2014/11/30

夜遊び


 何年か前に、まだ高校生だったXavierがだんだん夜遊びを覚え始めた。と言っても、平日は忙しいし、お金も限られた学生だ。週末、友達の家に遊びに行ったり、映画を観に行ったりと、かわいいもんだ。時々、みんなで食事に行ったりもするらしい。日曜日、閉まっているお店も多く、その頃住んでいた郊外あたりには、遊べるようなところはない。
 「どこに行ってるんだろうね」Marieにそう聞くと「シャンゼリゼらしいわよ」「えっ、あんなに観光客だらけで、物価が高いシャンゼリゼに?」
 週末でもお店が開いていて、高級店も多いけれど、学生が行くような手頃なものが買えるお店もあるのは知っている。クラブやライブハウスもあって、夜遊びするにはいい感じなのだ。ただ、Caféも高いし、お金が無ければ楽しくはない。きっと、友達や彼女とそこへ行くだけで楽しいんだろうな。
 
 小さい頃からXavierを知っているだけに、大人になったなぁ、としみじみ思っていたら「でも、まだまだ子供ね。彼女と出かけるのに、昨日、履いてた靴下を裏返して、また今日も履いて行ったんだから」とMarie。「えっ、他に靴下なかったの?」「あるわよ。よほど気に入っているのか、めんどくさいのか。意味わかんない」何でだったんだろう? 今はもう、すっかり大人になったXavier。きっと、そんなことはしてないと思うけど。。

2014/11/29

Guinguette


 パリで暮らしていた頃、ライブによく出かけた。パリは箱自体が小さく、臨場感が感じられるし、大好きなアーティストが間近で見られて、断然、お得感がある。
 
 毎回、今回が最後、最後と言われるローリングストーンズの野外ライブが行われると聞いて、日本ならチケットも入手困難だけどパリなら何とか行けるかも、と思いたった。その頃、やっぱり、日本に比べてチケット代は安かったけれど、さすが大御所、350F(フラン)ぐらいだったような。。それでも、日本円で6000円ぐらいだから安い。
 まず、びっくりしたのは前座がボンジョヴィだったことだ。もう、その時すでに中堅の域に入っていたボンジョヴィが、数曲歌っただけで引っ込んでしまった。野外だったこともあり、ノリノリで踊りまくる人あり〜の、寝っ転がってみてる人あり〜ので、楽しいライブだった。
 その頃、まぁ、それ以降もフランス人の好きな音楽はテクノが群を抜いていて、パラパラを彷彿させる踊りでギョッとさせられたこと、幾度もあり。フランス人は踊ることが大好きなのだ。
 夏祭りでもダンス会場を設け、老若男女、輪になって踊っていた。パリ郊外、マルヌ川の畔のレストランが、休日や夏の夜限定で、生演奏も楽しむことができるGuinguette(ガンゲット)『ダンスホール』に早変わりする。これ、けっこう、人気がある。
 
 何年も前のことだけど、知り合いが主催するパーティーに友達と連れだって行ったことがある。郊外のモロッコ料理店のダンスパーティーで、若い人から老夫婦、様々な人の集いだった。クスクスを食べている途中でも、音楽が流れ始めるとムクッと立ち上がり、踊り始める。かなり、不思議な空間だったな。
 

2014/11/28

ポイントカード


 最近は日本でも、ポイントカードが流行りだ。買い物する度にポイントを加算してもらう、お得なカード。よく買い物するところでは、せっかくだから使いたいけど、枚数が増えるのは面倒だし、そもそも、どこに保管したのかわからなくて、結局出せなかったということもしょっちゅうだ。なので、絶対よく行くところ限定で持ちたい。
 
 暮らしている頃はあまりなかった気がするけど、最近では、パリでもポイントカードは当たり前のサービスだ。買い物すると「カード、お持ちですか?」と、よく聞かれる。「いえ、旅行なので」と言うと「作ればいいのに」と、ほとんど言われる。「使わなければ使わないでいいじゃない。タダだから」というわけで、よく行くお店のポイントカードを作るけど、次回、日本から持って行った、ためしがない。
 フランス人の友達が、ポイントカードを出したりするのを見たことはないけれど、お菓子の箱に付いたクーポンとか、ポストに入れられた小冊子についている割引券を手で乱雑に切って、置いておくこともある。まっ、気が向いて、忘れず持って行ったら、使うって感じだ。
 
 そういえば、郊外の一軒家の友達の家には、某インテリアショップの小冊子がよく投函されていた。日本でも人気のあそこだ。だいたい見ないで捨てられることが多いけれど、狭い部屋を有効に使える、子供用のロフト式のベッドが付いた勉強机は人気があると言っていた。はしごを使って登るベッド、その下に机、のよくあるやつだ。そう、そう、小さい子供のいるアパートでよく見かけた。好き嫌いは別として、その頃から色の感覚はやっぱり日本の感覚とは違うな、と感心したものだ。あっ、そうだ、フランスのブランドではないけどね。

2014/11/27

たばことマナー


 フランス人女性にとって、切っても切れないものって言えば、煙草だろう。ほとんどのフランス人女性は一度は吸ったことがあるんじゃないかと思う。私の友達もみんなそうだ。やめた友達、普段は吸わないけど飲むときだけ吸うとか、みんな様々だ。
 
 フランスの分煙はだいぶ進んだけれど、ひと昔前までは町行く人みんな、歩き煙草でポイポイ、道に吸い殻を捨てる。それが日常の行為なわけだから、誰も疑問に思わず、ポイポイ捨てる。今考えると異常な行動だけど、多数派なほうが普通だと思っていたのだから、変な話だと思う。
 まぁ、それは置いといて、これまた変なことは、全く知らない人に「たばこ1本ちょうだい」と言うことだ。町を歩いている時でも、Caféのテラスでくつろいでいる時でも、いつなんどきでも、たばこをせがまれる。これまたみんな、これを断らない。言われるがままに1本、差し出す。
 ずいぶん前から、日本よりはるかにたばこ代も高かった。でも、何だろう。マナーというのか、習慣とでもいうのか、断る人はほとんどいないのだ。ほんとに不思議だ。納得いかないのは、高校生が「たばこ、ちょうだい」と言ってきて、それを断ると文句を言うことだ。文句言われる筋合いはない、と思うんだけどな。
 
 もう、すっかりやめてしまったから、今の現状はわからないけど、どんどん値上がりするたばこ代にビビってか、ちょっとずつ、ちょうだいって言うフランス人も減ってはきてたなぁ。
 ちなみに、フィルターのないたばこと巻きたばこ、メンソールのたばこはいらない、って断ってくる。何だ、なんだ、図々しい。

2014/11/26

Papier d'arménie



 フランスでは昔からふつうにあって、なのに日本では何だかおしゃれに売られていたりして、びっくりするものがよくある。
 
 Embryolisse(アンブリオリス)という、チューブ式の保湿クリーム。さて、これって、フランスでは街角の薬局とか、スーパーMonoprix(モノプリ)に併設された化粧品売り場にもふつうに売られているものだ。これに似たクリームもいーっぱい出ていて、どれがどれだか、わからなくなりそうなくらいパッケージが似ているものも多い。
 このクリーム、フランス人女性にはなくてはならないもの。乾燥が激しいフランスでは、こんな風なクリームをたっぷりと塗る。ほんとに信じられないくらい大量に出して、顔に隈無くたっぷりと塗るのだ。そんな友達の姿を見つつ、ちょっと興味を持ったのが始まりだった。使い始めると使い勝手がよい。そして、何より安い。フランスだと、1000円ちょっとで買えてしまう。
 その後、みるみるうちに日本のおしゃれ雑誌で取り上げられるようになって、あっという間に有名になった。たぶん、フランス人の友達が使っているのを見た、誰かが紹介して、また誰かが紹介して、と続き、いつの間にか、日本で使う人が多くなっていったのだろう。これには、フランス人もびっくりだ。

 紙のお香もそう。Papier d'arménie(パピエ ダルメニィ)と言われるこれは、小冊子になっていて、切れ目に沿って切り取り、蛇腹の形に折って火を点ける。においもよいけれど、部屋の消臭、殺菌もできるから、フランスの家庭では昔から使われているらしい。昔はいわゆる、金物屋さんに売られている感じだったのだけど、今はセレクトショップとか、雑貨屋さんにも売られている。
 いやー、これはちょっと寂しい。友達が手紙をくれる度に、封筒にひっそりとしのばせてくれていた。ふたりの秘め事みたいでうれしかったのに。。今はみんな知ってるんだもんなぁ。

2014/11/25

ユーロスター


 またまた、パリからのロンドン旅行の話。パリに暮らし始めてすぐ、日本から友達がやってきた。海外なんか絶対行きたくない、と言い続けていた友達が意を決してやってきた。一週間ほどの滞在だけど、何とか楽しい旅になるようにしてあげたい。あちこち連れて行ってあげるも、友達は言葉もわからないうえに、楽しいけれど毎日歩き回って疲れて、旅半ばでもうすでにヘトヘト。ちょうど他の友達がロンドンに仕事でやって来るってことで、急遽、あちらで合流することになった。今回はユーロスターと呼ばれるTGVで行くことにした。その頃はロンドンまで3時間くらい。今は2時間ちょっとで行けるらしい。
 
 もちろん、友達は初めてのロンドン。パリ散歩で慣れたのか、急ぎ足の散策にも音をあげず、行きたいところ、見たいもの、買いたいものを堪能した。後ろ髪を引かれながらも余裕を持って、その頃まだ始発駅だったウォータールー駅へ向おうとした。
 でも、友達が名残を惜しむように、もう少し回りたいと言う。「タクシーを使って駅に行けば大丈夫じゃない?」ちょっと不安を感じつつ、残りの時間も有効に使い切り、駅へ向かおうとしたところ、タクシーが捕まらない。。えーっ、うそー。やっと捕まったと思ったら、ちょっとした渋滞にはまってしまった。最悪の状況も想定していたけど、ギリギリセーフで改札へ。でも乗り場まではまだまだ遠い。もう、終わったなと思った瞬間、スタッフの人が、トランシーバーで出発するはずの列車に連絡を取ってくれている。すぐさま、スタッフが先導してくれ、何とか乗ることができた。こんなことしてくれるんだなぁ、と驚きと感謝。
 
 土曜日の16時以降に出発して翌日の12時までに戻る超弾丸ツアーは往復66ユーロ。格安だし、短い滞在時にはちょうどいいかも。時間ギリギリ遊んで、少々遅れても大丈夫。あっ、うそです、うそ。
 
 

2014/11/24

ロンドン旅行


 パリに暮らしていた頃、ロンドンに何度も出かけた。いくつか理由はあったけれど、ロンドンは音楽の流行にも敏感だったし、マーケットで見つかる古着もパリのものに比べるとガツンと来るものが多くて、刺激にもなった。初めて行った時は東京からのひとり旅だったけど、二度目はパリから友達とだった。ちょうど、その時プロモーションで1番安かった、バスの旅を選んだ。夜、乗ったら朝着くっていう、いわゆる高速バスだ。今だったら、乗らないだろうから貴重な体験だな。

 ちょうど夏の終わり頃、もう朝晩はすっかり冷えてきた頃だった。ロンドン行きのバスに乗り込み、しばらく経った頃、何だか焦げくさいにおいがしてきた。その後すぐに、白い煙がバスの中に立ち込めてきた。車内は大騒ぎになり、バスは一時停車したのだけど、原因はエンジンの故障だったらしい。運転手さんが修理をし、しばらくすると出発する、と言う。替えのバスが来るわけでもなく、ロンドンよりはまだ近いパリに戻るわけでもなく、そのままロンドンに向かって出発となった。で、でも。。まだ少し煙は出ているし、焦げくさいにおいも相変わらず。窓を閉め切っていたら、くさいは煙たいはで、寝てもいられない。でも、初秋の風は骨身に染みる。もう、泣きそうなくらい、つらかった。そんな時、これまたすごいのがフランス人。ひとしきり文句を言った後は「しかたないじゃない」ってことで笑い飛ばしている。 お金返せ〜なんて言う人も無く、ありったけの服を着て、眠りについた。
 翌朝、みんな、疲れながらも笑顔でロンドンに降り立った。何か、大げさだけど、フランス人には、生命力を感じるのよねぇ。世界の終わりが来ても、フランス人だけは生き残りそうな気がする、マジで。。
 

2014/11/23

Formule 1


 パリに暮らしていた頃、いろんなところを旅した。行けるところには車でもよく、出かけた。1週間レンタカーを借りると、ちょっと割引になるから、友達を誘って行くことも多かった。車で出かける利点は自由にいろいろ回れて、好きな時に停まれることだ。
 
 ひとところにとどまるわけではないので、ホテルはその日ごとに変わることになる。どのくらいのペースで進むかわからないから、だいたい見当をつけて、なるべく予約したい。その頃、車での旅の場合は"Formule 1"というホテルをよく利用していた。ここは町のはずれにあるからか、他のホテルよりも割安だった。フロントの人が夕方以降いないから、人件費もかからないのかもしれない。ホテルの入り口も部屋も、暗証番号で開く仕組みだ。部屋は3人まで泊まれて、テレビもついている。これでひと部屋、3500円もしなかったんじゃないかな。フランスではひと部屋いくらの値段だから、人数で割ればいいのだ。超格安だ。
 
 トイレとシャワーは共同なのだけど、このトイレとシャワーがこわかった。というのも、使った度に自動洗浄されるのだ。いつも清潔が保たれていいけど、慣れないと、いつ洗浄されるかと、ビクビクだ。忘れものなんか、絶対できない、したくない。あっ、パリの町にある公共のトイレも自動洗浄だ。いや〜、どんなにトイレに行きたくても入りたくない。急に洗浄され始めたら。。こわっ。

2014/11/22

夜の郊外


 パリにはRER(エールウーエール)という郊外型の電車があり、パリの中のいくつかの駅を経由して、東西南北に延びている。駅と駅の間隔も広く、駅を降りてからの距離が近ければ問題ないけれど、バスに乗り継いでいかないと行けないところもある。それでも、時間によってはバスの本数も少ないから、少々遠くても、つい歩いてしまうんだけど。。ちょっとした郊外なら、ぎりぎりメトロが通っているところもある。ある友達の家は、メトロの駅からもRERの駅からも同じぐらいの距離だ。昼間なら料金の安いメトロで行って、散歩がてら歩くし、駅からバスに乗りたい時はRERに乗る。何度も行ったことがあるところなら、こんなこともできるけど、初めてだとちょっとむずかしい。

 ある時、Isabelleの双子の姉妹、Dominiqueの家に初めてお呼ばれした。いつも滞在しているMarieの家の隣町。直に行ける交通手段がないから、行きはパリを経由して向かい、帰りはちょっと距離はあるけど歩きか、もしくはタクシーで帰ろうと思っていた。
 しかし、パリじゃあるまいし、タクシーは通らず。。しかも、その辺りはちょっと物騒なエリア。だんだんと夜も深まってきて、その日、初めて降り立った郊外はやっぱり心細かった。。しかも、昼間の景色とはだいぶ違い、果たして歩いて帰り着くのか、どうなのか。。結局、Marieに車で迎えに来てもらった。
 小さな子供を連れていると、あまり怖さは感じない。たぶん、子連れは襲ってこない、と思う。いやいや、油断は禁物。特に夜の郊外は要注意。

2014/11/21

独り言


 フランス人、何だかつんけんしているみたいに思われるけど、案外そうでもない。全然知らない人にでも、すぐに話しかける。

 スーパーで買い物していると「これ、おいしいのよね」とか、お店では「これとこれ、どっちが似合うと思う?」なんて話しかけてくる。前にも書いたけど、知らない人にでも「それ、どこで買ったの?」という具合だ。よく考えれば、独り言のような、聞いてほしいから喋りかけてきてるような、何とも微妙な感じではある。でも、ひとりで買い物していると誰かと話したくなるのかな〜と、わからないわけでもない。私は話しかけられやすいほうなのかもしれないけど、とにかく喋りかけてくる。
 
 さて、フランス人、こんな風に一方的なことも多々あるけれど、言っていることに嘘がない。友達との会話のなかでも、お世辞やおべんちゃらなんてものがないから楽だ。「それ似合ってるね」とか「おいしい、これ」って言うのも、全部ほんとのことだ。だから、そうでもないことは口に出さなければよいと、徹底している。誰かの家にお呼ばれして、口に合わないものが出てきても、もちろん「おいしくない」なんてことは言わない。でも、おいしいねって言わず「これって何が入ってるの?」とか聞かれた時は、あんまり好きじゃない味なのかもしれない。おいしい時は "C'est bon!” を連呼するから。
 でも、こんなつき合い方のほうが楽だし、気持ちがいい。すごくいいと思っていなくても ”Pas mal”(パ マル)「悪くない」で、ごまかすって手もあるけど。。

2014/11/20

Tatie


 フランスや多くの他の国では、友達や周りの人の名前を呼び捨てにするのが普通だ。日本では、大人になればなるほど、敬称を付けて呼ぶことが多い。呼び捨てでなければ、小さい頃は”ちゃん、くん” 大人になれば ”さん”をつけたりするけど、フランスでは小さい頃から、誰かれ構わず、呼び捨てにする。
 
 Papa「パパ」やMaman「ママ」、Papie(パピィ)「おじいちゃん」Mamie(マミィ)「おばあちゃん」はそう呼ぶけれど、例えば、目上の兄妹も呼び捨てだし、隣のおじさんやおばさんだって、呼び捨てだ。そもそも、日本で言うところの歳の離れた人に使う『おじさん』『おばさん 』ってニュアンスの言葉が、フランス語にはない。
 日本では、子供の友達にはだいたい「◯ ◯のママ」と呼ばれるのが当たり前だ。この呼び方、嫌がる人もいるけど、私は嫌いじゃない。そんな風に呼ばれるのは子供が小さい頃だけだし、事実、そうだから別に何とも思わない。それよりも息子にも「ママ」と呼ばれてないから、そこだけはしっくりこないけど。。
 
 フランスでは、おばさんではなくて『叔母さん』は”Tante”(タントゥ)と言うのだけど、名前ではなくて、親しみを込めてTatie(タティ)とか Tata (タタ)と呼ぶこともある。これがまた、ほんとにかわいくて大好きな呼び方だ。叔母さんのこともやっぱり呼び捨てのことが多いから、滅多に聞けないけど。。友達のElianeが姪っ子にこう呼ばれていたのを聞いて、何かいいなぁと思ったけど、Eliane、何人姉妹だっけ? 5,6人いた気が。。みんな、こう呼ばれてんのかな。
 

2014/11/19

醤油とわさび


 フランス人の友達はみんな料理上手だ。出してくれるもの、出してくれるもの、美味しすぎて、つい食べ過ぎてしまう。
 フランス人も時々、ごはんを炊いて食べるのだけど、フランス人にとってみれば、白いごはんはちょっとだけ物足りないのかもしれない。よく食べられる、パエリアもリゾットも味付きだし、ヴェトナム料理のごはんも甘辛いソースがかかっている。だからなのか、フランス人の友達の家では、白いごはんと一緒に醤油がテーブルに載る。 日本の醤油はごはんにかけて食べるにはちょっと辛い。中華スーパーで買う、なんちゃってキッコーマンがちょうどよい。でも「はい、どうぞ」と渡されても、うーん。「日本のお寿司も醤油つけて食べるじゃない」って言われても、それとこれとはちょっと違うのよね〜。。
 
 お寿司を食べる時も、たっぷり醤油をつけてパクパク食べる。わさびも好きな人が多くて、平気で食べちゃう。ある日、お寿司屋さんでわさびの塊を食べるフランス人を見かけた。あれ、本わさびでつーんとこないのかな。いやいや、十分辛いわさびだった。どちらかと言えば、辛いものが苦手なフランス人。たぶん、たぶんだけど、フランス人と日本人の辛さを感じるものが違うんだと思う。凄すぎる。。
 

2014/11/18

「ジュ、ジュ、ジュ...」


 フランス人、時々、話を聞いてないからなのか、 上の空なのか、それとも、頭の中を整理するよりも口の方が先に出てしまうのか、次の言葉が出てこない、なんてことも多々ある。「ジュ、ジュ、ジュ...」Je (ジュ) とは『わたし』という意味だけど、呪文のようにこれを唱えながら、次に出てくる言葉を探しているのだ。まぁ、とにかく、人に発言権を取られたくないのだろう。
 
 さて、この方法、意外といいのだ。日本語でもたまにあることだけど、ふと気を抜くと、話が耳から耳へ抜け、頭の中に入ってこない時がある。そうなると、思考能力が低下し、考える気がなくなるのだ。そんな時、「ジュ、ジュ...」と口に出してしまえば、次の言葉を考えて、話さなければいけない。そこからまた、会話がつながっていく。自分で自分を追い込むのだ、大げさなようだけど。話が長いと、つい面倒くさくなってきて、聞いているだけになってしまうこともある。そうなると、耳から入ってこない、話が分からなくなる、このパターンは1番よくないのだ。なので、何も考えてなくても、思い切って「ジュ」と言ってみる。すると、意外と次の言葉もするっと出てくる。これは、語学上達のコツかもしれない。
 でもちょっと「ジュ、ジュ、ジュ...」は耳にこびりつくのよね〜。じぇ、じぇ、じぇ 、じゃないよ。

2014/11/17

映画好き


 フランス人は映画好きが多い。常に映画をチェックしているし、話題の映画については観る前から大いに語る。ユーロになる前は料金もかなり安かった。今でこそ、少し値上がりしてしまったけど、それでもみんな、大好きな映画を観るのだ。

 フランスには、レンタルビデオ屋さんがほとんどない。なので、映画館へ行くか、DVDを買って観るか、それとも最近ではネットで観るか、のどれかだ。
 暮らしている頃、レンタルビデオ屋さんはあることにはあったはず。うる覚えだけど。。無人のお店で、大きな自動販売機みたいなものにビデオが飾られていて、お金を入れてそれを借りて返却ポストに返す、って仕組みだったような。。フランス人がそんなのでちゃんと返却したりするのかなと、いつも訝しげに見ていた気がする。日本のようにずらっと陳列棚に並べられたDVDを見たら、フランス人、卒倒するんじゃないだろうか。
 
 フランスのテレビでは、映画もよく放映されている。日本と同様、いわゆる民放局は 何度も同じ映画を放映している。でも、いくら何でも日本では、一週間後にまた同じ映画、ってことはない。フランスでは短い期間の中で、 何度も何度も繰り返し、同じ映画が流れるから、観なきゃいいのに観ちゃって、好きでもないのに、すっかりその映画に詳しくなってしまう。まっ、フランス語を学ぶ、いい方法かも。
 

2014/11/16

On a de la chance!



 フランスを旅するなら断然、電車がよい。TGVは全国を網羅しているし、早いし、座席も広く、快適だ。航空会社が負けじと格安チケットを売り出すけど、TGVだって負けていない。TGVにもReduction(レドゥクシオン)『割引』がいろいろとある。まず、事前予約の割引、夫婦やカップル割引なんかもある。びっくりなのは、一日のうちでも時間や席によって、安いチケットがあることだ。窓口の人は、尋ねれば嫌がらず、席を探してくれる。
 これだけでも安いのだけど、12歳未満の子供割引っていうのもあり、本人以外の家族もみんな安くなる。はじめにいくらか払うのだけど、それでも、滞在期間中に2回以上、旅をすればかなりお得。正規の値段の半額になる時もある。

 さて、この割引は1年間有効だ。ある年、前年より1年も経たず、フランスにやってきた。Bergeracへ行った時だったか、まだ、1年の期限は過ぎていなかったので、チケットが購入できた。Bergeracからの帰り、いつも通り、車内でくつろいでいたら、車掌さんがチケットをチェックしに来た。チケットと息子の写真付きの割引証を見せると、車掌さんが「もうひとつ、証明書が送られてきてるでしょ。見せて」えっ、そんなものの存在は知らない。申し込んだ時、住所はMarieのところにしたのだ。たぶん、郵便が来てたんだろうな。ないと有効期限が確認できないから、割引できないという車掌さんに、半分泣きを見せ、説明したけど、でもやっぱり、ないとダメという。何度も何度もお願いしたら、渋々、本部に電話して確認が取れたらいいよ、と言ってくれた。しばらく待っていると「Vous avez de la chance! 有効期限は今日までだったよ。よかったね」マジで〜。次の日に帰っていたら、割引はなかったんだな。ほんとに運がいい。



2014/11/15

Breton


 フランスって、写真を見ればどの地方なのか大体わかる。北の方は何となく青いイメージ。ブルターニュの食器やテーブルクロスなどのリネン類は、青が基調だ。スペインに近い、南の方は情熱的なオレンジ色のイメージ。アルザス地方は赤くかわいらしい雰囲気で、南仏は黄色やオレンジの花のモチーフが使われていることが多い。これ、と言ってきまりはないはずだけど、その地方独特の家造りやインテリアになっていることも多い。村や町によっては、壁や屋根の色を統一させなければいけなかったり、ということもある。暮らす人々によって、美しい景観や昔からの慣習を守り、伝えることにつながっているのだろう。

 ブルターニュ地方にはBreton(ブルトン)という、古くから伝え継がれたものがある。それは、言葉であったり、そこに暮らす人のことだったり、ブルターニュ地方の文化そのものなのだ。昔からある家を改修しつつ住み続け、昔からある家具は補修を繰り返しながら、大事にしている。決して、捨てたりしない。
 ブルターニュのMarieの実家にあった食器棚は実は昔、ベッドだったそうだ。扉が付いていて、二段になっている。
 時を経ても、生活の一部であることも、100年以上もその家にあることも、何だか不思議で、何よりステキだ。大きさは少し小さくしてあるけれど、ほとんど元の形を残したままらしい。
 新しいものを取り入れつつも、古いものを大切にする、何てステキな習慣なんだろう。

2014/11/14

機内でのポチ


 昨日、機内での過ごし方を書きながら、ポチを連れて帰ってきた時のことを思い出していた。日本に戻ってくる時、もちろんポチも一緒だったのだけど、その頃、猫は機内に一緒に乗ることができた。もちろん、キャリーバッグに入れておかなければいけなかったけれど。。

 連れて帰ることが決まってからは、動物病院でワクチンを打ったり、健康診断を受けたり、いろいろやることがある。「10時間以上もキャリーの中でじっとしているのは、大変なのよ。睡眠薬で眠らせてあげましょう」えっ、眠らせる? 何か、ちょっとこわい感じもするけど。「どれくらいで効くのか試しておきましょう」と、先生。睡眠薬をもらって家で試すことに。
 動物はみんなそうなんだろうけど、薬を飲ませるのが大変だ。錠剤は喉の奥のほうにぽんと放り込んで、無理矢理、口を閉じさせ、有無も言わせず、飲み込ませる。失敗したら大変だ。どこからそんなに出てくるのってくらい、泡になった唾で薬を押し出すのだ。一度失敗すると、次は口すら開けてくれない。
 さて、先生が考えた量の睡眠薬でポチはぐっすりと眠りに落ちた。どれくらいの量でどれくらいの時間眠ったのか、詳しいことは忘れてしまったけど、当日、ちゃんと睡眠薬を飲ませ、いざ空港へ。しかし、なぜかポチが眠らない。睡眠薬が効かないのだ。飛行機に乗り込んで、気持ちを落ち着かせようにも、瞼が下がってくるのを必死で抵抗するポチ。半目になりながら、か細い声で鳴き続けるポチにずっと「ごめんね、ごめんね」と言いながらの日本までの道のりだった。でも何で効かなかったんだろう? やっぱり、不安で眠るのが嫌だったんだろうな。
 
 今は、猫もコンテナの中に入れられちゃうみたいだけど、それだと連れて帰るのをためらったかも。。ちなみに、席ひとつ分は用意してくれるのだけど、手荷物と同じで1キロいくら、という計算で運賃が決まる。軽ければ軽いほど安い。ポチは。。その頃、12キロはあったかと。。航空会社に知り合いがいたから、格安にしてくれた。ふーっ、危ない、危ない。

2014/11/13

機内での息子


 よく聞かれること。フランスまでの飛行機の中、子どもはじっとしていられるの、と。息子は3歳の時に、初めて飛行機で旅した。寝坊事件(以前書いた。。)があって、韓国までの道のりはあっという間。ここは日本なのか、どこなのかわからないまま、何日かを過ごし、韓国からフランスまでのある意味、息子にとってほんとの旅が始まった。

 子どもは離陸の時に耳抜きができず、泣いてしまうことも多い。そんな時は何かを飲めば、耳抜きもでき、気も紛れる。息子は平気な体質だったのか、何も飲まなくても全然平気だった。
 私はいつも、飛行機の中で寝て、食べて寝て、時々、映画って感じだけど、不思議なことに3歳の息子も同じように過ごし、時には私を見守ってくれていた。「ごはんがきたよ」と起こしてくれ「ねてもいいよ」と声をかけてくれる。いや〜、何てできた息子。というわけで、子連れで大変だと思ったことがない。
 息子は飛行機の中でもらえる 、飛行機グッズも楽しみだった。お絵描きセットだったり、トランプだったり。英語がわからないなりに、客室乗務員の人とコミュニケーションを取り、だんだんと大きくなるにつれて、欲しいものは自分で頼んで得意気だった。
 書きながら、思い出してきた。長時間の機内は、大人にとっても楽なものではない。でも、一緒に過ごす大人が少しでもリラックスできれば、子どもだって快適なんじゃないかな。
 

2014/11/12

おみやげって。。


 今まであまり気にしていなかったけど、日本にはおみやげ屋さんがたくさんあるな。自分のためのおみやげも、人にあげるおみやげ選びも、そして人からもらうのもうれしいし、楽しい。日本では行く先々のあちこちに、空港にも駅の売店にもたくさんのおみやげ屋さんがある。フランスにも、もちろん、ご当地のおいしいものやかわいいものが売られている。でも日本のように、どこもかしこもに、おみやげ屋さんがあるわけではない。駅でちょっとおみやげでも、と思ってもすぐに見つかるわけじゃない。なので、おみやげ屋さんを見つけたら、すぐにでも買っておかなきゃ大変だ。でも、よくあることだけど、地方のおみやげ屋さんにもスーパーの陳列棚にも、同じおみやげが並んでいたりする。しかも、置いてある店によって値段が違ったり、なんてこともしょっちゅうだ。買った後でそれよりも安いものを見つけたら、ちょっとがっかりだ。ま、それもフランスだから仕方ないか、とも思えるけど。。

 一人でフランスを訪れた、何年か前のシャルル ド ゴール空港。前の日にはEricとSophieの家で過ごし、出発の日、Sophieが見送ってくれた。出発までのしばらくの間、ふたりでお茶をし、他愛もない話をして過ごしていた。Sophieがワゴンで出店しているLadurée(ラデュレ)を見つけると、こう聞いてきた。「マカロンは何味が好き?」何も考えず「どれもおいしいけど、ピスタチオとかおいしいよね」「あとはどれが好き?」世間話をするように、これもおいしいね、あれも好き、なんてしゃべっていたら突然、Sophieが「じゃ、これを何個に、これとあれも何個ずつ」あっという間に注文を済ませ、大きな箱ひとつが出来上がった。「いつでも待ってるから、ね」と手渡してくれた。ちょうど、東日本大震災の直後で、帰ってからもまだ大変な時期だった。同じ頃、サッカー遠征でブラジルに行っていた息子と成田で待ち合わせていたのだけど、不安だらけだった。
 そんな気持ちを察してか、Sophieからのさりげなく、でも心のこもったおみやげ。涙、涙。

2014/11/11

視力


 フランス人は薄暗い明かりが大好きだ。いわゆる、間接照明ってことなんだけど、こんなので本なんか読めるのってぐらい。。そもそも、天井に照明の付いた部屋もあまりなくて、どの部屋もほんのり明かりが灯っているだけだ。食事の時もキャンドルの明かりだけだったり、レストランでも明かりは最小限だ。
 
 でも、フランス人、視力の悪い人もいるけど日本人ほどではない気がする。それから、フランス人のメガネを掛けている人の雰囲気が、みんな似ていると思うのは私だけだろうか。生粋のフランス人って感じの、ちょっと 勉強できますって男子のメガネ率が断然高い。いや、よく考えれば日本だってそうかも。息子も目が悪く、サッカーをやっている都合上、中学の時からずっとコンタクトだ。たまに学校行事へ行くと、やっぱり、バリバリ運動部はメガネをかけていない。
 フランス人はなぜ、暗い中でもよく見えるんだろう。前にも書いたけど、フランス人は真っ暗な中で車の運転もできるツワモノなのだ。いつも暗い中で暮らしているから、目が慣れてくるのだろうか。フランスでは、加入保険にもよるけれど保険の払い戻しがあるので、メガネやコンタクトは無料、もしくは安く購入できる。だから、気兼ねなくコンタクトにしていて気付かないだけなのかな。ちなみに、私の友達は視力がよい友達の方が多い。
 

2014/11/10

言語



 日本語って難しい。日本人ですら、そう思うのだから、他の国の人にとってはもっともっと大変なことだ。
 息子は小学生の頃から中学にかけて、友達のDanielleからフランス語を習っていた。その代わりに私がDanielleに日本語を教えていた。漢字の由来に興味があったDanielleに教えるのは、ほんとに難しかった。漢字の由来って言われても。。
 
 日本人でも難しい日本語。フランス人の友達は口を揃えてこう言う。「世界の言語で1番 難しいのは、日本語ね」漢字も難しいし、カタカナは意味がわからないと言う。「ひらがながあるのにカタカナなんて必要なの?」似ているものもあり、ひらがなとカタカナが混同してしまうようだ。
 そういえば、最近、カタカナが苦手な子が多くなっているらしい。それは、学校でさらっと習うだけで、使う頻度が他の文字よりも少ないから、らしい。携帯やパソコンに頼ってしまって、漢字を忘れてしまうことも多々ある。
 フランス人もフランス語が完璧ってことはない。知らない単語や綴りがわからないってことも。フランス語の単語は男性名詞、女性名詞に分かれていて、男性形には単語の前に冠詞の”le”(ル)、女性形には”la”(ラ)などを付ける。しょっちゅう使う単語は、冠詞と単語をひとまとめで覚えているので間違えることはない。でも、あまり使わない単語の冠詞はよくわからなくなるらしい。漢字だけじゃない、フランス語も難しくって奥が深い。

2014/11/09

100円ショップ



 意外にフランス人、キャラクター好きだ。と言うほど、キャラクターの多様化は進んでいないから、何が好きかよくわからないけど、一時期はキティちゃんが流行っていた。
 フランス人の友達が日本にやって来ると、キティちゃんのグッズがみんなに喜ばれるからと、大量買いしていた。子供ならまだしも、大人も負けずと収集していたらしい。まぁ、好きも嫌いも、大人も子供も関係ない。

 さて、Aliceは小学生の頃、やっぱりかわいいキャラクターのグッズが欲しくて仕方なく、買い物が大好きだった。でも、お小遣いには限りがある。そこで足繁く通ったのが、100円ショップ。キティちゃんも、何て名前かもわからないキャラクターものも、いろいろ買って大満足。私とMarieはAliceのことを"Mademoiselle cent yen shop"(マドモアゼル 100円ショップ)と呼んでいた。
 友達Tai-kiuさんには99円ショップがあるよ、と教えてあげたら、甚く感激していた。

 そうだ、私も海外を旅するとき、安くて楽しいものを探す。見つけた時のあの喜びったらない。フランスにもあることはあるけど、1ユーロショップ?微妙に100円ではないし、大したものが、ない。。

2014/11/08

トイレットペーパー


 フランス人の友達の家のトイレットペーパー、反対に取り付けられていることがよくある。はじめは、間違えて反対に入れちゃったのかなと思ったけれど、そうではないらしい。

 日本のトイレに入ったフランス人は、みんな驚く。これは有名な話、ウォシュレットなんかあったら、感激しまくりだ。そして、三角に折られたトイレットペーパーを見て、もっと驚く。
 私はいつも、次の人のために、トイレットペーパーを長めに出して、垂れ下がらせておくのだけど、反対に取り付ければ、そんなことはしなくてもよい。反対になったトイレットペーパーは確かに使いやすい。いつも当たり前にしていることが、ちょっと視点を変えるだけで、なるほどなってこともある。だけど、我が家の家のトイレットペーパーはやっぱり、いつも通りだ。習慣だから、反対につけるのはためらわれる。
 
 ペーパーといえば、フランス人の友達の家にはティッシュの箱が見当たらない。箱入りティッシュは売られているけれども、使っている人はあまりいない。前にも書いたけど、いつでも鼻がかめるようにと、使いかけのティッシュが常にポケットに入っているからなのか。。どうしてもの時は、キッチンからソパランを持ってくる。うん、箱ティッシュはあんまり必要ないかも。。

2014/11/07

地下足袋


 フランス人、暑い夏には裸足で過ごすけど、寒くなってくると、さすがに靴をはいたままか、部屋ばきを履く。いわゆる、日本で履くようなスリッパはあまり見ない。バブーシュだったり、簡易的なサンダルだったり、様々だ。

 数年前、友達のLaurenceが日本にやって来た時、こんな話になった。「このお店、知ってる?」聞き慣れない名前の店。「何の店なの?」「服とか靴とか売ってる店」「知らないなぁ」ネットで調べてみると、作業服専門店が出てきた。まさか、ここ?  Laurenceはここに行きたいらしい。「ここで靴を買いたいの。自分用と友達へのおみやげ用に」そう、欲しいのは地下足袋だった。某有名ブランドのあの靴みたいだから、絶対買って帰りたいらしい。足袋でもダメ、模様が入っているかわいいのもダメ。黒色のあの思いっきり工事現場で履かれている、あれが欲しいと言う。その頃、フランスで秘かに流行っていたらしい、Laurence曰く。その日は買い物につき合ってあげられなくて、結局、ひとりでそのお店に行ったのだけど、選んでいるその光景を想像しただけでも、クスッと笑える。
 流行っていたかどうかは定かではないけど、EricとSophieも寒くなってきた時期の部屋履きは、地下足袋だったな。フランス人が履くと、かっこよく見えちゃうんだよなぁ。

2014/11/06

ゴミ箱


 我が家にはゴミ箱がない。キッチンの隅に蓋付きのタッパーウエアーを置いて、ちょっとしたゴミは捨てられるようにはしているけれど、他の部屋には一切置いていない。ゴミ箱自体が好きではないし、場所も取る。要らないものはその都度、大きなゴミ箱に入れるようにすれば、散らかることも減る。大きなゴミ箱は燃えるゴミ用、燃えないゴミ用に分けて、蓋付きのものを押し入れの中に潜ませている。
 
 フランス人の家でもそういえば、部屋の中にゴミ箱ってほとんど無い。キッチンの流しの下に、扉を開くとゴミ箱の蓋が開くタイプのものが設置されていることが多い。アパートには一階の共有スペース、一軒家ならば庭に、大きなゴミ箱がいつでも捨てられるように常設されているから、買い物袋をドアの取っ手に引っ掛けて、ゴミ箱代わりにいている家も多い。エコが徹底しているフランスでは、スーパーでの買い物にはエコバッグやカートを持参する。もともと、ナイロンの袋を置いていないスーパーも多く、袋が置いてあるスーパーへ行くと、どんどん持って帰る。でも薄っぺらくて、ちょっと角のあるものを入れちゃうと、すぐに破れてしまう。そんな袋をゴミ袋に使うわけだから、結末は見えている。。取っ手に引っ掛けたゴミ袋はいつでも。。

2014/11/05

暖炉


 フランスのアパートは、Cheminée(シュミネ)『暖炉』があるところが多い。使えないようにしている飾りの暖炉もあれば、まだ使える暖炉もある。

 最後に住んだ、”30,rue keller"のアパートにもあったけど、ガス暖房の煙突になっていた。初めて住んだアパートにも暖炉はあり、使用可能だったけど一回も使わなかった。
 フランスのアパートにはChauffage central(ショファージュ サントラル)『集中暖房』になっているところも多く、 暖炉を使っていない人も多い。でも、使っている人もいない人も、Ramonage(ラモナージュ)『煙突掃除』が義務づけられている。使っている人は使用前と使用後に計2度、使っていない人は 1度掃除しなければならない。記憶では一回、1万弱ぐらいだった気がした。
 そう、建物の頂上にたくさん並んだ、植木鉢のようなもの、あれが煙突。意外にパリの町の風景に合っていて、哀愁がある。そんな、暖炉の使用が廃止されるかもしれないらしい。昨年の暖炉の火の不始末が原因の火事や煙突から出る煙での公害のせいらしい。ちょっとさみしいけれど仕方がないのかも。。
 
 暖炉ではないけれど、Isabelleの実家のテラスにある、かまどで焼く肉や野菜はほんとにおいしかったなぁ。火って暖かくて夜の宴にあると、何だかほっこりする。

2014/11/04

赤信号


 フランスから戻って来ると、ついクセでやってしまうこと。それはよくないことだけど、赤信号で渡ってしまうこと。

 フランスでは歩行者のほうが圧倒的に強く、例え青信号で車が渡っていても、そんなのお構いなしに渡ってしまうのだ。でも、それが日常茶飯事なので車も様子を見つつ、減速しながら走行している。
 さて、それが当たり前だから子供たちにはどんな風に交通ルールを教えればいいのだろう。「赤信号は、ほんとは渡っちゃいけないけど、でも車は止まってくれるから、様子を見ながら渡っていいよ」とでも言うのだろうか。大人がみんな、こんな調子だからきちんと教えても説得力がないと思う。
 
 パリに暮らしている頃、足に包帯を巻いている人をやたら見かけた。靴を履いている、その足だ。松葉杖をついている人もよく見かけた。すれ違う人、すれ違う人、あまりに多すぎて、不思議すぎて、すれ違った後も振り返ってみてしまうほどだった。フランス人の友達に聞いても「そう? 」と返されるだけで、誰も気に留めていなかった。でも、明らかに多すぎる。そして、私は秘かに赤信号を無視して渡っちゃって、車のタイヤに。。と思ったりしていたけど、真相はわからない。

2014/11/03

On t'aime, Patrick!


 フランスへ行くと、Courteille(クーテイユ)家が私たちの家になる。よくブログに出てくる、大好きな友達 Marie一家だ。子供たちも小さい頃から知っていて、まさしく家族ぐるみの付き合いだ。いくら仲が良いとは言え。。1ヶ月ほど、家族3人でおじゃましても、みんな嫌な顔ひとつせず、いつも自分の家みたいに過ごせる、そんなすてきな家族。

 Rapを歌うアーティストになった Xavier、自由気ままに遊びに勉学に励むAlice、息子と同い年、小さい頃から変わらず、素直で可憐なままのDiane。みんな、このブログも見てくれていて、喜んでくれているのは、ほんとにうれしい。
 子供たちのパパ、Patrickは仕事もできて、ダンディーで優しい、でもお茶目なまさしく、フランス人という感じ。私たちが長く滞在している間、ジャンキーなものを食べていると、いつも呆れ顔で、おいしいごはんを何度も作ってくれた。何度も一緒に旅したし、Patrickの実家にも行った。まだ3歳だった息子に、大好きな車のイラストがたくさん描かれたパネルを手渡してくれた、初めてフランスで過ごした思い出として。でも、スーツケースの2倍近くあるパネルは、どう考えても日本に持って帰れない。そんなことも考えず、ただ、息子の喜ぶ姿を見たいがために買ってきてくれた。ほんとに優しい人だった。
 
 7年前の今日、Patrickはこの世から旅立った。数年、病と闘っていて、いつかこの日が来るかもと感じていたから、覚悟はしていたけれど、Aliceから電話で報せを受けたときはおいおい泣いた。悲しすぎて、つらすぎて涙が止まらなかった。今でも、Patrickのことを思い出すと涙が出る。でも、写真の中のPatrickはいつものPatrickだ

2014/11/02

壁画


 今日、バスに乗っていてふと目についた、ビルに描かれた落書き。そんなに珍しいことではないけれど、どうやって描いたのだろう。階段も窓も何もない壁。しかも3階ぐらいの高さなわけで、外からハシゴでも架けて描いたとしか思えない。

  時々、見かける壁に描かれた絵や文字。フランスでもよく見かけるけど、壮大で手の込んだアートと言えるものも多い。それもそのはず、ただの落書きではなく、ストリートアーティストによるものもたくさんあるのだ。だまし絵のようなものだったり、もともとあるものや模様につけ加えたりと、芸術を超えた、何か遊び心を感じて見ていて楽しい。
 たくさんの作品を描いたBenjamin Vautier(バンジャマン ヴォティエ)、人間5体の白い影を描き続けている Jérome Mesnager(ジェローム メナジェ)、型紙を用いた手法のNEMO(ネモ)など、パリ20区に彼らの作品は多い。最近では、人々の写真を撮り、大きくして街中に貼り付ける、JR(ジェー アール)というアーティストが出てきた。なぜ、こんなにさまざなストリートアーティストが出てくるのだろう。

 フランス西南部ヴェゼール渓谷、古代最古のラスコー洞窟の壁画が関係してるのかと、つい真剣に考えてしまう。先祖代々、壁に絵を描くのが好きなのかも。

2014/11/01

解読不能


 フランス人の友達から手紙をもらうと、時々困る。何て書いてあるのか、解読不能の時がある。
フランス人のアルファベットや数字はかなり特徴がある。見たことのある人ならば、フランス人の書いたものだなとすぐにわかるくらい、みんな似ているのだ、ちょっと不思議なくらい。書籍や街角のポスター、もちろん新聞も私たちのよく知っているアルファベットや数字が並ぶ。なのに、どうして、いつから、フランス人はこんなにも似たアルファベットや数字を書くようになったのか。。
 
 私たちが書くアルファベットや数字のほうが絶対、世界共通だと思う。「これ、何て書いてあるの?」って言われると、じゃぁ、新聞に書かれてあるものは読めないの? と言いたくなる。そう、それは読める、でも、誰かが書いたものは、 フランス人のように書かれたものじゃなきゃ読めないようだ。なぜだ〜。。私の中の素朴な疑問。ついでに言うと、フランス人の文は右へ右へとかなり上がって書かれている。これも共通している。
 
 私もそれに慣れて、いつの間にかそんなアルファベットや数字を書くようになっている。でも、日本だと、ちょっと下手に見えちゃうから、人に宛てたものには書かないようにしないと。。おっと、ごめんよ〜、フランス人のみなさん。