヌが一番、おいしそうに見える。