2014/05/31


 だんだん、夏が近づいてきた。今日みたいな暑い日には、水分補給が欠かせない。フランス人はとにかく、水をたくさん飲む。ミネラルウォーターを大量買いしておき、いつでも手の届くところに置いておく。のどが渇いて起きるなんてことは、日本ではほとんどないけど、フランスでは枕元に水を置いておくのが、習慣になっているので、フランス人の友達の家に泊まると必ず、寝る前に1.5ℓのペットボトルを渡される。

 水道水は硬水だから、常に飲むのは好まないけど、フランスの水道水は飲料可となっているし、「たまに飲むと身体にいいのよ。カルシウムが摂れるから」とMarieも水道水を時々、飲んでいた。コーヒーや紅茶を作るときも水道水だ。子供たちも甘い炭酸飲料よりもミネラルウォーターや炭酸水をよく飲んでいる。
 
 最近、日本でも炭酸ブームが続いている。飲むのはもちろん、顔や頭皮、身体中、どこでも使える定番美容アイテムになってきた。何だかんだ言っても、ずいぶん昔から習慣として生活の中に取り入れていて、無理なく、健康や美容に気を遣っているフランス人ってすごいな。

2014/05/30

Elianeからのメール



 つい、1週間ほど前、Elianeからメールが届いた。「Midoriがいないから、仕方がないので1人でブロカントに来てるのよ」と。いまのこの季節、毎日のように、あらゆるところで、いわゆるフリマが開かれている。広場や公園、普通の道までもが会場になって、業者の人から家の要らないものを売る一般の人たちまでいて、ワクワクするこの季節。Elianeとは、お互いに子供のいなかった頃は2人で、子供ができてからはみんなでよく出かけた。
 
 さて、この季節のブロカントはちょっとしたお祭りで、屋台はもちろん、ワークショップやイベントも行われていたりもする。子供たちは、絵を一緒に描いたり、髪を編んでもらったり、顔にペインティングしてもらったり、子供も大人も一緒に楽しめるのだ。息子たちも顔にいろいろ描いてもらい、お互いの顔を見合って楽しんでいた。一日、そこで遊んで大満足。
 でも、家に戻ってからが大変だった。何で描いてあるのかわからないが、洗っても洗っても、なかなか落ちないのだ、顔のペインティングが。何度もこすると痛くて嫌がるし、きれいに落とせず、しばらくうっすらと残っていた。取れやすいもので描いてほしかったな。これもまた、フランス人。

2014/05/29

おまけ付き


 最近、ポーチやトートバッグなど、おまけが付く雑誌やムック本が、日本でも大人気だ。フランスでは、かなり前からおまけ付きの雑誌が売られていた。例えば、Agnès bのリップや爪のお手入れセット、人気のアーティストのCDとか、なかなかのものが付いていて、友達へのおみやげにも喜ばれた。そうなってくると、雑誌を買ったらたまたま付いていたのか、おまけが欲しいから雑誌を買うのかわからなくなってくる。
 
 フランスでは、雑誌の小型版もずいぶん前から書店に並んでいた。紙ものは重く、かさばるので、内容は全く同じで小さいなんて、考えた人はすごいなぁと感心したものだ。もちろん、写真重視の雑誌などは普通の大きさのものを選ぶけど、情報を得たいだけのものなら、小型版で十分だ。それがやっと日本でも見られるようになり、喜んでいる人も多いんじゃないかなと思う。でも、値段を見てびっくり。フランスで売られているものは、何割か安く売られている。安いのは、小さいんだから当然だと思っていたけど、日本ではほとんどが同じ値段で売られているのだ。中身は同じなんだから、当然といえば当然だけど。。たぶんフランス人は納得しないだろうな。

2014/05/28

スポンジ


 キッチンに置いてあるスポンジで、どこでも拭いてしまうフランス人、これは有名な話。食器を洗うスポンジでシンクも洗い、テーブルはもちろん、どこでも拭いちゃうのだ。料理を作りながら棚の中を掃除したり、壁なんかも拭いてしまう、同じスポンジで。。
 これをやらないフランス人を見たことがない。大雑把なフランス人も几帳面なフランス人も関係ない。初めて目にすると、ぎょっとする光景だが、スポンジは汚れもよく取れるし、水も吸ってくれるから、理にかなった方法だとも思う。食洗機のある家だと、スポンジを使って食器を洗うことも少ないから、掃除用だと思えば許せるかも。でも、掃除用と食器用を分けてるわけではない。これがフランスの常識だから、見て見ぬふり、郷に入れば郷に従えか。。でも、床までは。。そう、床まで拭いちゃったりもするのだから、スポンジも真っ黒でボロボロ。
 でもまあ、これに慣れてしまうと、つい同じようにスポンジでテーブルを拭いている自分がこわい。。もちろん、フランス滞在中だけだ。でも、やっぱり床まではちょっと。。無理かな。

2014/05/27

身だしなみ


 朝の支度は、何だかんだと時間がかかるものだけど、フランス人の友達は何ともまあ、あっという間に支度が済んでしまう。まず、ちゃちゃっと顔を撫でるだけか、化粧水で拭き取っているだけの人もいる。もしかしなくても、洗っていないなんて人もいるはずだ。フランスの水道水は硬水だし、しかも、湿度が低いので、念入りに洗顔なんかしていたら、顔面がガビガビになってしまう。化粧水やクリームをつけたら顔の支度は終了だ。
 きちんとメイクをしている友達は、ほとんどいない。睫毛は長く、くるんと上を向いているし、人によって髪や皮膚の色素が違うのは当たり前のことだから、眉が薄くても描いたりしない。要は自然が一番ってことだ。ただ、少し年齢を重ねてくると、出かけるときにリップだけ、という人が増えてくる。また、その塗り方が無造作でかっこいい。きちんとブラシで塗るわけでもなく、口紅をささっと塗り、はみ出したところを手で直すだけなのだ。日本のおばあちゃんもそうだなと思い出した。

 大人になるとこんな感じだけど、高校生くらいでメイクに興味を持つ時期がある。アイラインやリップグロスを使ってみたり、どんどんエスカレートしてビジュアル系メイクになってくる子も、ちらほら。そして、男の子にもそんな子たちがいたりして。。日本の若者がお手本だと言っていた。どこにいる、そんな若者? もしかして、マンガ? 

2014/05/26

お弁当


 食の豊かなフランスで、なぜ今まで、お弁当が流行らなかったのか不思議だ。子供たちは学校に昼食を持って行くとき、サンドイッチをささっと作るのだが、バゲットにバターを塗って、ハムとチーズ、そんな簡単な昼ごはんだ。それにポテトチップスをちょっとつけて、おしまい。毎回、これだと飽きてしまうし、子供たちが作れちゃうのだから、開けたときの楽しみがないのはちょっとさみしい。
 
 今、フランスでは日本のいわゆる、普通のお弁当が流行っているらしい。そういえば、日本にやって来たフランス人の友達が、お昼にお弁当を買って食べるのが楽しみと言っていた。Caféやレストランでの昼食が高くつくパリに比べて、日本のお弁当は手頃な値段でいろいろ選べるから、楽しいみたいだ。
 フランスでの滞在中、フランス人の友達に必ず、和食を作ってあげるのだが、簡単にできるうどんやお好み焼きを作ることが多い。でも、きっとお弁当を作ってあげたら喜んでくれるだろうなと、ふと思った。お弁当は作れないけど「いろんなお弁当箱があっていいよね」と、Isabelleは東急ハンズに何度も通っていた。今度、フランス人へのおみやげに悩んだら、ぜひ、お弁当箱を。きっと、喜んでくれるはず。

2014/05/25

重いスーツケース


 蚤の市もブロカントも大好きで、あれもこれも欲しくなり、ついつい買ってしまうのだが、持って帰れるものには限度がある。搭乗時、預けられる荷物の重量は決まっているのだから、それ以上は超過料金を払うか、別便で送らなければならない。フランスの空港では、担当してくれた人によって大きく変わってくる。少しぐらい大目に見てくれる人もいれば、超過料金を払うか、ちょうどいい重さに調整してと言われたりする。私はいつも、友達の家にある体重計でスーツケースを計ることにしている。

 何度か、息子とふたりだけでフランスへ行った。保育園の頃だから、まだ小さく、スーツケースを押すこともできないし、下手すれば、「眠いからだっこ〜」の時期だ。荷物はスーツケース1個とそれぞれのリュックに、機内持ち込みのバック。行きは、ほとんど荷物がないのだが、帰りは荷物が増える。陶器やワイン、雑誌や絵本、とにかく重いけど、この際、持って帰りたいものばかりだ。息子は小さいとはいえ、大人分のチケット代を払っているわけだから、持ち帰れる荷物も二人分に決まっている。そこまではいいのだが、スーツケース2個は、やっぱり、ちょっと無理だ。というわけで、荷造りしてみたら、なんとか、1個のスーツケースにまとめることができた。でも、計ってみると、なんと驚きの40 kg。。自力で持ち上げることも、運ぶこともできない重さ。想像通り、空港ではカウンターのフランス人にだめだと足止めされ、私は必死で懇願したり、怒ってみたり、ちょっと泣きも入れつつ。。嫌な顔をされたが「今回だけだからね」と念押しされ、どうにか持って帰ることができた。空港までは男友達に持ってもらったけど、帰り着いた空港でグルグル回るレーンから、重過ぎてなかなか下ろせず、そして、機内でぞんざいに扱われたのか壊れていて。。
 無理はだめだなとちょっと思ったけど、フランス人相手にひるんではいけません、話せばわかる、ほんとはやさしいフランス人。Merci!

2014/05/24

L'appartement


 昔、とても気になる女優がいた。映画を観るとき、どちらかと言うと、この監督の作品だからという理由で観ることが多いのだが、一時期、ある女優の作品を追いかけていた時期がある。
 Romane Bohringer(ロマーヌ ボーランジェ)というフランス人だ。決して、かわいいとかではないのだが、どこか魅力のある演技派だ。初めて、彼女を観たのは Les Nuits fauves『野生の夜に』という映画だった。この映画の原作、監督、主演の Cyril Collard(シリル コラール)が、映画が完成した翌年に35歳という若さで亡くなったので話題になった。余命を知りながら作った映画として、話題が先行していたのではなかったかと記憶に残っている。そういう状況下にあったからか、出ている俳優陣も迫真の演技だった。ここから、彼女の作品を立て続けに観た。Mina Tannenbaum『ミナ』という映画の切ない友情、ファッションのかわいさも印象に残っているけど、一番のおすすめは L'appartement『アパートメント』という映画だ。好きになった人が親友の彼氏だったという、よくあるストーリーではあるけど、時系列が複雑で、その複雑さがより心情の深さを表現していて、見終わったあと不思議な感覚になる映画だ。一度観ただけでは、きっと理解できないので何度も観たくなる、そんな映画。年を重ねてますます味の出てきた、Vincent Cassel(ヴァンサン カッセル)も出ている。
 
 その頃、パリの劇場前で偶然会ったロマーヌ ボーランジェは思ったよりも小柄で、静かな空気に包まれた人だった。顔も小さくて、顔の横幅が普通の人の半分ほどしかなかった、いやー、ほんとに。

2014/05/23

GUERRISOL


 パリに暮らしていた頃、まだ通貨はユーロではなく、フランだった。1F(フラン)が20円にも届かないほどで、物価もかなり安かった。
 あの頃、蚤の市に行くのと同じくらいはまっていたのが、Montmartre(モンマルトル)界隈にある、GUERRISOL(ゲリソル)。古着やさんなのだが、おしゃれな感じは微塵も感じられない倉庫みたいなところに、ハンガーラックやワゴンが並んでいる。ほとんどが「げーっ、何、この服?」って感じなのだが、時々、メゾンのヴィンテージのコートやらスカーフが、変なものに混じって売られていたりしたのだ。しかも、10Fだったり20Fだったり、驚きの値段で。布ものも充実していて、今でこそ、おしゃれな古着屋さんで売られているようなデッドストックのカーテンやシーツが、5Fのワゴンセールで店頭に並んでいた。私は足繁く通い、そんな物たちに囲まれて生活していた。
 
 パリは、家具付きアパートも多く、荷物が少ないので、電車やバスでの引っ越しが、私たちのまわりでは普通だった。何回かに分けて運ぶのだが、最後の日まで使っていたシーツやお布団カバーは最終の荷物の中に入れるはずだった。ちょうど、その日は引き渡しの日で次の人にはそのことも伝えてあった。しかし、ベッドの上にきちんと畳んでおいた、シーツと布団カバーがない。「あの、ここに置いておいたものは?」「あっ、捨てました」「えーっ?」「そんなに高いものだったんですか?」「。。。」そりゃー、ゲリソルの5Fのシーツと布団カバーで安いけど、お気に入りのしかも一点ものだぞ〜。。と言いたいところだったが、わかる人にしかわからないものもある。泣く泣く、涙を飲んだ。うーっ、悲しかった思い出。。 

2014/05/22

待ち合わせ


 今さらだが、携帯電話って便利だなと思う。かつてパリに住んでいた頃、パソコンも携帯電話もあまり普及していなくて、連絡ツールは家の電話だけだった。公衆電話もたくさんあったけど、異国から移り住んできた人たちが、国の家族に電話しているのか順番待ちをしている。じゃ、他の公衆電話で、なんて思っても、どこもかしこも列をなしている。いやいや、みんな長電話なんてものじゃない。一時間しゃべりっぱなしなんてこともざらで、ちょっと待ってるのよ〜的なアピールをしても、露骨にいやな顔されたり、見ないふりをするのだ。だから、外出時の電話はできる限り避けたかったし、友達との待ち合わせは、場所と時間をきちんと決めておかなければ、ちょっとばかり面倒なことになる。
 フランスでは人の家にお呼ばれした時、少し遅れて行くのが礼儀なのだが、外での待ち合わせは時間通りに来るのが普通だ。でも、何だかんだ言って、遅れてくる友達が多い。携帯がある今なら、すぐに連絡がつくのだが。。
 
 今でも時々、そんなことが起きる。日本に遊びに来たフランス人との待ち合わせが、これまた一苦労なのだ。フランスから携帯は持ってきていているけど、電話機能は使えない。でも遅れるんだったら、メールぐらいはできるんじゃない? そこはフランス人らしく、何食わぬ顔でやってくる。

 ある日、フランス人の友達の友達が来ることになった。こういう機会も多く、私は大歓迎だが、待ち合わせだけは、ちょっと困る。初対面で遅れてこられると、怒るに怒れない。また、言い訳がすごい。「ここには時間通りに着いてたんだけど、待ち合わせの交番がわからなくて。。」えーっ、もう1時間も待ってるんだけど。。しらっと言ってしまうその姿に怒る気も失せ、ちょっとかわいく見えてしまうのは私だけ?

2014/05/21

ナイフとフォーク


 フランスでは、ほんの小さな頃からナイフとフォークを持たせる。しっかりと使いこなせなくても、だ。お肉なんかが切れないときは手伝ってあげるが、ナイフとフォークを持ち替えることなく、しっかりと左手に握られたフォークでお肉を刺す、利き手が反対なら右手だが。お箸の作法よりは簡単だと思うが、ほんとに小さい頃から器用に使いこなせるようになる。

 ある時、フランス人の友達の家で食事をしているとき、友達がこう言ってきた。「ウチの娘には、きちんとナイフとフォークを使えるようになってほしいのよね」3歳にも満たないが器用にサラダを食べていた。「だんなが、何でもあらかじめ切っておいて、右手にフォークを持ち替えて、最後までそれで食べようとするのよ。それを娘が真似しようとするの」と怒っている。聞くと小さい頃、右手で食べることを注意されなかったので、今でもつい、クセでそうしてしまうらしい。
 最近はお箸も上手に使えるフランス人が増えてきた。和食が日常的に食べられているというのもあるけど、ナイフとフォーク同様、きちんと使いこなしたい人が多いようだ。長年、日本に住んでいたDanielleがちょっと怒りながら、こんなことを言っていた。「食事に行くと、しょっちゅう、ナイフとフォークを持ってくるのよね、お箸でいいのに」と。それは日本人の気遣いだとわかっていても、腹が立つらしい。本人はお箸もきちんと使えるし、お箸で食べた方がおいしく感じるものってあるな、確かに。
 
 息子も3歳から、フランスではみんなと同じようにナイフとフォークを使って食事していた。「保育園では、りんちゃんしかできないんだよ」と自慢げだったな。お箸より上手だったかも。。

2014/05/20

女子会


 昔は井戸端会議とでも言っただろうか。最近では女子会なるものが、ちまたで流行っている。いや、今に始まったわけでなく、昔から女子が集まり、飲んで食べておしゃべりするのは、きっと何より至福のときなのだ。

 フランス人も例外でなく、女数人集まると、楽しいおしゃべりが始まる。昨日食べたお肉が美味しかったとか、子どもの学校のプリントが多くて困るとか、ほんと何でもないような話が多いのだが、意外にもフランス人は政治や経済の話もよくする。新聞やニュースもよく見るし、フランスのことだけでなく、世界の情勢にも関心を持っている。質問攻めに合うこともしばしばで、なぜか日本人の私より、日本のことに詳しかったりすることもあるのだ。観る視点もおもしろく、あの政治家はもっと笑えば支持率が上がるんじゃないかとか、なかなか的を射ていておもしろい。フランスでは、あの政治家が女優とつき合ってるだとか、奥さんが逃げただとか、世間を騒がすことが多いが、フランス人は寛大に容認してくれる。「人間なんだからそういうこともあるわよ」と。しかし、自分たちの生活に関わることを疎かにされると容赦ない。フランス人、味方につければ怖いものなし、敵にまわすと恐ろしいのだ、ほんとに。

 さて、国は違っても、テーブルにおいしいものが並んでいて、楽しい話題があれば女子会はいつでも、どこでも楽しい。

2014/05/19

Nantesのゾウ


 大きなものには圧倒される。動物で言えば、ゾウだろうか。国立自然史博物館で見たゾウのシアムもそうだった。とにかく、大きくて迫力がある。インドで生まれ、晩年を除けば、ずっとヴァンセンヌの動物園にいたそうだ。今もなお、博物館の一番人気と聞いた。
 
 ゾウと言えば、ナントで見たゾウもでっかくて迫力があった。Claudeの家に遊びに行ったとき、ナントのことをあまり知らなかった。サッカーのチームがあるとか、Lu (リュ)というBiscuit (ビスキュイ)『ビスケット』が作られた町とか、そんな程度だったのだが、Claudeに連れられていった、Les Machines de l'lle Nantes(レ マシン ドゥ リル ナント)『ナント島』にいたのだ、このゾウが。La Machine(ラ マシン)という集団が作った機械仕掛けのゾウなのだが、本物みたいとは言えないが、首をかしげたり、瞬きしたりもする。45分かけて敷地内をゆっくり歩くと、ゾウに乗っている人、ついて行く人たちでゾウのまわりは、たちまち人で溢れる。時々、ゾウが雄叫びを上げる瞬間、みんなの歓声が湧き上がる。何より、ひと際歓声が強くなるのは、鼻から水を噴く瞬間だ。
 猛暑となったこの夏、冷房のほとんどない町の中では涼を感じられ、もってこいだなと思ったが、冬はどうなんだろう。。まっ、とにかく子どもは喜ぶこと、間違いなしだ。

2014/05/18

Mosquée


 国立自然史博物館で、動物たちの大行進を堪能したあとに必ず立ち寄る、Mosquée(モスケ)。ここの甘いミントティーを一度味わうと、ほんとにクセになる。とにかく、中庭の開放感とパリであってパリでない、この感じがなかなかいい。パリの魅力のひとつには、パリっぽさと、違う国の文化がうまく合わさっているところにあると思う。
 
 さて、ここではお店の人が、プレートいっぱいに載せて運んでくるミントティーと、どれを頼めばいいのかわからないくらい、種類が豊富なアラブのお菓子を頼む。中庭のテラスの木々にはスズメたちが待機していて、お菓子のおこぼれを狙っている。これがまた不思議なことに、食べ終わる寸前を見計らったように降りてくるのだ。こうなると、あげないわけにはいかない。
 アラブなお菓子は見た目も小振りでかわいいし、つい食べてしまうのだが、未だに種類を覚えるどころか、味の違いがわからない、正直言って。。胡桃やアーモンド、ココナッツを使ったものが多く、においも味も似たものが多いと思う。なので、毎回、お店の人にいろいろ聞いて頼んでしまうので、味も名前もいつまでたっても覚えられない。でも、いつも、おいしかった〜と満足するので、結論、どれもおいしいってことだ。油で揚げているものが多いので、意外にすぐにお腹いっぱいになるから、頼みすぎないように要注意。でも、一個ぐらいおすすめを書きたかったな。。

2014/05/17

Muséum National d'histoire Naturelle


 フランス人はお金をかけず、余暇を楽しめる達人だと思う。パリの郊外には、Parc Disneylandもあるし、昔から慣れ親しんでいるキャラクター、Astérix(アステリックス)のテーマパークもあるが、あまり行かないと言っていた。料金も高いし、お金をかけない楽しみ方を知っているからだろう。プールやピクニックもそうだが、美術館や博物館も曜日や時間によって割引や無料になるのをうまく利用している。混んだりして並ぶのはいやだけど、小さな子どもが一緒だと優先的に入場させてくれる美術館などもあり、子どもに優しい国だなとつくづく思う。

 さて、お金を払ってでもぜひ行きたいのが、Muséum National d'histoire Naturelle 『国立自然史博物館』だ。おすすめはGrande Galerie de l'évolution『進化の大ギャラリー』だ。ここにはきりんやゾウ、ありとあらゆる動物の剥製が展示されている。剥製だから当たり前なのだが本物みたいで、今にも動き出しそうな迫力だ。しかも、館内が薄暗い照明で、より臨場感に溢れている。ライトアップされた動物たちが美しく、まるでアートのようでもある。同じ敷地内には植物園もあり、子どもと一緒に存分楽しめる。そして、もうひとつのお楽しみは、進化の大ギャラリーに隣接しているMosquée(モスケ)で、甘ーいミントティーを飲むこと。いやいや、こっちがメインじゃないよ。

2014/05/16

プール好きのフランス人


 フランス人は泳ぐのが好きだと思う。泳ぐのが好きなのか、海やプールが好きなのかわからないけど。そもそも、泳ぎが得意なのだろうか? とにかく、ヴァカンス=水着なのだ、大人も子供も。

 パリ滞在中に時間が空くと「どこ、行きたい?プール?ピクニック?」とよく聞かれる。子どもたちが小さかったということもあるのだが、地方へ行っても海へ行くし、なので、フランスへ行くときは水着持参だ。
 パリで行くのはいわゆる市営プール。そして、庭にちょっと大きめのビニールプールが置かれている友達の家も少なくない。さて、そのプール、けっこうな量の水が必要だ。夏の間はずっと置かれているのだが、毎日、水を入れ替えるって訳にもいかず、少々、不衛生ではあるがそこはフランス人、まぁ、死にゃあしないわよって感じだ。息子が小さいころは「飲んじゃだめよ、目は開けないようにね」と言ってたような気がする。
 
 いつだか、AliceとEveが日本に遊びに来たとき、タイトなスケジュールで東京を満喫していた、あそこも行きたい、ここも楽しそう〜と。ふたりは夜遊びもかなりしていたため、ちょっとお疲れ気味。でも「今日、ちょっと空く時間にプールに行きたいんだけど、どこかプールある?」と聞いてきた。えっ、疲れてそうなのに。というか、水着持ってきてるの、東京観光に? 実際、ほとんどの友達が水着持参で日本にやって来る。やっぱり、ヴァカンス=水着という図式は出来上がっている。

2014/05/15

OuiかNon


 もうすぐ、サッカーのワールドカップだ。各国、続々と代表メンバーが発表されているが、フランスがまた波乱を呼んでいる。波乱といっても、サッカー好きのフランス人には、『あぁ、やっぱりね』という出来事なのだろうが。。
 Nasriという選手が代表に選ばれなかったのだ。問題行動が多く、代表にそぐわないという理由なのだろうが、今回が初めてではない。前回大会でも代表に選ばれていないのだ、たぶん同じ理由で。詳しくはわからないが、フランスはとてもシビアな国であると思う。もちろん、他にもたくさんいい選手はいる。それでも、ずっと好成績を残せていないフランスだから、勝つために、Nasriも一応入れておけばいいじゃん、みたいなことにはならないのだ。OuiかNon、どちらかだ。

 フランス人は曖昧なことが嫌いだ。どんな些細ななことでも、はっきり白黒つけたがる、いや、つけるのが当たり前だ。曖昧なニュアンスで言葉を濁すことに慣れている日本人には、ちょっと戸惑うことも多いかもしれない。しかし、それがまた、つき合っていくうえでは楽ちんなのだ。OuiかNonでしっかり答えないと、加減を知らないフランスの子どもたちには、特にツッコミ入れられるよ〜、ほんとに。

2014/05/14

仲よしな二人


 そういえば、小さい頃、フランスの子どもたちもゲームが好きだったなと、ふと思う。プレステがどの家にもあり、息子と同い年のMarieの娘、Dianeはその頃『天誅』にはまっていた。悪を成敗する忍者ゲームなのだが、まっ、要するに悪いヤツを斬りつけるゲームだ。「てんちゅう〜、てんちゅう〜」と連呼するDianeがかわいかった。けんかすることなく、ふたりで楽しく遊んでいる姿が目に浮かぶ。ゲームもほとんどしなくなった今日この頃、、なんだか、なつかしい。
 
 さて、小さいころのふたりは会話なんかなくても、超がつくほどの仲良しだったわけで、けんかなんか一度もしたことがない。今、考えると不思議だが、ほんとに一度もなかった。性格が似てるのか、ペースが似てるのか。毎年やってくる、言葉の違う息子とDianeには時間や距離は関係ないようで、会うなり手をつないでどこかへ行ってしまい、まるで昨日も遊んでいたかのようだった。しばらく会えていないが、今度、会うときふたりはどんな再会を果たすのだろう。と考えると、ひとりでニタついてしまう。小さい頃、Aliceの仲介のもと、二度も結婚式を挙げたふたり、憶えてないだろうけど。。いやー、楽しみにしておこう、ふたりの再会を。

2014/05/13

日焼け


 さて、私たちが夏のフランス滞在から戻ってくると、みんな口を揃えて言う。「どこへ行ってきたの?」と。1ヶ月ほどの滞在中、毎日、出歩いているのだから、嫌でも日焼けしてしまう、嫌じゃないんだけど。。
 
 フランスの紫外線はけっこう強い。でも、夏の日差しは気持ちがいい。フランス人は肌を焼くのが大好きだ。Caféでは陽のあたる席を探すし、公園でひなたぼっこをするのも大好き。海やプールはもちろん、庭で食事のときもCaféでお茶するときも、サングラスは必需品だ。小さい子どもから、おじいちゃんおばあちゃんまで、老若男女問わず、サングラスをかける。でも、帽子をかぶった人はあまり見かけない。日焼けすることに寛大だ。
 
 息子は生まれたときから肌が黒く、しかもサッカーをやっているので年がら年中、真っ黒だ。パンツのとこだけ焼けていないってこともなく、正真正銘、全身、真っ黒なのだ。友達 Ismaelがある日、真剣な顔で「あぁ、今年はこんなに日焼けしちゃったよ」と言いながら、息子と腕を比べていた。あらま、夏の終わり頃にはあんまり、変わらなくなるよ、ほんとに。私も吸収率には、けっこう自信がある。小一時間、外にいるだけでいい感じに焼けてくるが、息子には及ばない。
 さて、1ヶ月後、気をつけていなければ、いや、けっこう気をつけたつもりが、サングラスやサンダルの日焼けの跡がくっきり。あぁ、全身真っ黒には到底なれない。息子よ、うらやましいぞ。

2014/05/12

Eguisheim


 Alsace(アルザス)の最終日はまず、『フランスの最も美しい村』にも選ばれ、見渡す限り、花いっぱいのきれいな村、Eguisheim(エギスハイム)へ行くことに。ワイナリーもたくさんあり、何より見どころは、お城を中心とした円状に連なる町並みだ。エギスハイム村を堪能し、観光案内所で、一番近い村まで歩いたらどれくらいかかるか聞いてみた。「歩いたことないから、わからないわ。たぶん、1時間くらいじゃない。ほんとに歩くの?」しかも、その村には何もないらしい。でもエギスハイム村が見下ろせて、自然を満喫できればそれでいい。その村にはバスが停まらないらしいので、エギスハイム村で帰りのバスの時間を調べ、いざ出発。
 
 ずーっと続くRoute de vin(ルート ドゥ ヴァン)『ワイン街道』を歩き、時々出会う車が私たちを追い越しながら、やっと目的の村に到着した。人もいない、お店もCaféもない小さな村を少しだけ散策し、帰路へ。エギスハイム村に思ったよりも早く着いたので、Caféでお茶をして、バス停へ向かった。行きのバスの運転手さんに、帰りも同じところで乗ればいいと聞いていたので、当然、同じ道の反対側で待っていた。時間通りにバスはやってきた。が、行きのバスと同じように坂道を上っていってしまった。まさかね?と思っていたら、そのまさか。同じ道を行って帰ってくるのではなく、行きと帰りでは道のりが違うらしかった。運転手さんの言う通り、同じところで乗ればよかったのだ。。幸い、最終のバスが残っていて乗れたけど、気づかず、最終も反対側で待っていたら、と考えるとこわい。タクシーも見当たらないし、もしホテルに泊まってもバスの時間が間に合わず、明朝のパリ行きのTGV(テージェヴェ)には乗れなかった。密かにヒッチハイクかなと思ったりして、それも楽しいなと思ったりもしたが、車もほとんど通らないから無理っぽい。まっ、とりあえずバスに乗れてよかった、ふぅ。

2014/05/11

Alsaceの小さな村


 「Les plus beaux villages de France」『フランスの最も美しい村』に選ばれた村があちらこちらにあるAlsace(アルザス)地方。昨晩、仲良くなったレストランの女主人におすすめの村を聞いた。村を一周するのに1時間もかからないような小さな村がほとんどだが、そのなかでも楽しめるところが多く、観光客が集まる村へまず行ってみることにした。

 Colmar(コルマール)からバスに乗って、30分ほどで Riquewihr(リクヴィル)に着いた。絵本に出てきそうな、ほんとにかわいらしい村だ。まわりはぶどう畑、いきなりそびえ立つ山、自然と共存しているアンバラス感も魅力のひとつだろう。
 Alsace地方の伝統料理といえば、Tarte flambée(タルト フランベ)。見た目はピザみたいなのだが、もっと薄い生地のソースはクリームベースで、何枚でも食べれそうな食感だ。お腹もいっぱいになり、少しのんびりしていたら、もうバスの時間だ。午前中の便で出てきたが、最終のバスがとにかく早い。
 
 村散策にも慣れ、明日はもっと小さな村へ行ってみようということになったのだが、意外な落とし穴が。。次はもっと小さな村をはしごした話。

2014/05/10

旅の計画


 さて、Strasbourg(ストラスブール)からどこへ行こうかな、いつもこんな感じで旅が始まる。フランスに着いてからどこへ行くかを決めるので、あらかじめ、ガイドブックを準備しておくってこともない。とりあえず、友達に聞いてみたり、FNAC(フナック)へ行き、ガイドブックをパラパラめくってみる。FNACとはフランスのどこにでもある、本やCD、DVDなどを扱っているショップだ。音響機器やライブチケットなども扱っている。書籍の品揃えはよく、旅行のコーナーにもずらっと本が並んでいる。でも、写真集(?)みたいな写真メインのガイドブックや、ミシュランみたいな地図が本棚のほとんどを占めていて、あまり参考にならない。なかには写真なしのガイドブックも売られていて、これを見て旅したい意欲が湧く人っているの?と思ってしまうものもある。いやいや、フランスらしい。
 
 だいたいの目星をつけて、いざ出発。Strasbourgから小さな町、Colmar(コルマール)へ向かった。まず、i(アンフォルマシオン)と書かれた『インフォメーション』に行き、泊まるホテルを探し、ここや近くのCaféで情報を仕入れる。現地の人に聞くのが、早くて確実だ。Alsace(アルザス)はドイツとの国境近くに小さな村が点在する地方だ。ドイツ語の名前が残る、見ただけでは何度聞いても覚えられない名前の村をいくつか教えてもらい、バスの時間を調べる。一日に数本しかないバスではどんなにがんばっても、一日にひとつの村しか行けない。村から村へのバスはほとんどなく、Colmarに発着の拠点があるのだ。
 行ったはいいけど、村から、そしてColmarからパリへ帰れないかも?の危機が。。

2014/05/09

Strasbourg


 Alsace(アルザス)へ行った年、フランス中が猛暑に見舞われていた。その日、フランス全土の中でアルザス地方が最も気温が高く、まさかの38℃でかんかん照りだった。
 
 どこのスーパーで買っても冷えていない、ペットボトルの水や炭酸を飲みながら、まずはStrasbourg(ストラスブール)の町を散策。かわいい建物が建ち並び、運河には観光の舟が浮かび、見た目は涼しげだがやっぱり暑い。体力も消耗し、何度もCaféで休むのだが、働く人も客もみなぐったりだ。さて、トイレに行ってからまた散策に出かけようということになったのだが、1人順番を待っている。ここを逃すと、今度はいつトイレに巡り会えるかわからないので、しばらく待つことに。でも待てど暮らせど、トイレから誰も出てこない。いる気配すら感じない。「ほんとに入ってる?」と待っている人に聞くと、誰かが入ったところを見ていないと言う。というわけで、ノックしてみた。が、返事がない。あれ?と思い、ドアノブをガチャガチャ回してみると閉まっている。「誰かいるね」と顔を見合わせて笑い合っているとき、マダムがガチャリと出てきた、しかも汗だくで。
 「誰が開けようとしたの?」とご立腹。「えっ、私だけど。。」「鍵のところが赤になってたら、入ってるってことなの、知らないの?」「知ってますけど。。」「じゃ、なんで開けようとしたのよ?」「ノックしても返事がなかったから。。」「トイレからドアが遠くて、返事なんかできないわよ」ほんとだ。。捨て台詞を吐いて行ってしまった。残された私たちは、唖然としてしまったが、そんなに怒らなくても。。
 トイレに入ってみると蒸し風呂状態。まあ、これじゃ、イライラもするか。猛暑にはあまり慣れていないので、暑い日のフランス人には要注意。しかし、フランスではトイレでいろんなことが起きるな。

2014/05/08

暑い夏


 湿度が低いのもあってか、気温が上がっても、陰に入ると過ごしやすいフランスの夏。数年前に行ったときは予期せぬ暑さだった。さらにその数年前にも猛暑になり、大騒ぎとなったフランスの夏があった。このときは息子も小さく、そこを避けてフランスに滞在したのだが、この数年後にまた、こんな暑さになるなんて。。
 
 ほとんどの家には冷房設備がない。パリのアパートはまず、外に室外機は置けないし、エアコンなんてものはない。雨戸を閉め、少しだけ窓を開けて風を通せば、何とか過ごせる。郊外の一軒家なら地下室なるものがあり、水分補給さえしっかりすれば何とかなる。Marieの家の天井の高さの十分ある屋根裏部屋に寝ていたが、上に行けば行くほど暑い。気温の下がらない夜は暑くて寝付けなかった。Marieの「暑くて眠れなかったら、下で寝てね」の言葉通り、朝起きるとみんな、一階のひんやりする床やら地下室に避難していた。
 
 パリに住んでいたGiniのアパートには、床に置く冷風機みたいなエアコンがあったのだが、室外機が部屋にでんと置かれ、排水のホースがお風呂場に垂れていた。邪魔すぎるし、あんまり涼しくもない。どうにかしてあげたいパリの暑い夜。。暑いとみんなイライラして、ちょっとした事件が起きる。そんなAlsace(アルザス)での話は次回。

2014/05/07

Sucre


 フランスへ行くと、ついつい収集してしまうものがいくつかある。そのうちのひとつがCaféでコーヒーについてくる、Sucre(スュクル)『砂糖』だ。袋に粉の砂糖が入ったものもあるが、ブロック状になったいわゆる角砂糖の包みになったものが、私のお目当てだ。少ないときでも一日に一回はCaféに入るので、毎日、行った回数分 × 使わなかった人数分、集めることができる。ただ、そのままバッグに入れるとクズクズになってしまい、あとで面倒なことになるので、気をつけなければいけないけど。。
 
 Caféでよく見かける光景。フランス人は角砂糖をコーヒーに半分浸して、がぶりといっちゃう。なかには角砂糖を口の中に放り込んで、コーヒーを流し込むなんてすごい技を使う人もいる。疲れたときの血糖値を上げるためなのか、フランスの一般の食事では糖分はあまり摂れないからなのか、時々、こんな風に砂糖にかぶりつく。コーヒー味の砂糖、やってみると案外おいしい。お試しあれ。

2014/05/06

夜中にホラー映画


 パリ滞在中、友達の家にお呼ばれするときは必ず、お泊り道具一式を持って遊びに行く。Marieの家が滞在中の我が家なのだが、他の友達の家に行ったときはそのまま泊まるというのが、私たちと友達の暗黙のルールだ。話も尽きず、帰るのも面倒だし、私たちもそのほうが都合がいい。息子が小さいとき、眠ってしまうと連れて帰るのが大変だったし、その頃から、どこの家に行っても泊まることが当たり前になっている、有り難いことに。
 
 数年前、ひとりでパリに行ったときも、EricとSophieの家にお呼ばれした。ひとしきり食べて飲んで、しゃべり疲れた頃、なぜかテレビを見ようということになった。もう、日付の変わるころだったと思う。タイトルも内容も覚えていないが、アメリカのホラー映画だった。怖い映画は好きではないのだが、見始めると止まらなくなってしまった。いわゆるB級映画でよくある学園ものだったのだが、あまりにも安っぽい作りで恐怖のシーンがコントを見ているみたいなのだ。これが3人のツボに入ってしまい、最初から最後まで笑いっぱなしだった。夜中の薄暗い部屋で大の大人が3人、笑い続ける姿のほうがよっぽど怖いと思うが。。終わったあともひとしきり笑い転げた。その後はぐっすり眠れて、朝もすっきり目覚めた。
 
 フランス人は笑いのツボにはまると、なかなか抜け出せない。そこもまた、お茶目なんだけど。

2014/05/05

Montreuil


 住んでいた頃、毎週末のように通ったMontreuil(モントルイユ)の蚤の市。その隣の駅にEricとSophieの家はある。メトロの線はギリギリ通っているけど、静かな郊外の町だ。

 Ericたちがこの家を見つけたとき、二階に通じる階段は外に付いていたし、一階部分のリビングもいくつもの壁で仕切られていて、とても人が住める感じではなかったらしい。一階部分は壁を全て取り払い、広々としたリビングに作り上げていったのだが、とにかく、家づくりへのこだわりがすごい。家具とのバランスが悪いからと、窓の位置を10センチほど下げたり、バスルームは細部にまで遊び心を忘れない。
 Ericは、パリのOberkampf(オベルカンフ)で、ちょっとマニアックなおもちゃ屋さんを営んでいる。それとは別にアンティークを扱う仕事もしているので、パリ滞在中、蚤の市やブロカントの情報を教えてくれる、頼もしい存在だ。そういうわけで、Ericの家にはお宝がいっぱいなのだ。エールフランスの古いポスターや年代物の缶、とにかくどれもこれも欲しいなぁと思うものがさりげなく置かれている。また、古いものとモダンなものとのバランスが絶妙でセンスがよいので、撮影場所としても時々貸しているらしい。
 
 リビングにすごい存在感で鎮座する、壁一面の食器棚。昔、工場で使われていたらしいのだが、これがほんとに味があっていい。引き出しがたくさんあって、引き出し好きにはたまらないのだけど、要るものを一発で探し当てることが難しいらしい。「あれっ、どこの引き出しだっけ?毎日、こうよ」と言いながら、Sophieが引き出しを開けたり、閉めたりしている。羨ましい悩みだ。。

2014/05/04

『Les Chroniques Purple』


 フランスには心惹かれる雑誌が多い。前に書いたEGOÏSTEもそうだが、不定期で規格も多様な写真集に近い書籍のことだ。1992年に刊行された『Purple』はアートやファッションを様々なアーティストが個々の表現方法で発表する、インディペンデントの先駆けとなった雑誌だ。フランスへ行く度に買ってくるので、我が家の本棚にも何冊も並んでいる。
 
 昨日、その『Purple』の編集者であったElein Fleissのトークイベントがあった。林央子さんとのイベントだったのだが、ファッション関係らしき若者やら、明らかにそういう仕事をしてそうな面々が100名ほど集まっていた。私はこういうイベント自体、あまり参加したことがないのでわからないが、半数以上の人たちはメモ片手にペンを走らせながら、聞き入っている。実際、仕事で来ている人もいるみたいだったが、やはり、普段会えない人と間近で会え、話が聞けるのは貴重な体験だ。
 イベントも終わり、彼女の最新の書籍やカフェがある1階では、終わったばかりの熱気や人でいっぱいだった。私はEleinに話しかけ、『rue keller』に彼女が以前働いていたところがあったとか、他愛ない話をして、その場を後にした。

 数年前までかっこよかった雑誌が、全く違う雑誌に変わっていたなんてこともあるなか、『Purple』は少しずつ名前を変えながらも、でも常に根底にあるものは変わっていない。Eleinも気さくだったし、何より、友達のLaurenceに容姿や雰囲気が似ていて、何だか心が和んでうれしかった。ますます、『Purple』が好きになった。

2014/05/03

St-Martin運河での暮らし


 今日も晴れた。春先の新芽の匂いや風が運んでくる、初夏を感じさせる香りが心地いい。人の記憶というのは曖昧で、年を重ねるごとに必要のない記憶は消えていくんだなと実感するこの頃だが、香りはふとした瞬間に思い出す、忘れられない記憶だ。

 少しの間過ごした、St-Martin(サン マルタン)運河近くのアパートには、アフリカ系の家族が住んでいた。アパートの入り口を開けると、何とも香ばしいスパイスの香りが漂ってきた。だから今でも、スパイスの匂いはそのアパートでの暮らしを思い出させる。
 なぜか棚だらけの壁に囲まれた部屋に、小さなキッチンがついていたアパートの一室。中はMezzanine(メザニン)『ロフト』になっていて、長い梯子をトントンとうれしそうに上がる、猫のポチと暮らしていた。一風変わった、流すときにやたら轟音のする電気トイレ以外は、何不自由なく暮らしていたのだが。。
 ある日、夜の10時過ぎ、隣から壁を叩きながら叫ぶ声がする。「何時まで起きてんの、早く寝なさい」隣には階段で会う度に「お茶でも飲みにいらっしゃい」とやさしく声をかけてくれる老母が住んでいるはず?? 次の日、老母を訪れるといつもの笑顔。あれっと思っていると、その後何度もそんなことが続き、挙げ句の果てには、水道をひねっただけで壁を叩かれるようになり。。
 しばらくしたある日、ポストの中に、買い物袋に入った何だか得体の知れない茶色いものが入っていて、怖くなり、泣く泣く引っ越したという苦い思い出が。。昔は10時以降に物音を立ててはいけないという規則があったらしく、隣のおばあちゃんは少しの音でもいやだったんだろうな。私だけでなく、その部屋のどの住人も、半年も持たなかったらしいと後で聞いた。というわけで、アフリカのスパイスの香りは私にとって、あのアパートのおばあちゃんを思い出させる記憶だ。なんだかなぁ。

2014/05/02

EGOÏSTE


 3年前のちょうど今頃だ、待ちに待ったEGOÏSTE(エゴイスト)16号が出ると聞いたのは。1977年に創刊されてから、現在まで刊行されたのはたった16号。いつ出るのか、どんなアーティストたちが参加するのか、何も知らされず突然、発売される。

 初めてEGOÏSTEを知ったのは20年以上前、もうすでに12号となっていた。EGOÏSTEとは、大きさ30×40センチ、ページ数120ほどのちょっとした写真集といった感じの書籍だ。この号は2冊組だったので、超お買い得だったわけだ。でも、その頃の私には、ちょっと勇気のいる買いもので、買おうかどうしようか躊躇っていると、友人たちがパリへ旅立つ私に餞別として贈ってくれたのだ。あれ、これからパリへ行くのに〜とツッコミたくなったが、もちろん、今も大事にしている。200F(フラン)といえばその頃、1F 20円もしなかったはず。えっ、いくら? もちろん、日本で売っていたものは貴重で高かった。その号もRichard Avedon、Karl Lagerfeld、Françoise Sagan、豪華な面々が名を連ねていた。
 
 そして3年前。16号が発売されると聞いた私は、フォトグラファーのDanielに早速メールを送った。パリ中、探して探して、探しまわってくれたが、どの書店も写真専門店も予約がいっぱいだった。。幻と消えたEGOÏSTE。。昨日、Yannick Noahのことを書いて思い出したのだ。私が持っている号の表紙は、往年のスターだったころの全裸のYannick Noahだった。あの頃はかっこよかったなぁ。

2014/05/01

最近のお気に入り


 さて、今朝はフランスの音楽を聞きながら仕事に備えているが、なかなかノリノリにはなれない。下手すれば眠くなる曲調が多く、大好きなRapですら、テンションをあげるにはもう一押しといったところだ。まぁ、それがフランス映画同様、フランス音楽のいいところなのだが。。声を張り上げて歌うといった曲が少ない。語りかける、自問自答する、そんな曲はどっぷり何かに浸りたいときには打ってつけだ。

 最近のお気に入りはVanessa Paradis(ヴァネッサ パラディ)の『Love Songs』というアルバム。買って聞いてから、しばらく寝かせておいたのだが、最近、フランス語にどっぷり浸かりたいときに聞いている。Serge プロデュース『Variations Sur Le Meme T'Aime』のLou Reedをカヴァーした『Walk On The Wild Side』も、若かりし頃、ライブも観に行ったレニー クラヴィッツがプロデュースした『Be my baby』これも名曲揃いで好きだけど、フランス語で歌う、貫禄のある今のVanessaはかっこいいと思う。しかも、このアルバム、Benjamin Biolayのプロデュースと聞けば納得だ。惹かれる音楽にはやっぱり理由があるのだ。
 話は変わるが、Vanessaの前歯のすきっ歯が気に入っているのは、私だけだろうか? 20年くらい前に引退したテニスプレーヤーのYannick Noah(ヤニック ノア)も笑うと前歯のすきっ歯がなかなかチャーミングだった。Marieの娘、Aliceもそうだ。フランス人にはすきっ歯が多い、不思議だ。。何だか元気になってきた。