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2015/02/06

Diva


 前回に引き続き、フランス映画について。やっぱり、フランス映画って奥が深いと思う。しっかり観ていないと、ちょっと目を離した隙にわからなくなってしまうことがある、それがフランス映画だ。

 毎日のように映画を観ていた時期がある。それがきっかけでフランスが好きになったと言っても過言ではない。そんなフランスでは、映画がたくさん撮られている。フランス映画はもちろん、海外の映画もフランスを舞台に撮られていて「あーっ、ここ知ってる」と言いながら観るのも、これまた楽しい。
 
 さて、一番好きな映画を決めるのは難しい。観たけれど、もうすっかり内容も覚えていない映画だってたくさんある。何度も観たくなって、何度も観た映画もある。”Diva”(ディーバ)も、そんな映画の中の1本。Jean-Jacques Beineix(ジャン=ジャック ベネックス)監督の初の長編作品。その後は、”37-2 Le Matin”『ベティ ブルー』や ”Assigné à résidence"『潜水服と蝶』などの映画も撮っている巨匠だ。そのどちらもよい映画だけれど ”Diva”は何度も観たくなる映画。パリのレイトショーでも何度か観た。でも、初めて観てから何度も観たけれど、全編通して観たことがあるのは初めての時だけ。。一度観たから安心してしまうのか、Divaが歌う音楽が心地よすぎるのか。。
 物語としてもおもしろいけれど、パリの町をバイクで走ったり、歩いている時の情景だったり、とにかくパリを堪能できる映画。それに映画のところどころに潜む、センスの良さも感じられてかっこいい。そろそろ、また観たいな。

2015/02/05

フランス映画


 フランス人は映画好きが多い。子供が小さい頃は、週末になると家族連れだって映画館へ行く。パリにはマニアックな映画を上映する映画館も数多くあって、いろんなジャンルの映画を楽しむことができる。ツボを得たレイトショーも多くて、唸ることもよくある。どちらかというとフランス人は、フランス映画を観ることが多い。今どきの流行りの外国映画よりも、じわじわと人気の出た映画を口コミで広めていくことも多いのだ。
 
 日本にやって来るフランス映画はごく一部だから、意外に知らない作品も知らない俳優も多い。『ポンヌフの恋人』が有名なLeos Carax(レオス カラックス)の作品にたくさん出ているDenis Lavant(ドゥニ ラヴァン)は、フランス人ならみんな知ってるけど、日本人にはあまり知られていない。でも一度覚えれば、決して忘れられない、とても味のある俳優の一人だ。
 誰とは言わないけれど、日本では名の知れた俳優でも、実はフランスではがっかりするような映画に出ていたりして、げんなりすることも多々ある。でも、あまり知られていないけど、はっとするような中年男優がフランスにはたくさんいるのだ。
 フランス行きの飛行機の中で上映されている映画は、その時の最新映画だったりするけど、案外はずれがない。なかなかのセレクトだ。旅の楽しみのひとつ。

2014/08/24

Attila Marcel


 今日は、息子とフランス映画『ぼくを探しに』を観に行った。幼少時期に両親を失ってから言葉を失ったPaulは、伯母姉妹に育てられた。両親の記憶がおぼろげなPaulは、同じアパートに住むマダムとの出会いで、少しずつ記憶が蘇っていく。
 “Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain”『アメリ』のプロデューサーの作品と聞いて、なるほどの映像だ。コメディータッチでフランス的なブラックユーモアもあり、笑って泣ける映画だ。
 こんな伯母姉妹みたいなマダムいるなぁとか、Paulがシューケットを袋から取り出して食べたり、さくらんぼの種をプッと出したり、そうそうフランス人ってこんな感じと、頷いてしまう映画。夢と現実が曖昧で、途中、Paulの奏でるピアノが、彼の心を表しているようで引き込まれていく。楽しそうに聞こえた伯母姉妹の歌声も、映画を見終わった後はちょっぴり切ない。映画と音楽はやはり一体だ。  

2014/08/02

Louis Malle


 映画と本の話は、始めると止まらなくなるから要注意なのだが、前回に続き、今回も映画話。フランス人は大雑把で、およそ繊細さの欠片も感じない部分もあるのに、映画の中では緻密でこの上なく精巧かつ計算されていて、でもより自然な風景を切り取るのがうまいと思う。
 Louis Malle(ルイ マル)監督の”Au revoir, les enfants”『さよなら、子供たち』や”Zazie dans le métro”『地下鉄のザジ』、両極にあるこの作品だけど、どちらを観ても思うのが、非日常的な日常を切り取るのがうまい監督だということだ。
 “Ascenseur pour l'échafaud”『死刑台のエレベーター』はルイ マル監督の作品の中でも名作中の名作だ。Jeanne Moreau(ジャンヌ モロー)の美しさ、即興とは思えないMiles Davis(マイルス デイヴィス)のトランペット、恐怖感を駆り立てるカメラアングル。どれを取っても、素晴らしい。
 
 パリに暮らしていた頃、何度か『砂の女』がテレビで流れていた。私の好きな作家、安部公房の秀作、そして、若かりし頃の妖艶な岸田今日子が出ているのだが、この映画と「死刑台のエレベーター」は私の中では重なる。女の怖さとか、その世界に入ってしまうと逃れられない、何かが似ているんだと思う。フランス人の友達にも『砂の女』好きが多い。昔のフランスと日本の映画は、相通じるものがあったなと感じる。

2014/08/01

François Ozon


 映画を観るならフランス映画、なぜなら好きな監督がたくさんいるから。言わずと知れたヌーベルヴァーグは永遠のテーマだし、Gaspar Noé(ギャスパー ノエ)のような奇才の監督作品も観てきた。
 だから、一番好きな監督を挙げるのは難しいけど、お気に入りのうちのひとりが François ozon(フランソワ オゾン)。ここ近年、フランスの映画界を牽引する人物である。私が初めて観た映画は"Sitcom"『シットコム』という、家族を題材にした作品だ。ホームドラマと言えば聞こえはいいけど、人間の奥深いところを突いた、かなりシニカルで、おどろおどろしい、でもコメディ映画。
 
 この監督を有名にさせたのが、”Sous le sable”『まぼろし』や ”8 femmes”『8人の女たち』で、往年の大女優、Charlotte Rampling(シャーロット ランプリング) や Catherine Deneuve(カトリーヌ ドヌーヴ)の演技も素晴らしい。これらも好きな作品だけど、でも一番好きなのは “Swimming Pool”『スイミング プール』。フランス映画特有の結末が曖昧で余韻の残る、そんな映画だ。
 この監督のコミカルもシリアスもどちらも好きだけど、ぜひ、おやっと思ってしまう『シットコム』を観て欲しい。この監督の世界観がギュッと詰まったような映画だ。

2014/05/24

L'appartement


 昔、とても気になる女優がいた。映画を観るとき、どちらかと言うと、この監督の作品だからという理由で観ることが多いのだが、一時期、ある女優の作品を追いかけていた時期がある。
 Romane Bohringer(ロマーヌ ボーランジェ)というフランス人だ。決して、かわいいとかではないのだが、どこか魅力のある演技派だ。初めて、彼女を観たのは Les Nuits fauves『野生の夜に』という映画だった。この映画の原作、監督、主演の Cyril Collard(シリル コラール)が、映画が完成した翌年に35歳という若さで亡くなったので話題になった。余命を知りながら作った映画として、話題が先行していたのではなかったかと記憶に残っている。そういう状況下にあったからか、出ている俳優陣も迫真の演技だった。ここから、彼女の作品を立て続けに観た。Mina Tannenbaum『ミナ』という映画の切ない友情、ファッションのかわいさも印象に残っているけど、一番のおすすめは L'appartement『アパートメント』という映画だ。好きになった人が親友の彼氏だったという、よくあるストーリーではあるけど、時系列が複雑で、その複雑さがより心情の深さを表現していて、見終わったあと不思議な感覚になる映画だ。一度観ただけでは、きっと理解できないので何度も観たくなる、そんな映画。年を重ねてますます味の出てきた、Vincent Cassel(ヴァンサン カッセル)も出ている。
 
 その頃、パリの劇場前で偶然会ったロマーヌ ボーランジェは思ったよりも小柄で、静かな空気に包まれた人だった。顔も小さくて、顔の横幅が普通の人の半分ほどしかなかった、いやー、ほんとに。

2014/04/06

Intouchables(最強のふたり)

 
 私がフランスで暮らしたいと思ったのは、たぶんフランス映画に興味を持ってからだと思う。かなりの映画に感銘を受けたし、その頃はまだフランス語も理解できなかったが、耳に入ってくるフランス語がとても心地よかった。結末が曖昧でわかりにくいし、気分が滅入るものが多いという人もいるが、それがフランス映画の醍醐味だと私は思う。
 
 そんなフランス映画とはちょっと違うが、『最強のふたり』という映画を観た。事故のせいで全身麻痺になり、身体が不自由な大富豪フィリップと、ひょんなことからフィリップの介護をする黒人ドリスの友情のお話で、涙あり笑いありの実話を基にした映画だ。
 見終わった後、清々しいあったかい気持ちになったが、フランスに根付く問題を辛辣に描いた映画であるとも思った。日本ではありえないがフランスならあるかも、とつくづく思った、そんな友情のお話。そう思えるなんて、やっぱり、フランス人は不思議ですてきだな。