2014/07/31

流行り言葉


 ある時、Danielleの友人のマダムにこう言われた。「どこで、フランス語習ったの? Oui(ウイ)がOuai(ウエイ)になってるわ、若者が使う言葉ね」確かに、きれいな言葉ではないけど、周りもわりとこの調子だし、指摘されたこともなかった。
 若者の言葉といえば、フランスでも最近よく、FacebookなどのSNSで略語が使われている。頻繁に書き込まれている、mdr (mort de rire)は『死ぬほど笑う』といった意味で、おもしろい話題に対してのコメントだ。意味は違うけど、日本でいうところのKY『空気読めない』って感じだろうか。
 
 フランス語でも、昔は使っていたけど、今はほとんど使わないって言葉もたくさんある。例えば ”n'est-ce pas”(ネスパ)『だよね』は、今はあまり使われない。きれいな言葉遣いではないけど、語尾を上げたり、”hein”とか”quoi”を語尾につけるだけで『だよね』ってニュアンスになるから、人それぞれの『だよね』を使い分けている。”n'est-ce pas”は、いわゆる死語なのかもしれない。
 
 昨日、何かの話題から『浮かれポンチ』っていうフレーズが出た。年代も大差ない顔ぶれで、ひとしきり、この話題で盛り上がったのだけど、これこそ死語で年代が違えば笑うことすらない言葉だ。そもそも”ポンチ”って何ってことから始まるわけだが、フルーツポンチのポンチじゃないのって話も出たり、調べてみると工具にもポンチってものがあるらしい。いや、それはさておき、言葉って時間によって変わっていくものなのよね。時々、フランス人同士のおしゃべりの中で、聞き慣れない昔の流行り言葉が出てきて、わからないときがあるもんなぁ、くやしい〜。

2014/07/30

戻らない。。


 今まさに、フランスではヴァカンス真っ盛り。7月にすでに休みを取ってしまった友達はこう嘆く。「優越感に浸るために、いつも一番にヴァカンスを取るけど、やっぱり最後に取ればよかったと、毎年、思うんだよね」と。先に取るか、後にするか、悩むとこだ。それは、やっぱり、2,3週間もの長い休みだからこその悩みだ。
 実際、私も1ヶ月ものヴァカンスから戻ると、なかなか気持ちがついていかない。いや、気持ちはあっても、時差ぼけっていうのも厄介だ、言い訳すれば。歳を重ねると、なかなか戻りが悪い。1ヶ月もの休みの後は、仕事もたまっている。有り難いことだ。いつもなら、戻った翌日は休み、その次の日から仕事を始めるのだけど、その年は朝到着便だったこともあり、翌日から仕事を入れた。
 予約の入っていた朝、すっかり寝入ってしまい、寝坊してしまった。。しかも、起きたのはピンポーンの音。寝ぼけて出ると、お客さんが笑って立っていた。今、考えただけでも恥ずかしい話だ。あっ、でも、その人はあれからも、ずっと来てくれている。ふふ、なつかしい。笑い事じゃないけど。。
  
 戻らないといえば、日焼けもなかなか戻らない。1ヶ月もの間、蓄積された、こんがり、いや、真っ黒に日焼けした肌は一冬も越してしまう。ちょっと、黒すぎて、みんなから疑惑の目で見られる。「ほんとにフランスだったの、行ったのは?」ほんとよ、ほんと。

2014/07/29

忘れ物


 フランス人との付き合いの中で、対 日本人と同じことを望んでしまうと、あれっと思ってしまうことも多々あるかもしれない。
 例えば、食事に招待した次の日「昨日はありがとう」とか、そんなことはフランス人の口からは出てこない。食事の時、帰る間際、何度も感謝や褒めの言葉をくれる。お礼や感謝はその日のうちにというわけだ。日本人同士の付き合いとはちょっと違う点だ。気を遣いすぎなくて楽でもあるけど、日本人とのつき合い方に慣れると、物足りなさを感じるかもしれない。
 
 ちょっと困ることもある。旅行先から送ったハガキやおみやげが届いたかどうか、心配になったりして。。届いたよ、くらいは言ってほしい時もある。でも、最近はフランス人の友達が私に慣れてきたからなのか、届いたよメールが時々届くようになった。
 
 フランス人は過去は振り返らないのだ、たぶん。
 ある年、フランス滞在最終日をEricとSophie の家で過ごし、次の日、空港まで送ってもらった。日本に持って帰るつもりで前の日にどっさり買い込んだ、チーズやTarama(タラマ)を冷蔵庫の中に忘れてしまった。忘れてしまったものは仕方がない。でも、その後、忘れたことをつい言いそびれ、Ericたちからも何も言ってこなかった。結局、あのチーズやタラマはどうなったのか。ちゃんと食べてくれたかな、気になる〜。

2014/07/28

長者


 前回書いた友人の家には、壊したら弁償できないようなものが、わんさかあった。絵画もそうだけど、調度品も歴史を感じる高価なものばかりで、触れるのも怖いくらいだ。
 
 さて、ここの所有者の友人はかなりの長者だと思うのだけど、5代目だから気負いがないのか、かなりざっくばらんな性格の人だ。私たちのために夕食を用意してくれ、泊まれるようにベッドを作ってくれた。当たり前なんだけど、私たちとおんなじだ。
 かなりの財を持つ彼だけど、今のところ子供がいない。余計なお世話だけど、誰が跡を継ぐんだろうと思ってしまう。日本と同様、フランスでも財産を守るのは、ほんとに大変らしい。ベルジュラックのIsabelleの実家も、Isabelleたちの世代では手放すしかないと嘆いていた。持っていれば持っていたで大変なんだな。
 
 ここの友人も、住は人並み外れているけど、衣食は普通の人々と何ら変わりない。ちなみにMarieの幼馴染みの元カレだったらしい。あら、そんな知り合いなんて、不思議。。

2014/07/27

森の中のお屋敷


 友達 Marieと何度か訪れた、パリから1時間ほど離れた郊外の、まるで小さな美術館みたいな友人の家。
 
 大きな家の何部屋もある壁のところどころには、たくさんの壁画が、その他の壁には、実際に著名な画家が描いた絵画が飾られていた。聞くところによると、その友人の祖先は、誰もが知っている、政治家であり詩人でもあった有名な人であるらしい。友人が所有するこの屋敷は、国の文化財に指定されていて、子孫の役目としてここを守っているのだという。名前も場所も出さないという約束で取材させてもらった縁で仲良くなり、泊めてもらったこともある。普段はパリに住んでいるので、離れの家に暮らす雇い人がここを管理し、友人は週末になるとやってくるのだそうだ。何だか映画に出てきそうなそんな家の周りには、森はあっても民家はなく、夜は怖すぎて出ることができない。
 
 陽の高い時間にみんなで散策した時のこと。ハリネズミが道を歩いていた。野生のハリネズミを見たのは初めてだったけど、日本にも野生のハリネズミっているのかな。パリからそんなに遠くない場所なのに。

2014/07/26

聞いてる?


 パリの街を歩いていると、よく声をかけられる。全然知らない人が「それ、どこで買ったの? いくらだった?」と聞いてくるのだ。フランス人は好奇心旺盛だ。ちょっと変わったものを持っていたりすると、通り過ぎても追いかけて聞いてくる。まあ、これも人によってなのだろうけど。
 
 フランス人は自分の興味をそそることには、どんどんくるけど、興味のない話はほとんど聞かない、聞いていない。そんな時はわざと「聞いてる?」と問いかけると「聞いてた、聞いてた」と見え透いた嘘をつく。ちょっとお茶目な一面だ。
 前にも書いたように、フランス人はおしゃべりし始めると止まらない。井戸端会議も大好きだ。こんな時、話し始めた人は息継く暇もないほど、すごい勢いでしゃべり続けるのだ。でも、人の話は、聞いてるようで聞いてない、でも何となく聞いているって感じだ。この光景が私は大好きだ。フランス人の会話には嘘がない。好きなものは好き、違うことは違うとはっきり言えるのが心地よい。曖昧な答えが嫌いだから、自分の意見と違うことは聞いてないふりをするんじゃないかな。うん、きっとそうだ。そういうことにしておこう。。

2014/07/25

高級な紅茶


 旅に出ると気持ちも大きくなるし、今ここでしか買えないと思うと太っ腹にもなる。普段と違う通貨だから、うまく計算できなかったり、中途半端な単位だと計算に手間取ったりもする。せっかくの旅だし、いいと言えばいいんだけど、あまりにもの勘違いはなるべくしたくはない。

 暮らしていた頃、フランスはまだフラン通貨で、1F = 16円って感じだった。このままだと計算は面倒だけど、20円計算だとちょっと余裕を持って買い物ができ、物価も安かったこともあり、パリでの買い物も快適だったな。
 
 毎年行く旅に、友達が私たちの滞在日程に合わせてやって来たことが、何度かある。異国で会うのはなかなか新鮮で楽しいものだ。ある年、友達カップルがパリにやって来た。その日は、マレを散策していたのだけど、お店の人や街の人々と交流を持って、旅の思い出にしてほしかったので、なるべく見守るようにしていた。某有名紅茶店に入った時のことだ。お店の人と英語でコミュニケーションをとって和やかな雰囲気だったので、私たちは外へ出て待っていた。しばらくして、おみやげの紅茶を買い終え出てきたふたり。「あれ? 何か、ちょっと高かったかも。。」領収書を見てみると、一点だけ一桁違う。まさか、打ち間違い? よく聞くと、一番おいしくて希少な紅茶なんだと説明されたらしい。けど、紅茶にこんな値段なんて。。言ってくるよと言ったけど、ふたりはせっかく楽しく買い物したし、大切に飲むから大丈夫と、そのまま持ち帰った。これも旅の思い出。でも一桁違う紅茶って、どんな味?

2014/07/24

自転車


 パリの街のあちこちに、レンタル自転車 Vélib' (ヴェリブ)が配置されていて、今では街の光景の一部になっている。でも、実はまだ借りたことがない。ヴェリブが開始された当初、小さな息子が乗りたがったけど、パリの石畳の多い道ではちょっと危ないなと思ったからだ。
 暮らしていた頃、自転車に乗っていた時、前から来た自転車とよくある道の譲り合いになり、ぶつかったことがある。私が左側走行していたからだ。パリでは車と同じようなルールがある。乗る人も、道が複雑なところでは手信号をしたり、きちんとマナーを守っている。
 
 パリに住む子供たちは日頃、自転車に乗らない。小さい頃、自転車で友達の家にひとりで出かけたりもしないし、習い事に行ったりもしないから、乗る機会がほとんどないのだ。だから、友達の家で、子供用の自転車を見かけたことがない。でも、大人になってから乗るのは苦手でも、自転車に乗れない人はあまりいない。小さい頃に、どこかの貸し自転車とかヴァカンス先のレンタサイクルとかに乗って、きちんと練習しているからだ。大きくなると、自転車好きも増えて、本格的な自転車を、ヴァカンスへ向かう車やTGVに載せている人を多く見かける。ツールドフランスも人気がある。
 きっと、パリの街でも、もっと乗りたいって人もいるんじゃないかなと思うけど、自転車を通りに停めておくと、あっという間に盗難に合ってしまう。サドルなんて、秒殺だ。街に停められたサドルのない自転車は、持ち主が盗難防止のために持って行ったか、盗難に合ってしまった後なのか。。それは謎だ。

2014/07/23

ワイン


 フランス人は、どんな時でもワインを欠かさない。飲んでない日なんてあるのだろうか。たぶん飲まないのは、夕食を食べなかった日だけだ。というわけで、そんなことはあまりないから、ほぼ毎日飲むことになる。
 
 ワインの飲めないフランス人なんているのだろうか。私の知っている限り、飲めない人を見たことがない。しかも、ほんの少ししか飲めない、なんてフランス人の友達もいない。友達の家で飲む時は、いつも私だけ、真っ赤っかになり、誰も酔っぱらっていない、そんなことになりかねない。
 
 友達のEricとSophieが初めて食事をした時、ふたりで 5,6本のワインを開けたと言っていた。さすがにそんなに飲むと酔っぱらうみたいだけど、そもそも、そんなに飲めるなんてやっぱりすごい。そんなフランス人とよくこんな話になる。フランス人と日本人、どちらがアルコールに強いか? そんなのもちろん、フランス人に決まっている。でも、フランス人の友達は日本人だと言い切る。「だって、あんなに強い日本酒をクイクイ飲めちゃうし、一気とかしちゃうでしょ」そうか、あれを見ちゃうとそう思っちゃうかも。
 でも、フランス人は何気なく、さらりと飲んでしまう。そう、水を飲むようにだ。誰かが言ってたみたいに、身体がワインでできているのかもしれない、とさえ思ってしまう。

2014/07/22

本とワイン


 フランス人は本好きが多い。壁一面の本棚にたくさんの本を所有している。本好きの私としては、そっくりそのまま持って帰りたいくらいだ。
 日本に長く暮らしていた Danielleの本のコレクションも、四方八方に置かれた本棚にぎっちり詰め込まれていた。本棚は、隙間なく入れるために、本のサイズに合わせて作られたものだった。フランスに帰国する際、大変だったのは言うまでもない。貴重なコレクションは息子に送り、一部は我が家に、その他はセレクトして持ち帰ったと言っていたけど。
 フランス人はひとつのものを集めるのが好きな人が多い。DVDが付いていたり、コツコツ作る模型や手芸を集めていくものだったり、最近では日本でもよく見かける趣味の本も人気がある。
 
 ワインもそうなんだろうな。もちろん、日々飲むための収集もあるけど、どの友達も年代もののワインを所有していて、飲むためよりも集めて楽しんでいるみたいだ。一軒家に暮らす友達の家には必ず、地下にワインを貯蔵するCave(カーヴ)を持っている。みんな、ワインの価値を語る時、とても幸せそうだ。
 フランス人にとって、古くて希少価値のある書籍と年代物のワインは、きっと同じくらい大切なのかもしれないな。

2014/07/21

半袖半パン


 フランスへ行くと、時々感じることがある。どうして、こうも様々なんだろうと。
 すごく暑い日に、長袖にジャケットを着ている人がいたり、そのまた逆もある。雪の降りそうな凍える日に半袖、半パンで歩く人を見かけたりもする。ヨーロッパの人々は、日本人よりも平熱が高いと聞いたことがあるけど、ここまで差を感じてしまうと、ガマン大会でもしてるんじゃないかと思ってしまうほどだ。

 パリの通りを歩く人たちを眺めるのは楽しい。こんなにも個性を感じる街はないんじゃないかなとも思う。それぞれの国の衣装を身にまとう人たち、今どきのファッションを着こなす若者、いつの時代のものかわからないけど、きっと好きで着続けているそんなマダム、ほんとにそれぞれが、それぞれの服を着こなしている。みんな、個性的だ。人の目なんて気にならない。フランスにいると、服にしても何にしても、好きなことをして好きなものを着て、自由でいいんだと思わせてくれる。
 日本で見かけるとギョッとする、寒い日に半袖、半パンも、フランスでは普通に見えちゃうんだな、これが不思議と。

2014/07/20

猫目?


 慣れない土地での車の運転は緊張する。ましてや、交通ルールが異なる国での運転ほど緊張するものはない。日本では、車は左側通行だけど、フランスでは右側通行だ。頭の中では分かっていても、時々混乱する。直線を走り続けていれば何の問題もないのだけど、曲がり道で気を抜くと大変だ。道なりに曲がれる右折は難なくいくけど、左折すると左側車線に入り込み、前方から車が。。なんてこともあった。大事には至らず、無事故で旅を続けられて、ほんとよかった。
 
 それでも、車で旅する途中、何度か怖い思いをしたことがある。その頃、グルノーブルに住む友達を迎えにいき、南仏方面へ向かった時のことだ。
 日も暮れて暗くなり、そのうえ、天気も悪くなり、辺りは霧に包まれ始めていた。ちょうど "ナポレオン街道" を走っていた。ここはグルノーブルからカンヌを繋ぐ、350kmの道なのだが、途中、断崖絶壁、岩山が連なり、ガードレールもない道が続く。そんなところでますます霧が濃くなり、1m先も見えない、そんな状態が続いた。停まりたいのに一車線ずつのうえ、路肩すら見えないのだから、停まることも出来ない。でも、すれ違う車は何事もないかのようにビュンビュン飛ばして行く。とにかく道を外れないように、ゆっくり行くしかない。ほんとに冷や汗ものだった。
 未だに信じられない。慣れている道だから、あんな運転ができたのか、夜目がきくのか。それとも、フランス人は猫目? 謎だ。

2014/07/19

レンタカー


 これまでいろいろ旅してきた。パリに暮らしていた頃は、よく車でも出かけた。フランス全土だったり、隣国だったり。ドイツ、スイス、ベルギー、オランダ、いろいろ車で旅したのだが、大勢で行くと楽しいし、経費があまり掛からないようにと、友達も誘い、4人で出かけることも多かった。借りるのは小さめの車なので、4人で乗るとギュウギュウなのだが、何回かはポチもお供させてもらった。身体の大きかったポチのトイレはそれなりに大きく、砂も入れていったので、トイレに行く度、砂埃が舞う。しかも、後ろ席の足元に置いているから、足の踏み場もない。そして、車の中をポチが行ったり来たり、抜け毛がフワフワ。今さらだけど、けっこう大変だったな。
 外出する時は、大きかったポチをだっこするわけにもいかず、籐のかごに入れ、カートに載せて一緒に歩いた。ポチはいい迷惑だったかも。でも、どこに行っても人気者だったし、今となっては、いい思い出だ。

 フランスのレンタカーを借りる時、車検証を失くさないようにと必ず言われた。失くした場合、お金で清算しなければならないのだ。盗難も多いので、外出する際は荷物と一緒に持って出ていたのだけど、何日か経ったある日、車を走らせて少し経ってから車検証がないことに気付いた。あれ、車に乗る前に屋根の上に置いて、入れるの忘れた? すぐに戻って、必死に探してみたけど、どこにも見当たらず。。こんな失敗もあった、あった。ま、これも旅の思い出。

2014/07/18

ヴァカンス時期の動物たち


 パリのアパートには、愛猫のポチがいつもいた。ヴァカンス時期になると、預かりっこしていたミャオが時々、やってきた。はじめは牽制し合って大変だったけど、いつの間にか折り重なるように眠るポチとミャオの姿が、微笑ましかった。

 ヴァカンスの時、飼っている動物たちをどうするか。自由に出入りする猫ですら、いつも簡単にごはんにありつけるわけではない。友達や隣人に頼めればよいが、ヴァカンスが重なってしまうと難しい。
 昔、よく聞かれたのが、ヴァカンスに向かう高速道路で、動物たちを捨てていくという噂だ。山や草原が広がるサービスエリアも多くあり、そこへ置いていってしまうというのだ。事実はわからないけど。。
 
 友達 Eliane は、インコを飼っている。息子のEliaceが小さい頃、シテ島の鳥市で見つけて飼い始めてから、常に何羽か飼っている。ふたりだから動物の世話は難しいし、犬のように散歩はしなくていいし、夜は鳥籠に布をかけてあげると静かに眠るから楽だ、と言っていた。でも、ボルドー近くの妹の家にヴァカンスに出かける時は大変だ。鳥籠ごと運ぶのだ。TGVにそれを運び入れるのは、場所も取るし、意外に重い。犬や猫のほうが簡単なのでは、と思ってしまう。
 そういえば、Xavierの友達 Thomasはハムスターを胸元に入れて、旅していた。でも、家の中で行方不明になり、小さくてわかりづらいは呼んでも出てこないはで、みんなで探すのが一苦労だったな。どんな動物たちも、それぞれ大変だ。

2014/07/17

テレビ


 フランスでどんなテレビ番組を観ていたか、あまり記憶にない。暮らしていた頃は小さなテレビがあることにはあったが、テレビの上が、愛猫ポチのお気に入りの場所だったから、テレビと言えばポチの姿ばかり目に浮かぶ。
 
 たまにつけるテレビには、フランス人の大好きな討論番組だったり、クイズ番組がよく流れていた。ニュースや天気予報、M6(エム シス)でやっていた音楽番組はよく観ていたけど、いつも同じPVばかり流れていた気がする。バラエティー番組もやっているけど、笑いのツボが違うのか笑えない番組も多かった。
 以前書いた、Canal+(カナル プリュス)のギニョールとか長寿人気番組もあるけど、ドラマや映画は再放送が多かったし、フランス人の友達の家に遊びに行っても、子供たちのゲームのためにスイッチを入れているだけだ。

 数年前の夏、オリンピックの時期にElianeたちとMédoc(メドック) でヴァカンスを過ごした。家でくつろいでいる時は、みんなでオリンピック観戦をしたのだが、決勝など重要な場面以外はフランス人選手ばかり映る。そうか、日本で観る時は、日本人選手が中心なのと同じく、フランスで観ればそういうことになるのは当たり前のことなのだ。何か目から鱗というか、この時のオリンピックは新鮮な感じで観れて、おもしろかったのを覚えている。

2014/07/16

アフリカ人街


 パリに滞在中、何度も訪れる18区。暮らしている頃も、何かと言えばこの辺りに出没していた。よく覗いていたGUERRISOL(ゲリソル)も何店舗かあったし、そんなに買うものは見当たらないけど、立ち寄っていたTATI(タチ)もある。あの頃は、バブーシュを売る問屋もこの辺りに多く、格安でかわいいものを見つけることができた。

 Barbès-Rochechouart(バルベス ロシュシュアール) 駅からChâteau Rouge(シャトー ルージュ)駅の間にはアフリカンなお店が軒を連ね、スパイスの匂いが立ち込める。アフリカンな民族衣装に身を包む人も多く、ほんとにここはパリなのかと一瞬、わからなくなってしまうほどだ。黒人の人が経営するお店の客引きの声が響き渡り、メトロの地下から地上に上がったはいいけど、引き返したくなるかもしれない。モンマルトルのサクレクール寺院からは目と鼻の先にあるのだけど、あまりの違いにショックを受ける人もいるかも。
 でも、この雰囲気に慣れてしまうと、やっぱり、これがほんとのパリなんだと思えるし、しっくりきてしまうから不思議だ。
 
 この辺りを歩く人々は足早に歩を進め、人にぶつかってもお構いなしなので、気をつけて歩いた方がいい。アフリカ系の人は膨よかな人も多く、まともにぶつかると、はね飛ばされちゃうよ。

2014/07/15

Tresse


 そう、Tresse(トレース)『三つ編みドレッド』が好きで、パリへ行く度に、黒人の人にやってもらっていた。友達の紹介だったので、やってくれる人もやってもらう場所も様々。その人の家だったり、蚤の市の片隅でやってもらったり。かなり細かく編んでもらうので、時間もかかってちょっと疲れる。それより何より、とにかく痛い。根元からしっかり編み込んでいかないと、すぐに緩んでくるし、途中からはエクステを絡ませて編んでいくので、最後までテンションをかけたほうがよりきれいな仕上がりになる。クセのない日本人の髪はエクステと絡みにくく、取れやすいので、さらにテンションをかけて編まなければならないのだ。せめてパーマでもかけてくれば、と思うのだけど後の祭りだ。かなり引っ張られるので、三つ編みを編むごとに涙がにじんでくる。。何本編むだろう、百本は軽く超えるかな。

 初めての時は、 終わりが近づくにつれ頭皮は麻痺し、リンパも腫れてぐったりと疲れてしまった。次の日、引っ張られた頭皮は編み目ごとに腫れあがり、触るとボコボコしていた。よくガマンできたと思う。人によって力の入れ具合や編み方は違うのだけど、翌年の人にはほどほどに、とお願いした。
 
 そんなにガマンして、きれいにやってもらっても、時間がたつにつれて伸びてきた部分は本物のドレッドみたいになるし、洗うのも一苦労で衛生上もよろしくない。特に、湿度の高い日本の夏場を乗り切るのは大変だ。
 でも、そこまでしてもやりたいのは、やっぱり好きだからかな。黒人の子供たちがやっているのは、ほんとにかわいい。それには及ばないけど、パリの町では、すれちがう度に人に褒められていた。パリで仕入れてきたエクステを使って、ウチでもやってるので、やりたい人はぜひ〜。痛くしないよ。

2014/07/14

美容問屋


 パリへ行くと必ず、美容材料の問屋さんを覗くことにしている。駅で言うとStrasbourg-St-Denis(ストラスブール サン ドゥニ)、インド人街の隣の通りにあるPassage(パッサージュ)が問屋街になっている。暮らしている頃は、材料をここで調達していた。この辺りはちょっと怪しげな店も多いので、不思議な雰囲気だ。インド人街のランチはものすごく安く、味も悪くないので時々寄ったりするが、もしかしたら、どのお店も同じじゃないかと噂になったことがある。味も値段も、ほとんど同じだからだ。ここ、Passage Brady(パッサージュ ブラディ)はインドの音楽が流れ、また違ったパリを感じることができるから楽しい。

 大きな通りには、黒人の人たち専用の美容室や問屋もちらほら。駅の上がり口付近には客引きがいて、初めてそこに降り立つと、ちょっとびっくりするかもしれない。黒人の人たちはおしゃれさんが多く、専用のファンデーションやリップは興味をそそられるし、Tresse(トレース)『三つ編みドレッド』を施している美容師さんの手際の良さはうっとりするほどだから、覗き見しながら歩くのも楽しい。私も行く度に、友達 Ismaelに紹介してもらい、三つ編みドレッドをしていたのだが、楽しくもあり、恐怖でもあったその体験は次回。同じく、大好きな、さらにもっとディープな18区、アフリカ人街の話も。

2014/07/13

BIGのボールペン


 滞在中、この辺りは何度もウロウロする、Hôtel de ville(オテル ドゥ ヴィル)界隈。ここと、Rue de Rivoli(リュウ ドゥ リヴォリ)を挟んだ向かいにある、BHV(ベーアッシュヴェー)。ちょこっと立ち寄るのに便利な、いわゆる東急ハンズみたいなところだ。日曜大工品や食器、CDや文房具、衣類まである。ここは意外に掘り出し物の見つかるところ、他では見つけられないものがあったりするのだ。フランス語で書かれたプレートやキーホルダーも、いつもここで買うし、封筒やノートなんかも、スーパーかここのどちらかで購入する。
 
 昔から気に入って使っているのが、BIGのボールペン。いろんな種類のものがあるけど、ノック式のボールペンが一番のお気に入り。書き口は濃く、かすれもなくしっかり書け、キャップもないので使った後、キャップを探したりしなくてもすむ。上半分は色付きで下半分は透明っていう見た目も好きな理由のひとつ。一本売りではなく、まとめ買いのほうがお得なのでそうするのだけど、これがまた賭けのような感じだ。何本かは書けなかったりするのだ。それを見越した値段なのか、安いから文句も言えない。
 今でこそ、日本でもおしゃれな文具屋さんで売られているBIG。つい、書けるのか心配してしまうけど、よほどチェックしているのか、日本では書けないものはあまりない。やっぱりな。

2014/07/12

Cyrano de Bergerac


 このブログにもよく出てくるIsabelleの実家は、Bergerac(ベルジュラック)という町にある。何だか、聞き馴染みのあるこのベルジュラックとは、Cyrano de Bergerac(シラノ ド ベルジュラック) から取ったものだ。17世紀、フランスに実在した、剣豪であり、詩人でもあったシラノ。Gérard Depardieu(ジェラール ドパルデュー)主演で映画にもなっているし、小説、戯曲としても親しまれている。

 フランスでは、こんなふうに歴史上の人物の名前が、町や駅名、通りの名前となっていることがよくあるのだ。メトロの駅名、Pasteur(パストゥール)やVictor Hugo(ビクトル ユゴー)もそうだ。そんなところを気にしてみると、なかなかおもしろかったりする。日本だったら、野口英世町とか安部公房駅とかになるのかな、慣れない感じだけど。
 これだったら地理も歴史も、もっと楽しみながら勉強できるんじゃないかなと思ってみたりして。

2014/07/11

La salade


 暑い夏がやってくる。なかなか食欲も湧かない、そんな日もある。そんな時、フランスでなら、サラダを食べるに限る。
 サラダにもいろんな種類があるけど、私は Salade de chèvre chaud(サラッドゥ ドゥ シェーブル ショウ)『山羊のチーズのサラダ』が一番のお気に入りだ。少しにおいや味にクセのある、山羊のチーズを軽く焼いたものと生野菜がよく合う。Caféでのランチでも、パンが一緒についてくるからお腹も十分満たされる。
 
 夏になると、フランス人の友達の家の冷蔵庫には、Taboulé(タブレ)が常備されている。タブレとは『クスクスサラダ』のことだ。本来のクスクスは、肉や野菜を煮込んだトマトベースのスープと一緒に食べるのが一般的だ。こちらも食欲のない、暑い夏の日に食べたくなる一品だけど、冷たいタブレはさらに食べやすい。お惣菜屋さんやスーパーにも置いてあり、手軽に食べれる一品だ。初めて食べた時、なんて素晴らしいんだと感動した。飽きのこない、食欲不振なんてどこかに吹き飛ぶ一品だ。
 我が家でも夏に限らず、時々作って冷蔵庫に入れておく。クスクスは戻して、塩、胡椒、オリーブオイルで味付けする。野菜はあるもので。トマト、あればズッキーニ、なければきゅうり、タマネギ、茄子、パプリカ、炒められるものはオリーブオイルでしんなりさせる。あとは、ミョウガを入れたりして、塩、胡椒、レモンで味を整える。きゃ〜、食べたくなってきた。フランスで、友達の家の冷蔵庫から取り出したいな。。

2014/07/10

エコ


 そういえば、ここ数年、日本でもエコに取り組む人が多くなっている。リサイクルやリユース、いろんな取り組み方があるが、フランスはずいぶん前から、毎日の生活の中で実践され続けている。
 
 例えば、ゴミの分別も徹底している。ペットボトルや段ボール、お菓子の箱、新聞は同じ日に出す。一軒家の場合、各家庭に置かれている大きな緑色のゴミ箱に、全部ぐちゃっと入れちゃっても大丈夫だ。アパートの下にも同じものが置かれている。これはリサイクルできるもののゴミの日。面倒くさがりのフランス人でもできる方法だ。
 最近、日本でも多くなってきたけど、スーパーのレジ袋もなく、もし欲しいならオリジナルの袋を買うように、レジ横に吊るしてある。レジ袋のあるスーパーでも、薄くてすぐに破れてしまい、あんまり役に立たない。だから、みんなエコバッグを持ち歩く。Marchéにもかごやカートを持って行くのが当たり前だ。
 パリにはリサイクルしたものを扱うお店も多くある。タイヤを使ったオブジェ、いらなくなったゴムを使ったブレスレットなど。そのお店で買った鏡の裏は、よくあるチラシなどの裏紙だった。ちょっとお洒落な界隈のちょっとおしゃれなお店で、こんなモノたちが置かれている。
 
 こんな光景は今に始まったわけではなく、ずいぶん昔から、当たり前のこととして、さらりとやっていることなのだ。道端に家具や椅子が捨てられていると、あっという間に誰かが持って行ってしまう。私も暮らしている頃はしょっちゅう持ち帰っていた。今、アンティークのお店で高く売られているようなものが捨てられていたのだから、拾わないわけにはいかない。
 いつか、かかとがすり切れ、側面も破れてしまったお気に入りの厚底スニーカーを、泣く泣く捨てたとき、ものの10分でなくなっていたことがある。とにかく、誰かが捨てれば必要な人が拾い使う。まさにエコを地で行くフランスだ。すごいな、フランス。

2014/07/09

双子


 今はイギリスを離れ、家族でアイルランドに住むIsabelleは双子だ。フランス人の友達や知り合い、見渡しても双子はIsabelleだけ。IsabelleとDominiqueは二卵性双生児なので、全然似ていない。でも、なぜかIsabelleとお兄さんのFrédéricは双子のように似ている。Isabelleは生まれた時から前髪の部分が白毛だ。まるで染めているかのように白い。Frédéricも同じところが白く、そして、それはパパからの遺伝だ。Kiraが産まれる前、「同じように前髪が白ければいいな」と言っていた。でも、残念ながら白毛ではなかった。当たり前だけど、世界中、どこの国も親子って似るんだな。Kiraはパパ、Markにそっくりだ。

 Isabelleとは同い年ということもあってか、気を遣うことなく、一緒にいられる友達のひとりだ。フランス人であって、フランス人の気質をあまり感じることのない、ちょっと稀なフランス人。小さい頃住んでいたアフリカにもルーツはなさそうだし、ドイツ人のママに近いわけでもない。恥ずかしがり屋で、人に気を遣う。おおらかだけど、繊細。ああ、そうか、きっと日本人に似ているのかも。そんなIsabelleは今日、ひとつ歳をとった。
 "Bon anniversaire Isabelle!" 

2014/07/08

ジャガイモ


 フランス人の大好きなもの、ポテトチップス。アペロの時にも、ピクニックにも、ちょっと小腹がすいた時にも。キッチンの棚を開けると必ずといっていいほど、ポテトチップスの大袋が入っている。
 フランスは農業大国とは言え、ここまでジャガイモが好きなんて。どこに行ってもてんこ盛り出てくるFrites(フリット)もジャガイモ。付け合わせにもジャガイモ。ここまで来ると、嫌いにならないかと心配になってしまうけど、全然大丈夫らしい。確かに毎日じゃなければ、食べたくなるのはわかる。

 フランス人の友達 Isabelleがイギリスに住んでいた頃、息子と遊びに行った。イギリスは何度も訪れているけど、おいしいものにありつけた思い出がない。でも、Isabelleはけっこうな食いしん坊。きっと、おいしい何かを見つけているはず。
 到着したその日は、Isabelleの旦那 Markが私たちのために料理を作ってくれていた。大きなお皿からはみ出そうな、ケーキの様相のマッシュポテト。「Markの得意料理でよく作ってくれるの」もちろんおいしかったけど。どこへ行ってもジャガイモは無敵だ。

2014/07/07

Pharmacie


 旅に出るといろんなことが起きる。それが思い出になったりするわけだから、楽しんでしまえばいいのだけど、それが風邪を引いたとか、体調が優れないなんてことだったら、ちょっとつらい。

 旅支度の中に必ず入れるもの、お薬。そんなに大して入れて行かないけど、頭痛薬と風邪薬くらいは持って行く。もしもの時のお守りみたいなものだ。出発する前は仕事や準備やらでバタバタして疲れているけど、そんな時は機内でぐっすりなので、かえって調子がいい。でも、機内で眠れなかったとか、着いたらいきなり寒かったとか、そんな些細なことで風邪を引いたりする。もし、誰かに移されたものであれば、日本からの薬も効かなかったりするので、そんな時はPharmacie(ファーマシー)『薬局』へ行くとよい。みんな、親切に対応してくれる。そうだ、スーパーや郵便局とかでは、みんな面倒くさがったり、トロトロと時間をかけたりするけど、薬局は親身に素早く対応してくれる気がする。フランス人、弱い者いじめはしないのだ。フランス語で説明するのはなかなか至難の業だと思うけど、ちょっとした単語とジェスチャーで意外といけるものだ。

 フランスでは、熱が出ると水風呂、これは有名な話。水と言っても、ぬるめのお湯と言った意味だけど。ちなみに私も熱のある時はシャワーを真っ先に浴びると治る気がする。

2014/07/06

電波


 今どきは携帯電話も普及して、いつでも、どこにいても連絡が簡単に取れ、ほんとに便利だと思う。たまに山奥に実家があるとか、出掛けたキャンプ先とか、ごく稀に携帯がつながりにくいってことがあっても、音信不通になるなんてことはめったにない。

 何度も出てきたIsabelleの実家は、しつこいようだけど、想像を遥かに超えるぐらい広い。そして、人里離れた田舎なので携帯の電波の届きが悪い。広い敷地の一カ所にだけポイントがあり、そこで電話をかけるしかない。それじゃあ、家の電話にかければいいじゃんってことなんだけど、日中は外でくつろいだり、プールにいたりで家の中にいないし、とにかく広すぎて電話の音が聞こえない。Isabelleが実家に帰ると、何日も連絡がつかないなんてことになり、伝書鳩でも飛ばしたい、そんな気持ちにさえなる。
 
 普段、ひとりで暮らすIsabelleのママは大変じゃないのかなと思うけど、毎日、家の諸用事をしてくれるClaudと週に2, 3回は家の掃除をしに来てくれる人がいて、何ら困ることはないらしい。日々の退屈さはポーカー仲間のおかげでないと言っていた。
 数年前、近くにインターネットカフェができたらしい。Isabelleのママはそこに通っているようだ。あれ、そんな近くにそんなのができるのなら、家の中にも電波が届くようにしてあげればいいんじゃない?

2014/07/05

移動パン屋さん


 パリには、Boulangerie(ブランジュリー)がこれでもかというぐらいある。例えていうなら、東京のコンビニくらいの感じだろうか。ちょっと歩くと、また目に入る、そんな感じなのだ。日本の田舎と同じく、フランスの田舎も車がないと生活できない。日本よりも遥かに敷地面積が広いフランスだから、隣の家を探すのすら困難なところもある。
 
 Isabelleの実家はBergerac(ベルジュラック)から車で20分ほどのところにある。隣の家は遥か遠く、あるのは広大な自然だけだ。買い物も大変だ。週末に開かれるMarchéで果物や野菜、チーズを買い、少し離れたスーパーに買い出しに行く。困るのは毎日食べるパン。すぐに固くなってしまうバゲットを買い置きするわけにはいかない。この辺りでは、週に2回、移動パン屋さんがやってくる。車に載せられたパンは出来立て、というわけにはいかないけど、今朝焼いたものを持って来てくれる。特に、高齢者家族にはありがたい存在なのだ。昔、私の住んでいた田舎でも車でパンを売りに来ていた。そのまた、少し前はロバが運んで来ていたのだが、きっと、ここフランスでも昔はそうだったんじゃないかな。移動パン屋さん、小さな村ならではの工夫だ。
 
 ちなみに村に唯一あったCaféは、数年前になくなった。Isabelleの実家から歩ける距離にあり、人口200人ほどの村なのにいつも繁盛していた。さて、今はどんな風になっているんだろう。

2014/07/04

犬や猫


 フランス人は動物好きな人が多い。アパートでは動物を飼ってもよいし、周りに嫌が人もあまりいないので、やっぱり、犬や猫を飼っている人が多い。

 散歩するのはいいんだけど、道に犬のウンチを残して行く、そんなフランスの常識にはやっぱりついていけない。あぜ道ならまだしも、石畳の道にポツンと残されたウンチはどこにも消えない。よく、ウンチを踏んづける友達がいた。「なんか、におうよね」そんな時はだいたい、その子がウンチを踏んじゃったまま、家に来た時だ。パリの生活にウンチの話は切っても切れない。
 
 パリ郊外のMarieの家の猫、ドミノは自由に出入りして、何日も戻ってこないことなんて日常茶飯事だった。時にはお腹をすかせて、時には獲物をくわえて得意気に帰って来たものだ。でもやっぱり、田舎に行けば行くほど動物たちも自由だ。
 BergeracのIsabelleの実家で飼われていた犬、ピピットはどこが家なのか、どこが外なのかわからない感じだった。外へ出たつもりでも、10ヘクタールもある敷地の中は、どこまでも自分の家なのだ。でも時々、迷子になり、不安げに帰ってくることもあった。何ともまあ、贅沢な。。

2014/07/03

日本人?


 パリはもちろん、フランスの地方を旅する日本人も多い。「この村に日本人が来たのは初めてだよ」とよく言われるが、たぶん、アジア人の見分けは彼らにとって難しいし、小さな村は見るところもないから、みんな素通りするんだと思う。たぶん、村に留まってのんびりしている私たちを見て、こう言うのだろう。

 Bretagne地方にある、Morlaix(モルレー)は海もあり、夏になるとヴァカンスを楽しむ人が集まってくる小さな町だ。ここは、Marieの実家に来た際に降り立つ駅であり、夏祭りにも何度も訪れたところだ。町の中心には広場があり、これを取り囲むように小さなお店が集まっている。その中にアフリカンな布やアジアンテイストの小物、アクセサリーを取り扱うお店があり、何度も通っている。
 
 この年も、夏祭りの最中にここに立ち寄ってみた。店主と一言二言交わすとこう言ってきた。「奥にいる客が日本人っぽいんだけど、フランス語がわからないみたい。サイズや素材の説明をしたんだけど理解できなくて、もしよかったら、説明してあげてくれない」
奥を見ると、確かに日本人のようだ。近寄り、声をかけてみた。「日本人の方ですか」「・・・」あれ、違うのかなと思ったけど、ひとり言のようにつぶやく言葉は明らかに日本語だ。何度、話しかけても首をかしげるだけ。。何で? 店主にそれを伝えて、お店をあとにしたけど、ほんとに何だったんだろう。。
 そういえば、パリでも地図を広げて迷っている日本人に「大丈夫?」と声をかけたら、一目散に逃げて行かれたこと数回。そんなに怖く見える、わたし?

2014/07/02

テント



 夏のヴァカンスといえば、フランスの若者はバックパックとテントを背負って、旅に出かける。高校生になった頃から、友達同士でキャンプに出かけたり、友達の祖父母の家に行ったりするのに、テントはなくてはならないものだ。

 Marieの子供たちは毎年、ボーイスカウトのイベントで、7月あたまからキャンプに出かける。一ヶ月近く、まだ学校に行っていないくらいの子供たちから、二十歳を過ぎた子たちの団体でキャンプを行うらしい。100人とか、それ以上集まると言っていた。トイレもシャワーもなく、火も自分たちでおこし、基本的には自炊で過ごすみたいだ。何度か、息子も誘われたが、参加できないまま今に至る。あ〜、残念。年齢が上の子たちが下の子たちの面倒を見て、テントの設営から料理まで教えてくれて一ヶ月も過ごすなんて、ほんとに楽しい一生の思い出になるに違いない。

 そんなイベントには参加できないままだけど、テントで一晩過ごした思い出はある。BretagneのMarieの実家の庭で、だ。いつもの滞在時は、前にも書いたシャンブル ドットに泊まるのだけど、Aliceの友達数人が、テントで寝泊まりするのをちょっと羨ましく思ったのだ。
 夏とは言え、Bretagneの夜は肌寒い。毛布や布団を用意してもらい、庭の真ん中にテントを張った。すぐそばの家にはMarieたち、近くにはAliceの友達が泊まるテントがあるにも関わらず、風と遠くで鳴る木々の音がちょっぴり怖かったりして。。
 でも、きっと友達んちの庭でテントを張って寝た家族なんて、しかもフランスで。。あんまりいないだろうな。 

2014/07/01

お洒落


 時々わからなくなる、フランス人はお洒落なのかそうでないのか。
 雑誌の中の、パリコレ特集やセレクトショップのスタッフが出てくるページは、みんなが思い描くようなパリジャン、パリジェンヌなのだと思う。確かにモデル張りのスタイルに、奇抜なファッションでかっこいい。でも、果たしてそんな人ばかりが街角を歩いているのか。もちろん、おしゃれでステキな人もいるけど、ちょっとびっくりするような恰好の人も多い。よく言えば個性的なのだ。
 フランスでは、学生は学生らしく、若くて何を着てもそれなりに決まる人はそれなりに、お金持ちのマダムはそれらしく、とにかく分相応をわきまえている。フランスの若者の足元を見ればすぐにわかる。みんな、ボロボロのスニーカーを履いているのだ。バッグだって、ブランド品を持っている子なんてほとんどいない。自分で稼げるようになってからも、お金のかけ方は日本とフランスでは違っていると思う。
 
 某ファッション誌のフォトエディターのLaurenceは、同世代のおしゃれな友達だ。妥協を許さない、買い物に出かけても時間をかけて、じっくりと選ぶ派だ。
 数年前、ひとりでパリを訪れた際、我が家の男子ふたりにスニーカーを頼まれた。日本では売られていない、ヨーロッパ仕様のものだ。もともと、パリは東京ほどものが溢れているわけではない。Lanrenceとめぼしい店をまわったけど、ことごとく置いてなかった。さんざん歩いたけど見つからず、メトロで移動し、また歩き回ってそれでも見つからない。。ふたりとも疲れ果て、でも気持ちがわかるから、なんでもいいじゃんとも言ってこない。。これはdéjà-vu(デジャヴュ)だ。Laurenceの日本での買い物につき合ったときにもあった。マダムにはまだ遠い私たち、これでいいのよね、Laurence。