2014/12/31

年越し


 あっという間に大晦日。

 暮らしている頃、 郊外にある戸建てに住む、日本人画家の知り合いの家にお呼ばれした。広々としたアトリエのあるここに、何人かで集まり、年を越そうということになったのだ。この年は大雪、寒波で年の瀬らしい雰囲気だった。けど、ここはフランス。ならば、お正月らしく過ごしたいね、ということで、みんなで観始めた、紅白歌合戦。と言っても、録画した前の年のもの。今だったら、生で観れそうだけど、その頃はあれ、どうだったのだろう。とにかく、録画の紅白を観て、みんなで盛り上がったのがつい、昨日のことのようだ。
 
 よく、フランス人の友達が「クリスマスにおいでよ。そして、一緒に年を越そう」と言ってくれる。そういえば、暮らしている頃もそうだし、毎年、訪れるのも春や夏ばっかりで一緒に過ごす機会がなかった。。フランス人の友達家族と年を越すのも楽しそうだ。

2014/12/30

買い物好き


 大掃除も大詰め。明日は、おせち料理を作りながら、残りの掃除を終わらせ、高校サッカーを見て、と大忙しな一日になりそうだ。

 さて、元旦は買い物に出かける予定になっている。最近はそれぞれの予定が合わず、買い物にも出かけていないので、買い物好きの我が家にとっては、待ちに待ったという感じだ。息子は買い物予定表を作ろうかな、とまで言っている。福袋には全く興味がないので、のんびり見て回れればいいのだけど、実は元旦に買い物に出かけるのは初なので、どういうことになるのか未知だ。福袋を買い求める人でごった返すのだろうか。。ちょっとキョーフも感じている。。
 
 フランス人、一緒に買い物に出かけるとおもしろい。例えば、袋に入っていて見えにくいものは、袋をさりげなく、こじ開けてみる。あら、開いていたわよ、と言わんばかりのさりげなさだから、こちらも、あれ開いてたの?と思うくらいだ。そして、案外、優柔不断だ。あれこれ試着し、サイズが合わないとか、色が合わないとか、散々文句を言った挙げ句、全く予想していなかったものを買ったりする。まぁ、これは人にも よるだろうけど、一日中、買い物に時間を費やす人もいないかも。日本人は世界中でも無類の買い物好きだと思う。

2014/12/29

お年玉


 あと2日で今年も終わるのに、まだ年賀状を書いていない。。フランスではクリスマスカードに年始の挨拶も盛り込まれていて、年賀状というものはない。なぜ、こんな慌ただしい時期に年賀状と大掃除、こんな大変なことが残ってしまってるのか。。他のことはいいとしても、年賀状はそういうわけにはいかない。と言っても、毎年、年を越しながら、書いているのは我が家だ。毎年、毎年、こうだから、 早めに書いてしまえばいいんだけど、あと2日と迫った今日でさえ、年末らしくないのに、そんなに早く書くなんて、気分が盛り上がらない、と言い訳してしまう。。

 毎年、フランスの友達にも年賀状を出している。でも、年越しに書いた年賀状は遠いフランスには、届くのにも時間がかかる。それを受け取った友達も困ってしまうだろうなぁ、と思いつつ、今年もまんまとそうなりそうだ。
 日本ではもうひとつ、子供たちのお楽しみ、お年玉。フランスには、お年玉ってものはない。フランスでお年玉の話をしたら、びっくりするだろうな〜。フランスにこんな習慣があったら、通りでのカツアゲが増えそうでこわいなぁ。。
 

2014/12/28

Chocolat chaud



 寒い冬には温かいものが食べたくなる。そして、甘いものも外せない。

 フランスにも甘くておいしいものがたくさんある。Chocolat(ショコラ)『チョコレート』も、そのひとつ。有名店のチョコはもちろんおいしいけれど、スーパーで買えるチョコもおいしい。ミルク入り、カカオ何%とか書かれたものやナッツやレーズンがぎっしり詰まったものなど、とにかく種類も豊富で迷うぐらいだ。
 フランス人は「フランスのチョコって、おいしいのよね〜。スイスやベルギーのチョコもいいけど」なんて思ってるだろうけど、日本のチョコだっておいしいし、アメリカのチョコもおいしい。

 フランスに暮らしていた頃の贅沢といえば、寒い日のCaféで頼む"Chocolat chaud"(ショコラ ショウ)『ホット チョコレート』。いつものエスプレッソよりもちょっと高い、ショコラ ショウを飲む時は、何だか幸せな気分になった。でもなぜか、日本のショコラ ショウ、いわゆるココアは、あの時飲んだ幸せな気分にはさせてくれないなぁ。

2014/12/27

Le combien?


 今年もあと少しだ。スケジュール帳もそうだけど、この時期、カレンダーもたくさん出回っている。お世話になった人へ配ったり、お店にもたくさん並べられている。

 カレンダー、気に入ったものをもらえたらうれしいけれど、もし趣味に合わないものだったら、それこそ困る。フランス人の友達の家でカレンダーらしきものを見かけたことがない。そういえば、フランス人って口癖のように ”Le combien?”「何日?」と聞いてくる。あまり、日にちにこだわっていないのかも。私も曜日に関係のない仕事をしているから「あれ、今日は何日? 何曜日?」とよく言ってしまうけど。。時間が経つのもだんだん早くなってきて、ますます日にちの感覚がなくなってきた。
 
 そういえば、友達のMarieが日本にやってきたときの話。乗る日にちを、なぜか一日間違えたらしい。「あら、このチケット、昨日の搭乗分よ」「うそ、今日のはず。。」時間を間違えたわけでなく、日にちを間違えるなんて。。こんな時、フランス人は絶対にひるまない。「1番早く日本に到着する便って、今度はいつ?」さて、フランス人によっては冷たくしてくる人もいるけれど、案外こういう場合、やさしくしてくれるフランス人も多い。けっきょく、Marieはスイスを経由して日本にやって来た。「よく、手配してくれたね。航空券代は?」「もちろん、タダよ。スイスでおみやげ買えたから、ラッキー」と、いつでも前向きなフランス人。まっ、何事もあきらめないほうが勝ちだ。

2014/12/26

牡蠣


 年末年始は食べ過ぎに注意だ。クリスマスやら忘年会も多いし、ついつい食べ過ぎてしまう。さて、毎年、田舎から牡蠣が送られてくる。これが届くと、もうすぐ今年も終わるなぁと、しみじみ思う。今年もやって来た。

 クリスマス イヴの日、いつもより早くやって来た牡蠣。クリスマスの準備はしたけれど、生で牡蠣を食べたい。フランスでも必ず、レモンを垂らして、思いっきり食べちゃう。
 到着した牡蠣は1/3を生で食べても、あと2/3も残っている。翌日、牡蠣鍋に、そして佃煮にしてみた。いや〜、これまた、おいしくって、つい手が出る。あっという間に平らげてしまった。
 
 牡蠣は食べ過ぎるとよくないらしい。でもフランスでも、いっぱい食べていた、みんなで取り合いになりながら。ちなみにフランスで牡蠣がおいしいのは、”r”のつく月、9月から3月がおいしいと言われている。でも、7月、8月でもバクバク食べちゃってる。とにかく、フランス人は生でしか食べない。他の食べ方でもおいしいのにね。
 

2014/12/25

Joyeux Noël!!!


 さて、今日は正真正銘のクリスマス。でも、夕食は昨日、チキンとか食べてしまったし、ケーキも昨日の残りをみんなで分け合ったから、何だか寂しい感じ。。

 毎年、この時期になると、スケジュール帳を買わなきゃ、と焦ってくる。今年はきれいな字で丁寧に書こうと毎回思うのだけど、最後の方はもうすぐ新しいのを買うんだし、まっ、いっか、と殴り書きになり、ますます新しいスケジュール帳が欲しくなる。
 
 つい数年前まで、20年くらい、フランスの”Quo Vadis”(クオ ヴァディス)を使っていた。でも、ふと変えてみたくなって、違うスケジュール帳を使うこと、数年。でも、来年はまた、クオ ヴァディスにしてみようと思い立った。
 人それぞれ、使いやすいの基準はあると思うけれど、何がいいってペンのインクが乾きやすい。今年まで使っていたものは、閉じるタイミングが早すぎると、隣のページに跡が残ってしまう。私にとって、これがちょっとしたストレスだった。じゃあ、ペンを変えればいいだけじゃないって話だけど、気に入ってるペンだから仕方がない。
 それから、クオ ヴァディスは1週間の予定が見やすい、いわゆるバーチカルタイプのものを発明したことでも有名なスケジュール帳。便利だけど、曜日関係なく、仕事している私にとっては、日曜日のスペースが小さいのは残念だけど。。
 でも久しぶりのクオ ヴァディス、ちょっとうれしい。

 とにかく、みなさん、Joyeux Noël!!!
 

2014/12/24

鶏の丸焼き


 今日はクリスマス イヴ。フランスの家庭では、鶏の丸焼きがオーブンでおいしく焼かれ、フォアグラや魚介などの豪華な食事がテーブルに並ぶ。

 鶏の丸焼き、日本ではなかなか焼けるオーブンがないし、食べきれないかなと思ってしまう。フランスの家庭には大きな業務用のようなオーブンがあり、時間をかけずとも、こんがりとおいしい鶏が焼ける。いや〜、でも面倒だな、という人には、強力な味方がいる。お肉屋さんの軒先や移動式の車でクルクルとお肉が回っている、あれだ。家で焼くとあんな風にはなかなか、こんがりとは焼けない。回る鶏を眺めていると、ついつい買いたくなってしまう。
 さて、これをナイフとフォークでうまく食べるのが、これまた一苦労。脚の辺りがおいしいのに、ナイフやフォークでうまく切れない。フランス人は器用に食べる人も多い。うまく切ることができなくても、頑にナイフとフォークを使い続ける人もいる。でも、最近はフランス人も肉を手にして、かぶりつく。初めてフランスに行った頃、手に肉を持って食べている人なんて見たことがなかった。フランスの食事情は変わってしまったのか。。でも、おいしい部位は食べにくかったりするから、手で食べられると簡単でいい。でも、食べれるところは、ナイフとフォークで食べましょう。

2014/12/23

抜けた歯


 新しい靴って、初めて履く時、何だかワクワクする。昔、新しい靴は、夜おろしてはいけないと言われていた。あれ、朝だったっけ? とにかく、昔から伝えられる言い伝えというか、慣習というか、他にもいろいろあった気がする。爪は夜切ると、親の死に目に会えないとか。もっといっぱいあったけど、最近はそんなことお構いなしにやっちゃってる。

 息子が小さい頃、歯が抜けて、どんどん生え変わる時期にふと思った。昔、歯が抜けたら下の歯は上に、上の歯は下の方に向かって投げるとよいと言われていたな、と。何だか乱暴な話だけど、言われる通り、屋根に向かって、下のほうはふんわり下のほうに投げていた。でも、小さいながら、この歯はどこへ行ってしまうんだろう、と心配になったのをはっきり覚えている。
 さて、フランスでは、抜けた乳歯を枕の下に入れて眠ると、翌朝、コインに変わっている。もちろん、パパやママが入れ替えるのだけど。。ちょっぴり痛い思いをするのだから、それぐらいのご褒美はありだな〜と思う。
 
 いろいろ考えた挙げ句、我が家は投げるのはやめた。やっぱり、小さい頃のどこへ歯は消えるの? という疑念が消えず、結局、小さな缶に保管して取ってある。時々、開けてどうなっているか見てみる。これ、一体どうしたらいいんだろう。あれ、フランスのみんなはどうしてるの?

2014/12/22

Parc Astérix


 もうすぐクリスマス。フランスでも日本でも、子供たちはサンタさんからのプレゼントをワクワクしながら待っている。暖炉のそばやベッドの枕元に大きな靴下を掛けておく。フランス語でサンタクロースは、”Père Noël”(ペール ノエル)、直訳すると『クリスマスの父』。Pèreは日本語同様、”◯◯の父”みたいな使い方をするけれど、うんっ?パパがサンタさんってバレッちゃってるような名前だ。
それは置いといて、フランスでは家族で過ごすクリスマスが当たり前だけど、日本では様々な場所でクリスマスを迎える。ディズニーランドなどもそのひとつなんだと思う。我が家はあまり行かない、というか息子とは一回しか行ったことがない。一度も行ったことがないと、いくら何でも彼女が出来た時、困るかなと小学校卒業間近に行ったっきりだ。その後、息子は学校の卒業旅行やらで数回行ったけれど、とにかく、日本では大好きな人は何度でも、どんな時でも行きたいところらしい。

 そんな私もなぜか、パリのディズニーランドに行ったことがある。暮らしている頃、日本からやって来た知人に「私の夢は、世界中のディズニーランド制覇なの」と言われてしまうと、断りきれない。パリのディズニーランドはちょっと様子が違った。日にもよるのだろうけど、ガラガラなのだ。。そして、客はアメリカ人ばかり。待つこともなく、いろんなアトラクションに乗れるからよかったけど。。フランス人の子供たちには、ディズニーランドよりもフランスで昔から親しまれているキャラクター、Astérix(アステリックス)のテーマパークのほうが楽しいのかもな。

2014/12/21

Belleville


 うだるような暑い夏の日には、冬が恋しくなる。そして、こんなに寒い日が続くと、やっぱり夏がいいなとつくづく思う。でも、寒い日にあったかいものを食べる幸せも捨て難い。
 
 寒い時期に思い出す、Elianeと一緒にパリで食べた肉まん。友達 Elianeはパパがフランス人、ママがベトナム人のハーフだ。だからなのか、若い頃、アジアのいろんな国を 旅し、ベトナムと台湾には暮らしていたこともあるらしい。アジアな料理も得意で、それぞれの国のおいしいものをよく、振る舞ってくれる。これがまた、ほんとに美味なのだ。
 そんなElianeとよく、パリのアジア料理を食べに行った。サンマルタン運河にほど近い、Belleville(ベルヴィル)にも、そんなレストランや食材が並ぶお店がたくさんあり、そこへ行くのがふたりの楽しみだった。寒い冬、アジアな食材を調達しがてら、そこで売られている、あたたかい肉まんをふたりで頬張る。そして、喉が渇く と豆乳。一昨年訪れた台湾が懐かしい気がしたのは、そのせいかもしれない。

 そういえば、その頃、ベルヴィルは怪しげな人たちが集い、危ない界隈のひとつだったのだけど、実は私は結構好きだった。あまり知られていない古着屋さんとか、その頃よく行っていたGUERRISOL(ゲリソル)も実はここにもあり、超穴場だった。おしゃれなお店なんてひとつもないけど、Caféも安かったしなぁ。
 ここのところ、パリを訪れても、他にもたくさん行きたいところがあり過ぎて、長く足を踏み入れていないベルヴィル。あ〜、何か妙に行きたくなった。。次は絶対行こっと。

2014/12/20

音のする家


 フランスの家はとにかく、音がする。古い床はどんなに静かに歩いても、ギシギシと音がする。ドアは閉めるのにコツがあって、一度では閉まらないから、やっぱり音がする。ぐっと力強く引いて、少し戻して回すとか、その家なりのコツがあるから、それを覚えるまでには時間を要する。
 
 フランス滞在中、友達の家にお呼ばれする時、お泊まりセットを持って行き、心置きなく飲んで楽しむ。でも、次の日の予定によっては、帰らなければならない日もある。そうなると後ろ髪を引かれ、帰りが深夜を過ぎることもしばしば。 いつも泊まるMarieの家では、もうすでにみんな寝てしまい、家の中は静まり返っていることも。。そんな時は静かに、抜き足差し足で玄関を入るのだけど、どんなに静かに息をひそめても、床が軋む音はどうにもならない。一階から二階への階段も難関だけど、Marieの家には三階まであり、そこへ上がるまでの階段は狭くて、さらに音がする。どんなにゆっくり歩いてもだめだ。じゃぁ、と少し早めに歩いてみるけど、ますます音がする。とにかく、どんなに努力しても無駄なのだ。
 きれいで快適な家やアパートもすばらしいけれど、どこもかしこも音のするフランスの家は、時にはひやひやするけれど、何だか落ち着く。音のする家がなつかしい。。
 

2014/12/19

大掃除


 もうすぐ今年も終わる。毎年のことだけど、大掃除の時期だ。なるべく、日々の掃除をきちんとしておいて、のんびりしたいけれど、日頃できない箇所もきれいにしたいし、何よりすっきりして新年を迎えると気持ちがよいからやってしまいたい。
 
 フランスでは、特別に年末の大掃除はないらしい。普段から掃除に時間を費やすことのないフランス人。人によってはきれいに片付けている家もあるけれど、基本的に家は散らかっているものなのだ。
 ある夏の暑い日、Elianeが言った。「明日は一日、大掃除しなきゃ。洗剤やら掃除道具をいっぱい買ってきたし。 大掃除が終わったら、泊まりに来て」こう言っちゃ何だけど、Elianeの家が片付いているのを、今の今まで見たことがない。郊外のアパートに息子とふたりで暮らしているのだけど、日々、仕事が忙しく、帰ってくるとヘトヘトで掃除がなかなかできないと、よくこぼしていた。さて、どんなにきれいになるのか楽しみだ。
 掃除を終えた夜、 Elianeから電話があった。「明日、遊びにくる?」「掃除終わった?」「ほとんど終わったよ」とEliane。さて、アパートに足を踏み入れると。。えっ、全く変わっていないように見える。「どこを掃除したの? 」「床をきれいにしたのよ」確かに床はつるつるになった気がするけれど、積み重なった本や書類、山積みになった服もそのままだ。
 
 フランスでは引っ越しをする時、業者に頼まないでスーツケースや段ボール箱でせっせと運んでいた。日本ならスーパーとかでもらったりできるけど、 パリでは入手困難だ。BHV(ベーアッシュヴェー)で買ったりしたら、高くてもったいない。だから、段ボール箱も捨てられない。段ボール箱の貸し借りもよくやることだ。そんな捨てられないものがたくさんありすぎて、荷物が増えすぎてこうなってしまうのか。。とにかく、どこもかしこもに山積みのものが溢れている。でも、おかげでいろんなものを出してくれるから、助かる〜。あんなに物が多くても、どこに何があるってわかるのは、特技だな。。

2014/12/18

ジコチュウ


 フランス人、何だかんだ言っても、やっぱり頑固だ。というより、ジコチュウ?

 フランス人の友達と話している時、度々、こんなことに出くわす。例えば、フランス人の友達が日本の地名や 人の名前だったり、つまり日本語を使って聞いてくる時のことだ。「◯◯って知ってる?」何とかわかってあげたいけれど、何なのか、さっぱりわからない。「何、なに? もう一回言ってみて」「えーっ、◯◯よ」「わかんないんだけど。。」「知ってるはずよ〜」よくよく聞いてみると、似てるような気はするけれど、間違っている。遠回しに聞いて聞いて、やっと辿り着く正解。音やリズムは合っていたような気はするけれど。。「ふーっ、やっとわかったわね、よかった、よかった」って、それはこっちのセリフだし。。 
 こんなこと はしょっちゅうだ。別に悪気はないんだろうけど、間違っていたことを認めない、というか認めたくないのだ。こんな時は「何だろうね」と済ませたいのだけど、わかるまで終わらない。まぁ、これも性分だから仕方がないのかも。。
 他にもある。例えば、私が質問したことに答えられない時、答えがわからない時、何となくシラーッと違う話題に持っていったり。それもこれも、悪気はないから、こちらも何ともないけれど。。

2014/12/17

雪道


 今年は寒くなるのが早い。雪も降ったし、もうすでにインフルエンザやら胃腸をこわす感染症が流行している。子供たちは、冬休みに入る前に学級閉鎖になりそうな勢いらしい。毎年、12月なのにこんなに暖かいんだっけ、と言うくらいの感じなのに。。
 冬、寒い時期、田舎では毎朝、霜が降りていた。パリもこの季節、外に出かけるのを極力避けたくなるほど、吐く息も白く、朝もつらい。
 
 パリに暮らしている頃、零度を大幅に下回る、極寒も大雪も経験したけれど、雪国ではないから慣れるってことはなかった。その頃、よく厚底スニーカーを履いていた。ちゃんとしたソールのものではなくて、何か発泡スチロールみたいな、裏もつるつるのソールで、いかにも転びそうな靴だった。
 そう、転びそう、ではなくて、転んだ。。雪が降った翌日、まだ雪がうっすら残っていた道を歩いていたら、工事現場に遭遇した。雪が残る車道をまたいで、反対側に横断するわけにもいかないから、そのまま突き進む。細い板を足場として置いてくれていたのだけど、少しのぼって下っていた。のぼりきって、下るとだんだんと歩きづらくなってきた。慎重に歩いていたのに。。大げさに転んで、尻餅をついた。あれから、濡れた道を歩くのが苦手だ。しかも、フランスの石畳はごつごつして痛い。ぜひとも、転ばないようにしたい。。

2014/12/16

干支


 フランス人の友達によく言われる。日本人はよく、天気の話をするよね、と。確かに「今日はいい天気ですね」とか「雨が降りそうだね」は「元気?」と同等の挨拶だ。だって、これは気になること。雨が降るなら、外出時には傘を持って行きたいし、何を着ていくか、何を履いていくかを決めたい。でも、パリは雨が降り続くことが頻繁ではないし、そもそもフランス人は傘をさすのが嫌いだから、天気なんて気にしても仕方ないのだ。どうでもいいけど、その割に天気予報はよく見ている。「今日は晴れそうだね」なんて言うと、”d'après la météo...”「天気予報によると...」と言うのが決まり文句だ。でも、天気なんて、とにかくどうでもいいことなのだ、フランス人にとっては。
 フランス人、こうも言う。何で日本人は血液型をよく聞くのか、と。でも、フランス人は血液型に興味はなくても、星座や干支には興味のある人も多い。「なに年なの?」と何度も聞かれたことがあるし、干支の置物がほしいと言っていた友達もいた。フランス人に世間話をふるなら、ぜひ、干支の話を〜、きっと喜ぶよ。

2014/12/15

夜歩き


 ちょっとこわい話をもうひとつ。パリに暮らし始めてしばらく経った頃、女友達と夜、遊びに出かけた。どのくらいの時間だったか、はっきりは覚えていないけれど、夜中の2時はとっくに越えていたと思う。その日は女友達のアパートに泊まる予定で、話しながら向かっていた。彼女のアパートは某有名な紅茶専門店のある通りで、パリのど真ん中。その時間だとまだ、町行く人もいるし、開いている店もある。でも1本、通りに入ると人影も途絶え、シーンと静まり返っていて、ちょっぴりこわい。パリの夜歩きは危ないことはわかっていたけど、町のど真ん中だし、ふたりだし、かなり警戒しながら歩いていたから、ちょっと油断していたかもしれない。

 私は手ぶらで、彼女はポシェットを手に持っていた。鍵とたばこが入っていた小さなポシェットには、細い紐がついていた。彼女は話しながら、子供がするみたいにぐるぐるとポシェットを振り回し、紐が何重にも指に巻き付いていた。
 そこへ、いつからつけて来ていたのか、男がやって来て、そのポシェットを奪い取ろうとした。でも、ぐるぐるに巻き付いた紐がジャマをして、男とポシェットを取り合う形になってしまった。「痛いから離して〜」と叫ぶ女友達と早く持って逃げたい男。「もう、 離した方がいいよ」「ぐるぐる巻きになってて、指から離れない〜」そんなこんなで格闘するうちにポシェットは指から離れ、それを持った男は一目散に逃げて行った。あ〜、怖かった。。けど、 ポシェットを取り合うふたりの姿がまるで、コントのように浮かんできてちょっとおかしくなった。ごめん、ごめん。でも、大事にならなくてよかった。
 彼女のアパートの鍵は盗まれたポシェットの中。。結局、ウチまで歩いて帰り、後日、彼女は念のためにアパートの鍵を取り替えた。とにかく、夜歩きは気をつけよう。
 

2014/12/14

催涙ガス



 今考えるとちょっと怖いけど。。

 いつものように、蚤の市巡りをしていたある日。
 その日も観光客の人たちや地元の人たちで混雑していた郊外の蚤の市。すると、どこからともなく、悲鳴が上がった。まもなくバタバタと何人もの人がしゃがみ込む。えーっ、なに〜。「逃げろ〜」と叫ぶ人もいる。辺りは騒然となり、逃げまどう人々。あれ、何だか、咳き込んで目が開けにくい。催涙ガスのようなものを誰かが 撒いたらしく、辺りはパニックになっていた。私も口を押さえて、もう死ぬかも〜と思いつつ、逃げた。でも早く走りたいのに目は開かないし、人だらけでなかなか前に進めない。すぐに痛みも治まり、周りも落ち着きを取り戻したけれど。。
 そんなことが頻繁に起こるようになると、美術館やショップ入り口での荷物チェックは厳しくなり、今では当たり前のことになった。町のゴミ箱もその都度、取り払われて、不便この上なかった。その頃は、ふん、またか〜、とウンザリだったけど、よく考えると、かなり怖いな。

2014/12/13

赤い長靴



 町はすっかり、クリスマス仕様らしい。まだ、イルミネーションは見ていないけれど。。もちろん、かのシャンゼリゼ通りもイルミネーションが燦燦と輝いている。今の季節は、それを楽しみにしている人たちで混雑するから、あまり行きたくはないけど、長い一本道に連なる灯りはやっぱり、一見の価値がある。

 そういえば、暮らしている頃は子供がいなかったし、旅で訪れるのは決まって春か夏だから、すっかりフランスのクリスマスを忘れてしまっている。どんな感じで過ごしていたんだっけ。。
 よく、スーパーとかで売られている赤い長靴にお菓子が入った、あれってフランスにもあったかな。
 クリスマスじゃなくても、フランスでよく見かける、箱に入れられたお菓子の詰め合わせ。かわいい箱の中に何が入っているかは、買ってからのお楽しみ。
 町のパン屋さんには楽しみがいっぱい。グミや甘いお菓子も量り売りで買えるし、パンだけじゃない、子供たちの心をくすぐるものがいっぱいある。
 中身と値段は釣り合っていないけど、子供にとっては大好きなもの。小さな頃はそんなことでも、うれしくて笑顔が出る。これは世界中、どこでも一緒だな。

2014/12/12

Kiki


 よく耳にする言葉。”Mon amour”(モナムール)とか ”Ma chèrie”(マ シェリィ)とか、”Mon petit”(モン プティ)とか”Ma Belle”(マ ベル)とか。。あげるとキリがないくらい、いーっぱいある親しい人への呼びかけの言葉。みんながみんな、使っているわけではないけれど、 かなり多くのフランス人がこの言葉を口にする。特に小さな子供を呼ぶ時、「私のかわいこちゃん」的なノリの言葉だから、聞いてるこちらも、何だか微笑ましい。

 フランス人もあだ名だったり、名前を縮めて呼んだり する。例えば、元サッカー選手のZidane(ジダン)の本名はZinedine Yazid Zidane(ジネディーヌ ヤジット ジダン)、みんなからは親しみを込めて”ジズー”と呼ばれている。
 友達のIsabelle(イザベル)は ”イザ”、Patrick(パトリック)は ”パト”と縮めて呼んだり、Sauvane(ソバンヌ)は ”ソウソウ”、Lou(ルウ)は ”ルウルウ”など、 語呂を合わせて呼びやすくしたり。Alice(アリス)は時々、人気のあったアイドル ”アリセット”とMarieに呼ばれていて、ちょっと嫌がっていたけど。。
 前にも書いたけど、例えばJean-paul(ジャン ポール)だったら、頭文字を取ってJP(ジーペー)と呼ぶ人もいる。
 
 友達のMarieは、小さい頃から知っている人たちに ”Kiki”(キキ)と呼ばれている。「何でそう呼ばれてるの?」と聞いても、物心がついた頃からこう呼ばれているから、なぜだかわからないらしい。Marie-Christineという名前なのだが、みんなMarieよりもChristine(クリスティン)と呼んでいる。だから、私はあえて”マリー”と呼ぶようにしている。でも ”キキ”って呼びたくなるほど、Marieはその名前を呼ばれるとうれしそうだ。やっぱり、小さい頃からの名前ってしっくりくるんだろうな。

2014/12/11

旅の準備


 フランス人の友達、旅へ出る時の準備がびっくりするくらい、早い。あっという間に荷造りを終えてしまう。何度もその姿を目撃している私は、初めてその光景を見た時「今から行くんだよね?」と、つい聞いてしまったほどだ。もうすぐ出発するはずなのに、何の準備もできていないなんてことも。
 でも一旦、荷造りを始めるとその早さは尋常じゃない。まず、服をたたんできれいに並べ入れる、なんてことはしない。とにかく、持って行きたいものを、次から次へとスーツケースに投げ入れる。よく映画なんかで見かける、スーツケースが閉まらなくて、その上に座って強引に閉めるなんてこともやってのける。最近は、重量制限が厳しいから無理だけど、詰め込められるものはどんどん詰め込む。子供たちに「パジャマは〜?」って聞かれると「昨日着てたのを入れちゃいなさい」とか言いながら。
 
 ある年のこと。私たちのフランス滞在に 少しかぶって、Marieたち家族がCanadaのQuébec(ケベック)に旅行に出かけた。いつもなら、私たちが見送ってもらうのだけど、今回は私たちが見送る側だ。というわけで、荷造りを手伝う。夕方に出るのに、こんなんで間に合うのか。何で昨日までにやってないの? と言いたくなるのをグッとこらえて、手伝う。さぁ、そろそろ出る時間がやってきた。「どうやって空港まで行くの?」「免許、持ってる? 空港まで送ってくれる?」「えっ、国際免許取ってきてないよ」「たぶん、大丈夫じゃない?」「いやいや、大丈夫じゃないから。。」「えっ、ケベックはそんなの取らなくても運転できるよ」「無理、無理」というわけで、あたふたと出かけていった。
 その時間、どれくらいだっただろう。あっという間に行ってしまった。何時間もかけて、海外旅行に行くんだよね?  隣町へ行くみたいな勢いで行ってしまったけど。。Marieんちはちょっと特別だけど、他のフランス人の友達も案外こんな感じなのよ、ほんとに。

2014/12/10

ノーメイク


 こんな寒い中、何だけど、フランス人はタンクトップが大好きだ。夏の暑い最中にはみんな袖のない服を着ている。子供も、大人女子も、男子までもが、タンクトップを着ている。日本で大人の男性のタンクトップ姿ってあまり見ないけど、フランスではこれが普通なのだ。
 
 フランス人はどこまでも自然体だ。暑い時はなるだけ涼しい格好をし、面倒だからなのかノーメイクの人も多い。以前も書いたけど、ナチュラルに見える薄化粧ってことでもなく、正真正銘ノーメイクだから驚く。睫毛はビューラーを使わなくても上がっているし、元々、色素の薄い目の色には、眉毛が少々薄くてもへっちゃらだ。アイラインを入れたようなくっきりとした目元、これでリップさえきちんとすれば完璧、完璧。でも日頃はリップなんかもささない。
 そんな中に混じっていると、ノーメイクも当たり前になってくる。長く暮らせば暮らすほど、それはふつうのことになってきて、私も暮らしている頃から長い間、ノーメイクだった。今でも流行り?のノーファンデだけど、さすがに マスカラぐらいはするようにしている。
 フランスで見かける日本人、住んでる人と旅行者はすぐに見分けることが出来る。雰囲気でもわかるけど、暮らす人はほとんどメイクをしていない。郷に入れば郷に従え?  フランスは硬水だから、メイク落としも大変だからってこともあるかも。。

2014/12/09

運動会と体操服


 フランスの学校行事には運動会がない。なので、フランス人の友達に運動会について説明をするのは大変だ。その日は親も観に行くし、お弁当も用意するし、朝から走ったり、踊ったり、と説明してもなかなか通じない。ないものを想像してみるのって難しい。

 フランスではどちらかというと、学校は勉強するところという意識が強いので、学校行事はほとんどないらしい。水曜は休みか午前のみ、土曜、日曜はお休みのところがほとんどだ。長期休みも多く、7週間学校に通い、2週間休み、を繰り返し、夏休みはほぼ2ヶ月という具合だ。まぁ何とも、うらやましい限りだ、とも言い切れない。
 学校にもよるけれど、学校の終了時間が遅いのだ。16時半頃までみっちり勉強する。でもなんと、お昼休みは2時間、家にお昼ごはんを食べに帰る子もいる。でも、学校や自治体によって、少しずつ変わってきているらしく、お昼休みも短くなり、その分、午後の授業が早まり、夕方の課外活動に時間が充てられるようになってきているみたいだ。
 フランスの子供たちは、学校から戻ってきても宿題している風でもなく、長期休みの間、宿題に追われることもなく、のびのび過ごしているのはいいなと思う。最近は少しずつ変わってきてはいるらしいけど、学校では勉強、家では遊ぶ、って感じで、メリハリがあっていいなと思う。

 そういえば、フランスには制服もないけど、体操服もない。「動ける服装を用意してきてください」と言われるみたいだけど、みんな様々でスカートやジーンズを持ってきたりするらしい。まぁ、それで運動も出来なくはないか。。ないものを想像するのは難しい、かな。

2014/12/08

反抗期


 最近、よく聞かれること、17歳になった息子に反抗期はないのかと。。今までもなかったし、たぶんこれからもないだろうと思う。息子曰く「なぜ、反抗期がなければいけないのか。時間の無駄だし、意味がわからない」と。日本では、思春期頃にこの道を通らなければ、子供の成長にとってよくないと思っている大人が多すぎる。いい子を演じているか、もしくは親が押さえつけているか。そんなことはない。フランスの子供たちを見ていれば、そんなことは一目瞭然だ。

 フランスには反抗期という概念はない。12歳の頃まではどこへ行くのも常に親と一緒。少しずつ、自分の世界が広がり、高校生になるとヴァカンスを友達と過ごしたり、週末、時には夜も出かけるようになる。けれど、家族ともヴァカンスを過ごすし、クリスマスやお誕生日、大事な日には家族と過ごす。自分の世界と家族と共有する世界をうまく過ごせているからよいのだと思う。
 それに、フランスの子供たちは、幼い頃から自分の意見を言い、家族と議論を交わす。自分を主張したとしても、基本的に親に歯向かうことはない。もちろん、年頃になってくると口数も減ってくるし、言い返すこともあるけれど、それは反抗ではなく、それを引きずることもない。そんな光景をフランスの友達の家で見てきた息子は、意見や反論することはあっても引きずることもなければ、それが続くこともない。
 
 ひと月ほど前、息子がこんなことを言ってきた。「年末に友達数人と一泊で、スノボーしに行く話が出ている」と。「行く暇なんてあるの?」「部活終了後、29日午後から30日の夕方までには帰ってくる」「そうなんだ」とだけ返事しておいた。つい2日ほど前「やっぱり、行くのやめた。慌ただしいし」「けがの心配のない楽しいことは他にもいっぱいあるし、進路の決まった後、存分に行けばいいんじゃない」サッカーをやっている息子、練習や試合でケガするならまだしも、スノボーでケガなんてしたら目も当てられない。本人、そこまで考えたかどうかは定かではないけど。。だんだんと大人になってきている。
 反抗期がなくても、ちゃんとした大人もたくさんいる。フランスの友達んちは、大きくなってもずっと仲良しだ。みんな、心配しなくても大丈夫よ。

2014/12/07

Minitel


 ずいぶん前に、まだパソコンが一般的でなかった頃に、フランスではMinitel(ミニテル)という端末が家庭に設置されていた。見た目は、昔のテレビのようなパソコンのようなもの。紙の電話帳の代わりのもので、要するに名前などの情報を入れると、電話番号が調べられるものだ。有料のものだと、列車や飛行機のチケット予約、ホテルの予約、オンラインショッピング、生活情報、そしてチャットなんかもできちゃったらしい。
 私が暮らしている頃にはあまり見かけなくなっていたけれど、まだまだ、パソコンなどのインターネットサービスも普及しておらず、あるところにはあった。けど、そんなに便利に使いこなしている人もいなくて、存在すらも薄れていった頃。。
 
 ある時、留守にしていた友達の家の空気の入れ替えを頼まれた。友達のアパートにさぁ出かけよう、と鍵を手にしたのはいいけれど、閉めた途端、自分ちの鍵を持ってないことに気付いた。時すでに遅し。。オートロック式の部屋の扉は完全に閉ざされてしまった。スペアの鍵はもちろん、部屋の中。。
 薄っぺらいカードを扉の隙間に差し入れて開けようとしたけど、これもダメ。まっ、これで開いてしまったら、泥棒にも簡単に入られちゃうからダメだけど、万が一と思い、もう一度やってみるも開かず。中庭に面した窓から、なんてそんなスパイダーマンみたいなことはできない。しかも、4階だし。。中には愛猫ポチが居る。「ポチ〜、ポチ〜」と叫んでも、当たり前だけど開けてくれる気配もなく。。
 
 大家さんに合鍵を借りなきゃ。でも、 そのアパートの大家さんは部屋ごとに違うから、ウチの大家さんを知っている人が、このアパートにいるのかどうかすらもわからない。フランスでは直接契約も多く、仲介の不動産屋もいない。大家さんの電話番号も知ってはいるけど、書かれた契約書は部屋の中だ。とにかく、共通の知り合いがいないのだから、困り果てた。で、ふと”ミニテル”と思ったのだ。辛うじて大家さんの名前は覚えていた。そして、はっきりではないけれど、郊外のこの辺りに住んでいると、世間話ついでに聞いたのを覚えていた。あとは、”ミニテル”。そういえばウチのアパートの1番下の階の事務所 にあったのを思い出し、事情を話して、貸してもらった。
 大変だったか、簡単だったか、すっかり忘れてしまったけれど、何と大家さんを見つけることができた。そして、大家さんの住む郊外の町にて、合鍵を受け取ることができた。
 後にも先にも、鍵を閉じ込めたのも、”ミニテル”を使ったのも、この時一回限りだ。過ぎてしまえばいい思い出、かな。

2014/12/06

ウォークマン


 フランスから日本に友達がやってくると、必ずと言っていいほど電化製品を見に行きたいと言う。まぁ、それはだいたいカメラか音楽を聞くもの、ってことなんだけど。

 フランスは、ほんとに電化製品の種類も少ないし、値段も高い。質のよいものもあまりないので、みんなここぞとばかりに家電量販店に行きたがる。日本製品は高性能で、しかも同じ製品でもフランスで買うより安く買えるとあって、それを楽しみにしてくる友達も多い。
 そういえば、音楽を聴くものはいろいろあるけれど、フランスではこれって何? っていうもので音楽を聴いてる人もたくさんいた。電車やバス に乗っていると、どこからか音楽が聞こえてくる。誰かのウォークマンみたいなものから、音が漏れているのだ。大きな、ほんとに大きな音で聴いていると、ちょっと音が漏れるってことはあっても、まるでイヤホンがもともとないんじゃないかってくらいの大きさなのだ。それが一人や二人どころじゃない。あちこちから、音楽が流れてくる。
 あんなにおしゃべりなフランス人も、公共の乗り物に乗っている時は、何だか妙に静かだから、ますます目立つ。せめて、どうせ聞こえちゃうなら、気持ちのよい音楽がいいなぁ。
 

2014/12/05

コード番号


 フランスのアパートの入り口は、何桁かのコード番号を押すと開くようになっている。あまりにも古いアパートが多いので、気にも留めていなかったけれど、実はオートロックってことだ。昼間は、一カ所のボタンだけを押せばいいところがほとんどだけど、夜は番号を押さなければ開かないようになっている。そのコードがわからなければ、中には入れない。アパートにもよるけれど、入るともうひとつ入り口があり、部屋のボタンを押して開けてもらうようになっている。友達の家を訪れる時は、外のコード番号を聞いておかなければ入ることができない。

 まだ、携帯電話が普及してない頃のことだ。友達の家に夕食にお呼ばれしたはいいけど、いくらコードを押しても、扉が開かない。以前聞いていたコード番号が変わってしまっていたのだ。番号を教えたと思っていたのか、つい教えるのを忘れてしまったのか、とにかく扉が開かない。仕方がないので、外で待つことしばらく。誰も出もしなければ、入りもしない。。これじゃ、埒が明かないと電話をかけることにした。
 前にも書いたように、その頃、電話ボックスには必ず誰かいた。そして、フランス人、誰もが長電話だ。今でこそ、携帯電話を持っている人がほとんどだけど、その頃、無人の電話ボックスを見たことがほとんどないというくらい、いつも誰かがいた。探せど探せど、電話の空きがない。ちょっと焦ってきた。。仕方なく、またアパートの前に戻るとたまたま、扉が開いた。急いで入れてもらい、友達にちょっと文句。「コード番号が変わったなら教えておいてよ〜。大変だったんだから」「ごめん、ごめん」今は携帯電話があるから大丈夫だけど。。

2014/12/04

エレベーター


 そうそう、フランスのエレベーターは古くて狭い。人が2人、3人でもういっぱい、なんてエレベーターも少なくない。 
 
 初めてパリを訪れた時、知っているパリはテレビやガイドブックに載っている、それがパリだった。だから、どんなエレベーターがあるかなんて知らなくて当然だ、と思う。だって、そんなこと書かれてなかったもん。
 そう、古くて狭くても、日本によくある形態のエレベーターなら問題はない。でも、フランス映画とかに出てくる、内側に格子の扉があって、外側に本来の扉があるタイプ。 まず、手で内側の格子の扉を閉めると、自動的に外側の扉を閉めるやつだ。こんなエレベーター、日本では見たことも乗ったこともなかった。

 ある時、このタイプのエレベーターに乗った。格子の扉を閉めると、外側の扉が閉まりエレベーターが動き出した。けど、途中で止まってしまった、次の階にたどり着く手前でだ。何が何だかわからず、どうしたらいいかもわからない。途方にくれていたら、外側の扉がかすかに開いた。外には誰かが。。「格子の扉をきちんと閉めてみて」言われるとおり閉め直すと、外側の扉も閉まり、動き出した。閉めたつもりがちゃんと閉まってなかったらしい。そうなると、ふつうは動かないらしいのだけど、何だか中途半端に閉まったような、閉まってないような。。で、動いたはいいけど、途中で止まったらしい。長時間、閉じ込められてしまったらどうしようと、ちょっとパニクった。無事脱出できてよかった〜。誰も来なかったらと。。想像しただけで、恐ろしや、恐ろしや。

2014/12/03

階段なし


 フランスではMarchéに行く時、かごを持って行くか、コロコロッと転がすカートを持って行く。かごはあまり重くなってしまうと持ち歩くのが大変だから、大量に買う時はカートのほうが便利だ。
 しかし、フランスの石畳の道はカートが飛び跳ねてまっすぐ進まないし、車の部分が故障しやすい。一軒家やエレべーターのあるアパートでは、 カートを運ぶのも大変ではないけど、エレベーターのないアパートだと。。
 
 フランスに暮らしていた頃、3階に住んでいた。フランス式に言うと3階、でも日本で言うところの4階。フランスでは1階のことを”rez-de-chaussée(レッド ショセ)と言い、2階が”premier étage”(プルミエ エタージュ)と言う。プルミエとは1という意味だから、フランスでは、2階が1階ということになる。ちなみに 3階は”deuxième étage”(ドゥージエム エタージュ)『2階』、その後も1階ずつズレていることになる。
 ウチですら、カートや荷物を運ぶのが、それはそれは大変だった。スーツケースなんか持って上がるのを想像するだけでゾッとする。フランスでの引っ越しはほんとに大変だ。細かく何回にも分けて、ダンボール箱を運ぶ作業は正直疲れる。大きなものや重たいものはクレーンで持ち上げて、窓から入れてしまう。階段がせまいと入らないし、もしエレベーターがあったとしても古くて狭いものがほとんどなので、役に立たない。そう、基本的に窓より大きいものは家の中にはない。大きいものは組み立てるものだけだ。
 
 友達は日本でいうところの7階に住んでいた、それもエレベーターなし。。階段を下りて忘れ物に気付いても、取りに戻る気力は出ないと言っていた。楽しかった旅行から戻ってくると一気に現実に引き戻される。いくらなんでも、女の子が20kgのスーツケースを7階まで持って上がるのは無理だ。というわけで、中身を取り出して何回かに分けて運ぶと言っていた。それもいやだな〜。仕方ないとは言え、何往復かに疲れるし、下に残した荷物が気になるし、面倒くさいこと、この上ない。

2014/12/02

路線図


 パリへ行ったら、あると便利な ”Plan de Paris par Arrondissement”(プラン ドゥ パリ パー アロンディスモン)。いわゆるパリの地図帳。ページは区ごとに示されていて、住所目次で行きたい住所を調べる。何ページのAの5、とかいう風に書かれており、それを辿っていくと、行きたい住所を探しだせる仕組みになっている。この地図があれば間違いなくたどり着く 、そんな優れものだ。丁寧にどこの駅が最寄り駅だとか、この道と この道がぶつかったところにある、とか書かれてあり、とっても親切でわかりやすい。こんな便利なものが日本にもあったならいいのに。。

 初めてパリを訪れた時、何よりびっくりしたのは、全ての道に名前が付いていることだ。日本で通りに名前が付いているのは、主要な通りや人が集まる繁華街ぐらいだ。でもフランスのように道に名前がついていたら、 人に道を尋ねるのも容易いし、自分の住む通りに名前があるなんて、何だかうれしい。
 私が持っている地図帳は初めて行った時のものだから、ずいぶん古ぼけてきてしまった。もしかしたら、多少変わってしまったりしてるんじゃないかとも思うけど、少々のことは気にしない。
 
 でも、路線が変わってしまっていたら、ちょっと不便だ。暮らしていた頃、定期券や切符を買うとプラスチック製のパスケースがもらえた。透明になっているので、中に入れたものがすぐに見てとれて便利だった。この中にぴったり、すっぽり入るメトロとバスの路線図が一時期もらえたのだけど、一定期間しか配られておらず、今は手に入れることはできない。今は折りたたみ式でコンパクトではあるけれど、見るためには開いて大きくしなければならないものしかないのだ。だから、パスケースにぴったり入る、前の路線図をずっと使っているのだけど、時が経ち、新しい路線ができ、何駅も増えてしまった。そんなこと、わかっているのに。。その路線図には載っていないことをつい忘れてしまい、あの線で行けばすぐ着くのに、つい違う線に乗ってしまい、遠回りしてしまったこと数回。あ〜、またやってしまった。言い訳すれば、暮らしていた頃にはなかったのよね、この線。。

2014/12/01

スキーが好き


 日本語でもあるように、フランス語にも全く同じ綴りで、2つ以上意味を持つ単語がある。日本語には漢字があるから、文字にすると違いは歴然だけど、フランス語はアルファベットだから全く同じにしか見えない。文脈でもちろんわかるけど、これとこれが同じなんて、と思うような言葉も多い。  

 この間、Marieとメールのやり取りをしていた時、子供達の近況報告になった。Marieの息子 Xavierはラッパーとして活動しているのだけど、これから弁護士の勉強を始めるらしい。
 さて、この『弁護士』、フランス語では”Avocat”(アヴォカ)だけど、野菜の『アボカド』という意味もある。なので、Avocatになるために勉強している、とくれば、そりゃ弁護士よねってことになる。
 ちなみにこんな風に男性、女性共通の職業は、少しの例外を除けば、語尾に”e”をつけると女性形になる。弁護士ならば、Avocate(アヴォカトゥ)となる。なので、女性弁護士は冠詞をつければ ”Une(La) avocate”となり、男性弁護士ならば ”Un(Le) avocat”、野菜のほうも男性形なので”Un(Le) avocat”になるから、ちょっとややこしい。もし『Avocatが好き』と言ったら ”J'aime le avocat”となり、どっちのことか、わからない。
 そう言えば余談だけど、Ericは日本語の『スキーが好き』をえらく気に入ってたな。