2015/03/31

サンダル


 また明日から少し、気温が下がるらしい。でも、着実に春は近づいている。今年の夏はいつもより焼きたい気分だ。といっても、何だかんだ言って、ちょっと外に出れば焼けるから、まぁ心配いらないけれど。
 
 友達 Elianeの実家近く、Medoc(メドック)の海岸沿いには、夏になるとヴァカンスでやって来た人々で賑わう。お昼時になるとおいしいものを求めて、屋台やレストランに人が集まってくる。ここは子供たちにとって楽園のようなところだ。アイスやお菓子、おもちゃも売られていたり、ゲームセンターもあるし、ここへやってくるのはワクワクする。
 
 Medocに滞在中は、ほぼ毎日のようにここへやって来た。ちょっとしたサンダルなんかもあり、ビーチサンダルよりもちゃんとしていて、でも手頃な値段のものなのだ。今でもちょっと思い出す、買っておけばよかったなぁ、と。その後、日本に戻ると、ほとんど同じサンダルが 5,6倍の値段がついていた。旅で迷った時は買うに限る。とは言っても、持って帰れる荷物には限度があるし、やっぱり迷うよね〜。
 今は日本で買えないものはないんじゃないかと思うくらい、フランス製品が出回っている。ゲランドの塩がなんと、フランスで買うのと同じくらいの値段で売られていて、ちょっとびっくりだ。そっか、こんなこともあるから買った方がいいのか、どうなのか、迷うな。。

2015/03/30

陽の当たる席


 今日は春を通り越して、夏の日射しの気持ちのよい一日だった。こんな日はテラスのあるCaféでランチやお茶をするのが最高の贅沢だ。

 フランス人もテラス席が大好きだ。暖かい日も暑い日も、少々寒い日でも少しでも陽の当たる場所を求めて席を決める。一旦座っても、陽が当たらなくなると椅子を動かしてまでも陽の当たる場所へ。そこまでしても燦々と陽の当たる場所を求めるのだ。たぶん、これって、冬の間は日照時間が短く、春夏の間に存分に太陽をそれこそ独り占めしたい気分なんじゃないかと。。
 さて、フランス人のマダムの日焼け事情。。どうやったら、あんなにこんがりと焼けるのだろう? まるで日焼けサロンで焼いたかのようにきれいに焼けている。実際、日焼けサロンで焼いたりもするのだ。日焼け=ヴァカンスって図式もあったりして、一種のステイタスなのだ。
 日焼け大好きだし、そんなフランス人の気持ちはよーくわかる。実は今日、テラス席でランチした時、座った側はちょっと影、向かい席はだんだん陽が射してくる。ちょっと羨ましいなと思ってしまった。やっぱり、陽の当たる席が一番。

2015/03/29

川の字


 フランスでは赤ちゃんの頃から、自分の部屋でひとりで眠る習慣がついている。これはフランスだけに限らず、他の国でもそうなのは周知のとおりだ。どんなに眠れなくてもベッドにひとりで横たわっていなければならず、小さな子どもにとっては苦痛では?と、つい思ってしまう。こわい映画やドラマを見てしまった時や次の日、楽しみにしている遠足があって興奮して眠れないとか。。とにかく、どんな状況でも自分の部屋でひとりで眠ることが決まりなのだ。

 さて、ウチの息子は前にも書いたように小さい頃、電気を消して眠るのが怖かった。だからひとりでしかも、自分の部屋でないのにひとりで寝なきゃいけないなんて絶対にありえないことだった。でも、フランス人の友達の家に行くと、息子ひとりのベッドを用意してくれる。それを断るのはちょっと、至難の業だった。理由を言っても理解できないからだ。「いつも一緒に眠るのよ」もわからないし、「こわいって言ってるから」も全く理解できない範疇なのだ。日本の昔ながらの、川の字に寝るなんてもってのほか、想像すらできないことなのだ。
 でも大人になればどんな人だってひとりで眠れるし、電気だって消して眠れるようになる。いいんじゃないかな、日本風の川の字。
 

2015/03/28

古い鍵


 さて、前回書いたMarie-FranceのChambre d'hôteのことをもうちょっと。とにかく、非の打ち所のないステキな家。家具やリネン、置いてある小さな物ひとつひとつ、どれをとっても欲しくなる、そんなものばかりだ。Marie-Franceのセンスの良さとモノ選びのこだわり、そしてそれを引き寄せる力とでもいうのか。。ちょっとした才能だと思う。とにかく、こんなところに住めたら、毎日楽しいだろうなぁ、と羨ましく思う。ここの良さはそんな物たちに囲まれて過ごせるのが心地よいってこともあるけれど、表から見た建物の様と宿泊客の出入りする扉あたり、テラスのある庭からの姿が全く違うのが、何とも言えず、好きだ。

 ふと考えてみると、フランスの一軒家って角度によって全然違う顔を見せる。日本の家ってどこから見ても同じように造っている気がする。バランスがとれて美しいとも言えるけれど、私はフランスの家のこんな意外性が好きだ。これってたぶん、フランス人の感覚なのかなと思う。ここから見た時は後ろに緑が見える、でもこちらから見ると彼方に海が見える。だったら、こんな感じがいいよね、じゃぁ、ここはこうしようと感性で家を作り上げたような、そんな心意気を感じる。
 
 さて、Marie-Franceの家の宿泊客の出入りする扉の横には、大きな紫陽花が咲いている。扉と紫陽花がお互い好き合ってる、そんな感じがしてほのぼのとする。あっ、思い出した。古くて味のある扉だけど、ご多分にもれず、鍵がうまく開かない。鍵穴に古い鍵がうまく回ってくれないのだ。夜中に帰って、静かに入りたいのに結局、Marie-Franceを起こしてしまうことも。。まっ、そんなところも愛すべきところなのだ。
 

2015/03/27

坂道


 
 坂道を下ると海。何だか好きだなぁ。今日、ふだんは海水浴場のあるところを訪れたのだけど、まさしく坂を下った向こう側には海が広がっていた。何か落ち着くなぁと思ったら、そりゃそうだ、私の田舎は瀬戸内海のすぐ近くで、そんな坂道がたくさんあるのだ。

 ブルターニュ地方に行くと必ず訪れる、Plougasnou(プルガノー)という小さな村にも、そんな坂道がある。その坂道の途中に友達Marie-FranceのChambre d'hôte (シャンブル ドット)は在る。夏の間だけ開くここは、ふた部屋しかないのだけど居心地が良すぎて、やばい。。ブルターニュに行くことがあったら、ぜひ泊まってほしいけれど、ちょっと説明しづらいところにある。。


 そうそう、偶然にもフォトエディターの友達Laurenceが、Marie-Franceと知り合いだった。Marie-Franceは以前、某雑誌の編集をしていたから業界つながりだ。でも、それでもやっぱりすごい偶然。

2015/03/26

律儀


 フランス人ってけっこう律儀だ。やってもらったことは同じくらいのことで返そうとしてくれる。

 フランス人の友達が日本にやってくると、行きたい所につき合ったり、改めては行かない観光地に行ったりするのはなかなかの楽しみでもある。日本語が話せる友達はほとんどいないから、私が一緒にいると便利な時もあるのだ。
 さて、私がパリを訪れても、パリに暮らしていたし、とりたてて行きたい場所はない。だから「どこに行きたい?」と言われても、ちょっと困る。どこでもいいよっていうのがお互い一番困るけど。。
 
 数年前、ひとりでパリを訪れた時、フォトグラファーのDanielと夕食を食べに行こうと待ち合わせることにした。その頃、パリのアパートを引き払い、家族でブルゴーニュ地方に移り住んでいたDaniel。ほんとはそこにお呼ばれしていたのだけど、時間的に難しく、仕事でパリに来ていたDanielとだけの再会となった。前の年に日本にやって来た時、我が家で食事したり、一緒に散歩して以来だった。「ブルゴーニュに泊まりに来ればよかったのに〜」と残念そう。「とにかく、どこかに行こう」と言ってくれるのはいいけれど、天気もあまり思わしくなく、春先のパリは寒かった。。セーヌのほとりを歩き、右岸から左岸へと散歩がてら、あてもなく歩いた。いやいや、とっても楽しかったけど、いいのに〜、そんな気を遣わないで、と思わずにはいられなかった。。
 でもやっぱり、フランス人って日本人と気質が同じなのよねぇ。そういえば、Danielは我が家でデザートに出した葛餅をなぜか気に入ってたな。ここも日本人っぽい。

2015/03/25

買い物


 オーディションのためにパリを訪れていたモデル時代、お金がなくて買い物できなかったから、今でもそのクセが抜けないって話をある俳優がしていた。取り立てて好きな俳優でもないんだけど、わかる〜、と唸ってしまった。

 パリに暮らしていた頃、仕事もしていたからお金に困っていたわけではないけれど、余計なお金は使いたくないし、それにその頃、古着が大好きで、蚤の市や古着屋で掘り出し物を見つけることに燃えていた。その分、余ったお金で旅行にも行きたいし、愛猫ポチの病院代もバカにならなかったから蓄えも必要だし。。だから、贅沢はしなかった。それが悲しいかな、今でもそのクセが抜けず、パリを訪れても、ちょっとお高い服や靴に手が出ない。。ブランドの紙袋を持っていると狙われるし、そもそもそんなに欲しいものがないし。。まぁ、荷物も増えちゃうしね〜、とかいろいろ考えてしまう。うん? 今までパリで買った一番高い物って何だろう? 全然、思いつかない。でも、この習性はきっと治らないだろうな。
 
 フランス人の友達に「その服、どこで買ったの? いくらだった?」とよく聞かれる。そんな時、言うのを躊躇ってしまう。東京で買ったちょっとした服の値段はフランス人にとっては案外高く思えてしまうらしく、「Midoriはセレブね〜」と冗談交じりにからかわれるからだ。
 そういえばAliceとEveが日本にやって来た時、買い物はもっぱらGAPやH&Mだった。いやいや、フランスにもあるから〜、と突っ込みたくなる。。

2015/03/24

記憶


 私がパリに暮らしている頃、まだ幼稚園に通っていた姪っ子。小学校に上がった頃、姉が心配そうにこう言った。「なんか、あの子、パリに行ったとか、時々言うのよね」。。どうやら、パリの私の部屋に行ったと思い込んでいたらしい。東京の私の部屋とちょっと混同していたのか、それからもしばらくそんなことを口にしていた。それを聞いて、ほんとに来ればよかったのにね、とよく話した。姪っ子は私のパリの部屋の雰囲気を言い当てて、はじめはほんとにびっくりしたけど。。私が送ったパリの部屋の写真を見ては「ここ、ここ知ってる」と言い続けていた。何かちょっとした "déjà-vu”(デジャ ヴュ)な感じだった。”déjà”は「すでに」”vu”は「見た」という意味。

 息子も覚えてるんだか、そうでないのかわからないけれど、フランスでのことをよく口にする。3歳からフランスに行き始めて、小さかったからか、それが毎年のことだからなのか、いつの出来事なのかわからなくなっている。写真や私たちとの会話での記憶なのか、自分自身の記憶なのかすら曖昧だ。でも変なことは、はっきりと憶えているのよね。お腹がすごく空いていたのに、入ったお店で頼んだものに少しのハムしか載っていなくてイヤだったとか、フランスの救急車やパトカーの音が日本とは違って好きだった、とかそんな記憶がぽろぽろ出てくる。目で見たことよりも耳や口からの記憶のほうが子どもは憶えているのかもしれないな。

2015/03/23

Mont-St-Michel


 フランス人の友達とヴァカンスを過ごすのは、フランス滞在中の楽しみのひとつだ。友達の実家やいわゆるガイドブックには載っていないような小さな村や町を訪れることがかなりの楽しみ。そんな機会はそうそうないし、私たちはほんとに恵まれていると思う。

 それでもやっぱり、パリに暮らしていた頃、主要な地方都市や町にはいろいろ訪れた。かのMont-St-Michel(モン サン ミッシェル)もそう。ノルマンディー地方南部、ブルターニュとの境目にあるSt-Malo(サン マロ)湾上に浮かぶ、あの小さな島だ。写真や映像で見るよりも遥か、目の前に浮かぶモン サン ミッシェルを目の当たりにすると、神秘的で感動する。一度は訪れたいところだ。
 
 そんなモン サン ミッシェルに息子は訪れたことがない。私たちはすでに行ったことがあるし、旅を供にするフランス人の友達もそう、もちろん訪れたことがある。ノルマンディーに住む友達の家からも目と鼻の先にあるし、ちょっと先のほうに見える位置まで行ったこともある。。「モン サン ミッシェルに行ったこと、ある?」と、まだ小さい頃の息子。「ほんの近くまでは行ったこと、あるんだけどね。。あっ、ちょっと向こうに浮かぶモン サン ミッシェルは見たことあるから、行ったようなものよ」なんて言ってしばらくの間誤摩化してたけど。。次は行こう、もっと近くに、ねっ。

2015/03/22

気ままな旅


 旅に出ると、飛行機やホテルではぐっすり眠れない、なんて人も多いと思う。我が家はみんな、まったくの心配いらずだ。特に私は、飛行機に着席して眠りに落ち、離陸を知らないってことも、1度や2度ではない。

 フランスに滞在中は日中歩き回ったり、遊んだり、食べて飲んでばっかりで夜はいい感じに疲れていることが多い。そして、夜もギリギリまで起きていたいから、朝がどうしても早く起きれなくて、遅く起きて昼頃から行動ってこともよくあったなぁ。なんてもったいないことをしてたんだろう。。でも、そんな気ままな旅が私たちには合っているし、だから楽しめたのだとも思う。
 ここだけの話、息子は小さい頃、部屋の電気を消して眠ることが嫌いだった。私たちと泊まる時はへっちゃらだけど、友達の家で子供たちと一緒に寝る時はいつも、助けて〜みたいな顔をしていて、ちょっぴり笑えた。私たちと離れてしまえばなんてことはないのだけれど、何だか懐かしい。でも、大きくなってくればそんなこともなくなり、気ままなフランスの旅のおかげで、いつでもどこでも眠れる子に育った。子は親を見て育つ、まさにそれだな。

2015/03/21

名字


 フランス人の名字って、普段はあまり必要ない。名字で呼ばないし、そもそも自己紹介の時にフルネームを名乗ったりもしない。だから、未だに名字を覚えていない友達もたくさんいる。っていうか、ちょっとややこしい綴りだったりすると覚える気にもならない。

 手紙を書く時はやっぱりフルネームじゃないとね、ってことで名字を書いたりするけど、友達や知り合いの中には、同じ名字の人がひとりもいない。日本だったら、例えば鈴木さんとか斉藤さんとか、友達の中に何人か重なっている名字の人がいる。だから何度も聞いているうちに覚えるけど、フランス人の名字はほんとに覚えにくい。
 なのに、下の名前は同じ名前の人がたくさんいて困る。一人ずつ違った時に会うんだったら問題はないけど、一緒に会ったりするとほんとにややこしい。友達同士は全く同じ名前を呼び合い、私はふたりを同じ名前で呼んで、片一方の友達の話をする時は出身地やら何でもいいからわかることを添えて話さなければならず、ちょっと面倒くさい。
 フランス人にとっても名字ってあってないようなものかもしれない。先日も友達Raphaelの同僚のIsabelleがウチに来ることになった時、名字を聞いたら「IsabelleはIsabelleだよ」と言われた。そう、イザベルはイザベルなんだけど、Isabelleって友達は他にもふたりいて、携帯とかに登録するのに一応、区別して書きたいじゃないとか思うけど。。あれ、みんなはどうしてるのよ、と真剣に思ってしまった。。
 

2015/03/20

Bonne nuit!


 さて、私は毎朝、5時過ぎに起きている。息子の朝練に合わせてお弁当を作っているからなのだけど、世の中の人はけっこう早起きだってことに最近、気付いた。5時や6時に起きる人なんてザラなので全然威張れない。

 パリに暮らしている頃、とにかく夜遅くまで起きていた。となると、朝も起きれず、また遅くまで起きていて朝はゆっくり、という生活だった。あの頃、愛猫ポチもまだまだ若く、夜中の2時、3時にむくっと起き出しては、部屋の中を縦横無尽に走り回っていた。それを見るのも好きだったし、とにかく夜更かしばっかりしていた。
 
 フランス人の友達の家で過ごすと、食事はのんびりだし、飲み始めるとおしゃべりも止まらない。でも、平日は遅くまでダラダラしないし、眠くなると人のことはお構いなしですぱっと切り上げる。「さぁ、ねましょ」と言ってからベッドに行くまでが、ほんとに早い。お風呂には入らないからってこともあるけど、さっきまで飲んでたのに、あっという間に歯を磨き終えてる。そして、”Bonne nuit!”と言い残して、行ってしまう。
 みんな揃って「さぁ、ねましょ」ってならないのがフランス人的。私は寝るけど、もっとゆっくりくつろいでってことなんだけど、いろんなものがどこにあるのかわからず、あたふたすることも、ままある。何回も泊まっているのに、テレビのスイッチがわからないとか、ライトが消せなかった時はコンセントから抜いたこともある。気を遣われるよりはよっぽど楽だけど、せめて「もう寝る?」くらいは聞いてほしいかな。

2015/03/19

Bande dessinée


 フランス人はマンガ好きが多い。いわゆる、日本のマンガも人気があるけれど、それとはちょっと違う ”Bande dessinée”(バン デシネ)も人気がある。バン デシネは略して”B.D”(ベ デ)とも呼ばれる。

 フランスでもっとも有名な ”Les Aventures de Tintin”(レザバンチュール ドゥ タンタン)『タンタンの大冒険』もそのひとつ。友達のSophieはそんなバン デシネが好きでつい、買ってしまうらしい。よく買うのはディズニーの昔のキャラクターのものだ。ディズニーものはセリフが簡単なものも多いし、これが案外おもしろい。4コマのマンガよりもちょっと長くて、でも単行本ほど長過ぎず、最後はオチがあって笑えるのだ。子どもよりも大人のほうがハマるっていう理由が何となくわかる。で、読んでしまっても捨てるに捨てれず、溜まっていく一方らしい。確かにマンガって時代は感じても、おもしろさはずっと変わらないものなのだ、たぶん。
 
 あっ、もう先生は引退したけれど昔、通っていた歯医者さんには初期のサザエさんがあり、息子は行く度に読んで大笑いしていた。私でも知らない時代を描いたサザエさんだった。小さい頃は、フランス語のバン デシネを読んでも笑っていたな。ちなみにフランスの子どもたちにおみやげでマンガを持って行くと喜んでくれる。子供たちにとっては、マンガもバン デシネも世界共通なのだ。

2015/03/18

Merde!


 今日、やってしまった。。お皿もほとんど割ったことのない私が。。ごはんが炊けたばっかりの土鍋をテーブルに運んでいる途中、つるっと手からすべり落ちて見事に床に落としてしまった。炊きたての白米は遠い、遠いところまで飛び散り、戸棚のガラスや壁にべっとりとついた白米はこの世のものとは思えない、それはそれは恐ろしい惨状だった。落とした瞬間に私はすごい声を出したと思う。きゃーとか、ぎゃーとか? 咄嗟に出る日本語と言えば、こんな感じだ。

 さて、こんな時に出るフランス語は 、というと、”Merde!”(メルドゥ)とか ”Mince!”(マンス)、Zut!(ズュット)。「ちぇっ、しまった」という感じの意味だ。どれも上品な言葉ではないのだけど、結構みんな、つい出てしまう言葉。きゃーとかぎゃーとか、そんな言葉はフランス人の口からは出てこない。咄嗟に出る言葉がこんなのって、フランス語って何かすごいなと、飛んで行ったごはんを拭きながら思った。あれっ、きゃーって日本語だっけ? とか、くだらないことも考えてみる。こんな時、フランス人ならスポンジで拭くんだろうけど、いやー、私はティッシュで。。

2015/03/17

網戸


 もうすっかり春めいてきた。気が付けば、もう3月も半ばになるのだから当然なのだけど、やっぱり春はウキウキする。

 フランスの春もフランス人が浮かれるくらい、気持ちのよい穏やかな日が続く。日も長くなり、アパートなら窓を開け放ち、一軒家なら庭で食事したり、夜な夜なCaféやレストランのテラスで過ごす人が増えていく。そう、窓を開けっ放しにしていても大丈夫なのだ。日本だったら、間違いなく虫が侵入してしまう。夏だったら蚊がやってくるし、ハエも飛んでくる。ここに違いがあるのだ。日本では、外でくつろぎたくても、くつろげない。。
 そういえば、フランスの家の窓には網戸がない。構造上、設置が難しいのかもしれないけれど、なくても平気なのだ。私は網戸があまり好きではない。あんなに穴がいっぱい開いているのに、風が通らないし、すぐに汚れて不衛生だ。何より、外の景色を楽しめない。どうやったら、フランスのように窓を開けっ放しで過ごせるか、何度も考えてみる。あ〜、でもムリかな、やっぱり。欄干にカラスとか止まる時があるもんなぁ。
 春になるとますますフランスに行きたくなる。

2015/03/16

ファラフェル


 フランス人は日本人が行列をなしているのを見ると、信じられない、とよく言う。確かにびっくりするくらいの人の列を見ると、ちょっと過剰だなとも思うけれど、おいしいものを食べたい探究心はわかる気もするので、良しとする。私は待つのは苦手だから、なかなか流行りには乗れないけれど、話題のものはやっぱり、いつかは食べてみたいなと思う。フランス人は行列は嫌がるけれど、意外と待ったりもできる。公的な場所で待たされることに慣れているからか、我慢はできるのだ。

 フランス人はまず、Boulangerie(ブランジュリー)「パン屋さん」は絶対に妥協しない。近所に必ず行きつけのパン屋さんがあって、そこが閉まっている時は次に気に入っているパン屋さんへ行く。土曜日、日曜日はお店のほとんどが閉まっているけれど、パン屋さんはどこかは開ける決まりになっているから、どちらかで買えれば何とかなる。
 さて、やっぱりおいしいパン屋さんには、しょっちゅう行列ができている。他のパン屋さんだってそこそこおいしいけれど、、やっぱりフランス人、そこは譲れないところだ。
 
 パリに滞在中、一度は食べたくなるファラフェル。ひよこ豆などを肉団子風にしたもの。それを野菜と一緒にピタパンに挟んだものを頼むのだけど、Marais(マレ)のユダヤ人街にあるファラフェルの店は、いつ行ってもそこにだけ人だかりができている。雑誌のパリ特集やガイドブックにもよく載っている店で私もいつもそこで買う。でもかなり混んでいるから、他で買ってもいい気がするけど、人が集まっているところで買いたくなるのが人間の性。日本のようにきちんと行列ができていると並ぶ気も失せるけど、人だかりはワクワクするのは気のせい? 待っても、やっぱりここのが一番おいしい。

2015/03/15

スポーツ観戦


 ブルターニュ地方のMorlaix(モルレー)からほど近い、海沿いにあるCaféを訪れた。ここはフランスで初めて”Book&Café”を始めたところだとMarieが言っていた。何てことはない、ある意味フランスらしくないCaféだけど、観光客が頻繁に訪れるらしい。

 ブルターニュは夏でも、気温が低く、日が照らなければ、肌寒い日が多い。けれど、もちろん夏だからCaféに暖房など入っているわけでもなく、夏なのに冷たい飲み物が心底浸みる。。上着を着て、ストール巻いて何とかくつろぐ、そんな具合だ。夏でも寒い日は、家では暖炉、野外では焚き火で暖をとる。夏なのに〜、と毎回思うけど、こんな夏の過ごし方も悪くはない。そうなると、晴れた日の太陽を逃さないように楽しむようになる。

 話は戻るけど、ここのCaféには今はほとんど本はなく、代わりにDominoゲームやテレビでスポーツ観戦を楽しむ人が集まってくる。そうそう、フランスは日本以上にみんなで娯楽を楽しむのが好きな人種だ。熱くなるフランス人とスポーツ観戦はちょっと楽しいかも。
 

2015/03/14

暗証番号


 フランスではずいぶん昔から、何でもカードで支払うことが多い。最近では日本でも、スーパーなどで気軽にカード払いができるようになったけれど、やっぱり小額だと気が引ける。でもフランスはどんな小額でもあまり気に留めないでカード払いできるから便利だ。

 そうは言ってもやっぱり、現金は必要だ。パリへ行く時、引き出す時に手数料がかかるけれど、銀行カードを持って行く。最近はフランスの銀行と提携を結んでいる銀行カードで現金を引き出すことができるし、一番安全で便利だ。
 
 息子とふたりだけでフランスを訪れた年のこと。現金を下ろそうとATMで暗証番号を押そうとしたけれど、番号が思い出せない。。候補は2つあるけれど、その頃まだ小さかった息子を見つつ、周りを警戒しつつ。。あれっ、今、何番を押したっけ? まっ、同じ番号を押してしまっても、3回までにはもう一回あるから、大丈夫か、と高をくくってしまった。そして、また同じ番号を押してしまったらしい。まぁ、あと一回とあるからと思ったのだけれど。。番号を押した瞬間にATMがカードを飲み込んだ。。えーっ、何で?? 文句を言いに行きたいけれど、銀行自体がそこにはない。すぐに電話番号を調べ、本店に電話するも、日本で作ったカードのことはこちらではわからないの一点張り。でも、カードを飲み込んだのはパリのことよ、と何度言ってもダメ。埒が明かないから、日本に電話することに。。怒り心頭で日本にいる旦那に電話をし、銀行に電話を入れてもらった。すると、なんと、暗証番号は2回までしか間違えちゃいけなかったらしい。そんなことも知らないで3回も間違えた挙げ句、パリの本店に文句の電話を入れてしまった。。そこは素直にごめんなさ〜い。

2015/03/13

店の名前


 フランスのCaféやお店の名前はわかりづらいところが多い。昔使われていた店の壁がそのまま残されていたりするから、今の店の名前なのか、前のままなのかわからないこともある。だから、覚えるのも面倒だし、パリに暮らしている頃は名前なんて気にもしていなかった。もちろん、百貨店とか有名店はイヤでも覚えてしまうけど。
 
 フランス人も店の名前を覚えることをあまりしない。だから、例えばおつかいを頼まれても、はっきりと店名を言ってくれなかったりするけれど、住所や道の説明だけでこと足りるのだ。
 その名残で今も店名や場所の名前を覚えるのが苦手だ。ついこの間もウチにはじめて来てくれた友達が降車する、バス停名を間違えて教えてしまった。。もう10年以上使っているバス停名を、だ。。これにはちょっとへこんだけど。。
 
 さて、こんな私だけど、ここ数年、パリのお店の名前に詳しくなった。雑誌や書籍の取材のために調べたりすることもあるし、それよりも何よりも、パリ特集の雑誌が出るたびに買い、眺めているうちに”あ〜、あそこってこんな店名だったのね”、なんてことがしょっちゅう起こり、だんだんと覚えていく。皮肉なもんだな。パリに暮らしている頃より、今のほうがよっぽど詳しいかもしれないな。。

2015/03/12

Bravo!


 みなさま、励まし、お褒めの言葉をたくさん、ありがとうございます。誕生日でも何かに合格したわけでもないのに、こんなに「おめでとう」を言われるとうれしいやら、照れくさいやら。とにかく、がんばりま〜す!

  さて、フランス語で 「おめでとう」は ”Félicitations!”(フェリシタシオン)。試験に合格したり、何かを受賞したり、お祝いの場面でよく使われる「おめでとう」。日本語だと「おめでとう」は何にでも使われるけど、フランス語だと「お誕生日おめでとう!」は ”Bon anniversaire! ” とか ”Joyeux anniversaire!”になり、どこにも「おめでとう」の言葉はない。「よいお誕生日を〜!」とか、「楽しいお誕生日を〜!」という意味になり、いわゆる常套句だ。
 ほかには、日本人でも馴染のある ”Bravo!”(ブラヴォ)もよく使う。もともとはイタリア語のこちら。「いいぞ〜」とか「うまい」とか喝采を送るときの言葉だけど、時々違った意味で使われる場合もある。例えば、ものを落としたり失敗したり、そんな時、皮肉を込めて ”Bravo!” と手を叩きながら言ったりする。これを言われるのは気持ちのいいものではない。でも、子どもが何かができるようになったり、よいことをしても ”Bravo!” と言う。
 声の調子や抑揚でいいか悪いか、全然変わるフランス語。ほんと、便利だな。

2015/03/11

夏時間


 今日は3.11だ。そして今日、ブログを書き始めてちょうど1年となった。雨の日も風の日も、忙しくても眠くても、毎日書き続けられたことは、やっぱりちょっとうれしい。もうすでに決意表明はすんでいるのでこれくらいにしておくけど、少しずつ趣向を凝らしたブログにしないと、読んでくれているみなさんも、何より書いている自分自身が飽きてしまう、とつくづく。。まっ、とにかく、がんばろっと。

 さて、3月最終日曜日はフランスにとって気を引き締めなければいけない、大事な日だ。なぜなら午前2時から3時に時計の針を1時間進めるからだ。10月の最終日曜日までは夏時間となる。ちょっとややこしいけど、とにかくその日は朝起きたら、時計の針を1時間進めるわけだから、うんっ? 1時間損した気分だ。ということは、毎日5時過ぎに起きている私は4時に起きることになるから、早く就寝しなければ寝不足に陥ってしまう。。これが、頭ではわかっていても案外、忘れてしまうのだ。この日に友達と約束なんかしてはいけない。そうでなくても時間にルーズなフランス人は、やっぱり頭ん中でこんがらがり、途中で考えるのをやめてしまい、ますます時間を無視してしまう。何日か経ってしまえば、それが日常となり、当たり前となるけれど。。たぶん、フランス人は一度はこれで失敗してるんじゃないかな。
 でもほんとにややこしい。私も未だに、あれっ、時差って今何時間だっけ?とつい思ってしまう。友達はこの日に旅行に出かける予定を入れてしまい、まんまと時間を間違えてしまったらしい。あ〜こわい、こわい。
 でも、冬時間はその逆だ。1時間針を戻すので得した気分だし、時間を間違えても、1時間も早く行動できる。だから、まぁ、これでチャラだな。
 とにかく、フランスの春夏は夜も長くて羨ましい限りだ。

2015/03/10

バックパック


 明日から息子が修学旅行に出かける。3泊4日ほどの旅行だから、よくある小さめのスーツケースで行くことにした。コロコロと転がして行けば楽ちんだし、段差があってもひょいと持ち上げられるくらいの重さ。でも3日前に学校へ持って行ってしまった。みんなの分、まとめて送ってくれたらしい。なんて親切なんだろう。ほとんどの友達が同じような荷物のなか、海外旅行にでも行くようなスーツケースで来る友達もいたらしい。日本国内の旅行なのに一体何を入れて持って行くのだろう? そのスーツケースを開けて覗いて見たい気分だ。

 フランスの子供たちは旅に出る時、バックパックで出かけることが多い。もちろん、行き先にもよるけれど、スーツケースで手がふさがるよりも、背中が少々重いことを選ぶ。旅は出来るだけ、荷物は最小限で身軽に行きたい。何を減らすか。もちろん、減らすのは衣服だ。ということで、フランスの若者は旅先で毎日同じような服、いや、同じものをずっと着ている。そんなことはどうってことないのだ。おしゃれすることよりも、旅を快適に過ごすことのほうがフランス人にとっては大事なのだ。一理ある。でも、適度にはおしゃれもしたいな。
 

2015/03/09

接客


 日本ってやっぱりすごいなぁ、と思う。きめ細やかな接客は世界一だと思う。”お客さまは神様です”を地で行く感じは、ほんとに唸ってしまうほどだ。

 今日やっと、携帯電話の機種変更をしに行った。3人分の手続きで時間もかかるうえに、保存したいSNSメッセージを思い出し、それをパソコンメールに送ったりしていたら思いの外、時間がかかってしまった。その間、お店の人は文句も言わず、笑顔でじっと待ってくれていた。「すみません」と何度も言う私に、その都度「全然、大丈夫ですよ」と言ってくれるお店の人。これがフランスだったら、と想像してみる。一回帰って出直して来い、と言われるかも。いや、激怒して口も聞いてくれないかもしれない。とにかく、こんなことがまかり通る国ではないのだ。
 
 フランスから帰国した時、しばらくの間、日本の接客に慣れなくてほんとに困った。お店で声を掛けられるのも、それこそ「いらっしゃいませ」と言われるのも、やめてほしいと思ったほどだ。あまりにも過剰なときは店を出てしまったこともある。今でも得意ではないけれど、仕事柄、気持ちはよくわかるから、嫌だと言うのもはばかられる。そう、案外、フランスの接客、嫌いじゃないかもな。。

2015/03/08

日本語訛り


 小さい頃見聞きしたことは、はっきりとは覚えていなかったとしても、頭の片隅には残っているらしい。

 Dianeは1, 2歳の頃、東京に暮らしていたことがある。小さかったからほとんどしゃべることはできず、あーとかうーとか、マンマみたいにひと単語をしゃべるくらいだった。ほとんど日本語を覚えることなく、フランスへ戻ってしまった。最近聞いたことなのだけど、どんどんしゃべれるようになったDianeのフランス語は、日本語訛りだったらしい。日本語はほとんどしゃべれなかったのに、いやいや、そもそも言葉もつたなかったのに。。耳の中から聞いた音が頭のどこかに残っていて、後にそんな形になって出るなんて不思議だ。
 
 息子も時々、呪文のようにフランス語を口にすることがある。「あれ、それどこかで聞いたの?」「いや、ふと頭に浮かんだ」こんなことがしょっちゅう起こる。最近は使わないフランス語だったりするから、きっと何かの拍子に出てきたのだろう。ほんの小さな頃に聞いていた言語は大きくなってから再び始めても、ネイティブに近い感じでしゃべれるようになるらしい。楽しみだな〜。

2015/03/07

大好物


 最近、おいしいものがありすぎて「大好物って何?」と聞かれても、思いつかなくて困っている。小さい頃はすぐに答えられたような気がする、何だったかは覚えていないけれど。。子供の頃、食べれなくはないけれど、料理法によっては苦手なものもあった。

 フランスの子供たちは案外、何でも食べられる。毎食、サラダを山盛り食べるから、野菜は大体食べられる。肉も奪い合いになるほど、みんな大好き。デザートはなんでもペロリと食べるんだから、好きこの上ない。誰か、何か嫌いものってあったっけ? Eveは卵の食べ過ぎで嫌いになったって前にも書いたけど、他には思いつかない。
 食いしん坊の友達が多い中、Aliceは食べものをもっともおいしく食べる名人だ。そして食べものを残さない。小さい頃から手伝いはあまり好きでなくても、小さな子供たちの面倒と食事の手伝いだけはする子だった。何も特別なものが好きってことでもなく、小さい頃からおにぎりが大好きだったから、のりとふりかけは忘れずスーツケースにしのばせて持って行く。
 
 一昨日、Raphaelに「食べものの中で、何が好き?」って聞いたら、即答で”le lotus”「レンコン」と返ってきた。あれ、フランスってそんなにレンコンって食べる?「何で?」「あれっ、嫌い?」いや、嫌いじゃないけど意外すぎる。。ちなみにウチの息子は好き嫌いもなく何でも食べるのだけど、この質問に「うーん、お弁当に入ってる卵焼きかな」って、ほんと〜? 毎日、肉、肉、言ってるじゃん。

2015/03/06

サプライズ


 フランス人はわりと、サプライズ好きだ。

 フランスのお誕生日会は食事、ケーキ、そしてプレゼントの順で、ちょっとでも崩すと子供たちに怒られてしまう。そして、ひとつずつプレゼントを開けていくのだけど、これも子供たちが仕切り、ひとつずつ説明したり感想を言ったりと時間をかけてゆっくりと楽しむのだ。
 
 プレゼントは記念日だけのものではない。私たちはフランス滞在も終わりに近づくと、いつも長期滞在させてもらうMarieたち家族、ひとりひとりにプレゼントを選ぶ。これが大変でもあり、でも楽しみでもある。滞在中の日々の会話の中から欲しそうなもの、喜びそうなものを覚えておいて、プレゼントを探すようにしている。
 
 昨日、仕事のために日本に滞在中のRaphaelと晩ご飯を食べた。2週間ほどの滞在の中、関西にも出張していたらしいけど、東京にいる間は会社の人のマンションに滞在させてもらっているのだそうだ。Raphaelはそのお礼にプレゼントがしたい、と言い出した。何でもフランス人の女性で、それも上司だと言う。「ありきたりのものは嫌なんだ。ワインなんかは、家族がフランスからやって来るときに持って来てくれるだろうし、買っただけのものはつまらないよ」と言う。写真をコラージュしたり、イラストを誰かに描いてもらうってどうだろうとか。。でも明日には帰ってしまうのだから、時間的に難しい。「これってどう?」とRaphaelが言い出した。「Midoriのカットを予約できるチケット、これってどう?」というわけで、ウェルカムボードみたいなのを作り、ふたりで並んで撮った写真をカードにして、プレゼントにすることにしたRaphael。なかなかのユーモアとセンスだなぁと感心してしまった昨晩だった。さて、喜んでくれるかはお楽しみ、お楽しみ。

2015/03/05

かっこいいママ


 2年ぶりのRaphaelは仕事であちこちへ行き、多忙を極めている。でも、久しぶりに会っても変わらないRaphaelに何だかほっとする。

 Raphaelは幼い頃にママを病気で亡くした。ママの話をする時、やっぱり遠い記憶を辿るような、それとも忘れないようになのか、大切に語るのがいつも印象的だ。Raphaelのママは竹を割ったような性格の女性だった。3歳の息子をベビーカーではなく、パリ中連れ歩く私たちを見て「あぁ、かわいそうに。ひどい親ねぇ」と冗談まじりに、でも皮肉っぽくはっきりと言う。慣れていないと、ちょっとこわい感じを受けるかもしれないけれど、何だか小気味いい。
 フランス人は、はっきりとモノを言うようで、肝心なところは言わないですませてしまう人も多い。そんな中、はっきりとモノを言うママは、ある意味パリジェンヌって感じでかっこいいなと思ったのだ。でも、それから数ヶ月後、この世を去った。今でも思い出す、あの時のことを。。強くてかっこよかったママをいつまでも忘れないから、Raphaelもやさしくて強いんだろうな、と今日、改めて思った。さて、今夜のワインは、日本で選んだフランスワイン。けれど、フランス人が選ぶワインは、やっぱりおいしいなぁ。

2015/03/04

草サッカー


 息子は小学生の時、夏休みのほとんどをフランスで過ごした。だから、宿題も持って行くし、移動中に本を読んで感想文を書くし、泳ぎも山遊びもフランスでほとんど体験した。物心ついた頃から遊びで始めたサッカーは夏休みの間、チームで練習できない分、行く先々、広い場所を見つけては草サッカーに高じていたのだけど、今となってはこれがけっこうよかったのかもと思う。野っ原や浜辺で、裸足でボールを蹴ったり、背丈がずいぶん違う人相手の対戦は、相手がサッカー未経験者とは言え、知恵を絞らなければ容易ではない。Dianeのように、全くサッカーを知らない女子はどんどん突っ込んでくるので、やりにくい分、いい練習相手になった。

 フランス各地でサッカーをやってみて、サッカー大国の多いヨーロッパにおいても、サッカーをほとんどやったことのない男子もいるんだ、ってことが驚きでもあった。まっ、そんなことを言うと日本人だって、学校の授業で行われる柔道はともかくとして、相撲はあまりやったことがない。それと同じようなものだけど、サッカーのできないフランス人はあまり見たくない。
 フランスと言えば、私の中ではフェンシング。あまり観る機会はないけれど、Xavierが学生時代にやっていたらしいのだ。一度、応援に行きたかった〜。そうそう、オリンピックの公式公用語は英語とフランス語。近代オリンピックを提唱した人がフランス人だったからだそうだ。もっと意味があるかと思いきや、何だ、そんなことだったのか。。

2015/03/03

肩凝り


 春が近くなると、とにかく眠い。一度欠伸をし始めると、次から次へと欠伸が出る。それに冬の寒さで身体が縮こまって、肩や首が凝る。こんな時、フランスではどうするんだっけ。そういえば、フランスには整体やこりを揉みほぐす、いわゆるマッサージ屋さんて見かけない。スパのような美容マッサージはよく見かけても、日本でよくあるグリグリ押すような、そんな凝りをほぐすだけの所はないのかも。

 よくパリで見かける、ローマ字で書かれた”SHIATSU”の文字。これは日本の「指圧」のこと。お店を構えているというよりも「出張いたします」と書かれた張り紙をよく見かける。日本人向けの新聞にも「出張いたします」の広告を出している。凝っているフランス人の友達も多いけれど、凝っていると認識していない友達が多い。休みの日にメンテナンスをするよりも、疲れている時は何にもしない人のほうが多いし、優雅にスパに出かける人はほんのごく一部だ。子供が親の肩もみしているところも見かけたことがない。でも、日本に来ると100円ショップに並ぶマッサージグッズを大量に買って帰り、おみやげに喜ばれているらしい。フランス人は肩が凝っていないのではなく、凝るって概念がないのだと思う。「疲れたなぁ」と言う友達の肩を揉んであげると、あまりされたことがないからか、めっぽう喜んでくれる。たぶん、日本の整体とか行っちゃったら、病みつきになるだろうなぁ。

2015/03/02

アーティスト


 パリにはたくさん、アーティストと言われる日本人が暮らしている。パリに暮らしている頃、そんな画家さんたちと知り合ったのは、旦那が週一でやっていたソフトボール仲間だったから。どこでやっていたのか、フランスでソフトボールをやっている光景は見たことがないのだけど、とにかく日本人とフランス人が入り混じってのソフトボールは、雨が降らない限り、毎週のこととなっていた。ソフトボールが楽しいというより、その後の飲み会が楽しかったっていうのはあるのだろうけど。。さて、そんな気ままに暮らしてる風だったおじさんたちが、けっこうすごい人たちだったと知ったのは、ずいぶん後のこと。。

 フランスには、いろんなジャンルのアーティストの日本人がいるけれど、みんなけっこう、アトリエも借りたりしているし、なんてたって立派な家やアパートを所有している。もちろん、副業を持っている人も多いけれど、もしかすると、普通のフランス人よりも豊かな暮らしができているのかもしれないな。アーティストって謎も大いにあるけれど、やっぱり好きな仕事で悠々自適生活、フランス時々日本なんて、いいなぁ。

2015/03/01

白い食器


 我が家の毎日の食卓には、そういえば白い食器しか並んでいない。ふと、そう思ったのだ。白いお茶碗、白いお椀、白いお皿。コーヒーカップやミントティーグラス、お菓子を盛るお皿とかはカラフルなものが多いけど、食事の時には見事なくらいの白。白いお皿はすべて、友達のMarieから受け継いだものだ。

 フランス人も白い食器を使う人が多い。料理が色や柄にジャマされにくいってことも大いにあるけれど、代々受け継がれる食器はやはり、白が多いと言うことだろうか。私がMarieから渡されたお皿も、縁に飾り模様が施されたシンプルな大、中、小が揃ったものだ。何の変哲もないシンプルなお皿だけど、風格がある。
 フランス人は食器なども、親から子へ受け継がれることが多いので買うこともあまりない。ましてや高い食器を買うことは、ほとんどないのだ。確かに、日本で有名なパリの陶器メーカーのお皿やカップはステキだ。でもフランス人はパリへ来るたびに、そんな高くて、でも下手すれば簡単に割れてしまうものを買って帰る日本人を、ちょっと不思議に思っている。雑誌のフォトエディターの友達 Lanrenceはこんなことをよく言う。流行っている雑誌に取り上げられているようなものやセレクトショップに置かれているものが絶対じゃないと。。結局、流行りに乗っている時はわからないのだ。きっと、その感覚は祖先から受け継いできたものがあるからこそ、わかるんじゃないかな、と思う。