2014/08/02

Louis Malle


 映画と本の話は、始めると止まらなくなるから要注意なのだが、前回に続き、今回も映画話。フランス人は大雑把で、およそ繊細さの欠片も感じない部分もあるのに、映画の中では緻密でこの上なく精巧かつ計算されていて、でもより自然な風景を切り取るのがうまいと思う。
 Louis Malle(ルイ マル)監督の”Au revoir, les enfants”『さよなら、子供たち』や”Zazie dans le métro”『地下鉄のザジ』、両極にあるこの作品だけど、どちらを観ても思うのが、非日常的な日常を切り取るのがうまい監督だということだ。
 “Ascenseur pour l'échafaud”『死刑台のエレベーター』はルイ マル監督の作品の中でも名作中の名作だ。Jeanne Moreau(ジャンヌ モロー)の美しさ、即興とは思えないMiles Davis(マイルス デイヴィス)のトランペット、恐怖感を駆り立てるカメラアングル。どれを取っても、素晴らしい。
 
 パリに暮らしていた頃、何度か『砂の女』がテレビで流れていた。私の好きな作家、安部公房の秀作、そして、若かりし頃の妖艶な岸田今日子が出ているのだが、この映画と「死刑台のエレベーター」は私の中では重なる。女の怖さとか、その世界に入ってしまうと逃れられない、何かが似ているんだと思う。フランス人の友達にも『砂の女』好きが多い。昔のフランスと日本の映画は、相通じるものがあったなと感じる。

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