2014/11/30

夜遊び


 何年か前に、まだ高校生だったXavierがだんだん夜遊びを覚え始めた。と言っても、平日は忙しいし、お金も限られた学生だ。週末、友達の家に遊びに行ったり、映画を観に行ったりと、かわいいもんだ。時々、みんなで食事に行ったりもするらしい。日曜日、閉まっているお店も多く、その頃住んでいた郊外あたりには、遊べるようなところはない。
 「どこに行ってるんだろうね」Marieにそう聞くと「シャンゼリゼらしいわよ」「えっ、あんなに観光客だらけで、物価が高いシャンゼリゼに?」
 週末でもお店が開いていて、高級店も多いけれど、学生が行くような手頃なものが買えるお店もあるのは知っている。クラブやライブハウスもあって、夜遊びするにはいい感じなのだ。ただ、Caféも高いし、お金が無ければ楽しくはない。きっと、友達や彼女とそこへ行くだけで楽しいんだろうな。
 
 小さい頃からXavierを知っているだけに、大人になったなぁ、としみじみ思っていたら「でも、まだまだ子供ね。彼女と出かけるのに、昨日、履いてた靴下を裏返して、また今日も履いて行ったんだから」とMarie。「えっ、他に靴下なかったの?」「あるわよ。よほど気に入っているのか、めんどくさいのか。意味わかんない」何でだったんだろう? 今はもう、すっかり大人になったXavier。きっと、そんなことはしてないと思うけど。。

2014/11/29

Guinguette


 パリで暮らしていた頃、ライブによく出かけた。パリは箱自体が小さく、臨場感が感じられるし、大好きなアーティストが間近で見られて、断然、お得感がある。
 
 毎回、今回が最後、最後と言われるローリングストーンズの野外ライブが行われると聞いて、日本ならチケットも入手困難だけどパリなら何とか行けるかも、と思いたった。その頃、やっぱり、日本に比べてチケット代は安かったけれど、さすが大御所、350F(フラン)ぐらいだったような。。それでも、日本円で6000円ぐらいだから安い。
 まず、びっくりしたのは前座がボンジョヴィだったことだ。もう、その時すでに中堅の域に入っていたボンジョヴィが、数曲歌っただけで引っ込んでしまった。野外だったこともあり、ノリノリで踊りまくる人あり〜の、寝っ転がってみてる人あり〜ので、楽しいライブだった。
 その頃、まぁ、それ以降もフランス人の好きな音楽はテクノが群を抜いていて、パラパラを彷彿させる踊りでギョッとさせられたこと、幾度もあり。フランス人は踊ることが大好きなのだ。
 夏祭りでもダンス会場を設け、老若男女、輪になって踊っていた。パリ郊外、マルヌ川の畔のレストランが、休日や夏の夜限定で、生演奏も楽しむことができるGuinguette(ガンゲット)『ダンスホール』に早変わりする。これ、けっこう、人気がある。
 
 何年も前のことだけど、知り合いが主催するパーティーに友達と連れだって行ったことがある。郊外のモロッコ料理店のダンスパーティーで、若い人から老夫婦、様々な人の集いだった。クスクスを食べている途中でも、音楽が流れ始めるとムクッと立ち上がり、踊り始める。かなり、不思議な空間だったな。
 

2014/11/28

ポイントカード


 最近は日本でも、ポイントカードが流行りだ。買い物する度にポイントを加算してもらう、お得なカード。よく買い物するところでは、せっかくだから使いたいけど、枚数が増えるのは面倒だし、そもそも、どこに保管したのかわからなくて、結局出せなかったということもしょっちゅうだ。なので、絶対よく行くところ限定で持ちたい。
 
 暮らしている頃はあまりなかった気がするけど、最近では、パリでもポイントカードは当たり前のサービスだ。買い物すると「カード、お持ちですか?」と、よく聞かれる。「いえ、旅行なので」と言うと「作ればいいのに」と、ほとんど言われる。「使わなければ使わないでいいじゃない。タダだから」というわけで、よく行くお店のポイントカードを作るけど、次回、日本から持って行った、ためしがない。
 フランス人の友達が、ポイントカードを出したりするのを見たことはないけれど、お菓子の箱に付いたクーポンとか、ポストに入れられた小冊子についている割引券を手で乱雑に切って、置いておくこともある。まっ、気が向いて、忘れず持って行ったら、使うって感じだ。
 
 そういえば、郊外の一軒家の友達の家には、某インテリアショップの小冊子がよく投函されていた。日本でも人気のあそこだ。だいたい見ないで捨てられることが多いけれど、狭い部屋を有効に使える、子供用のロフト式のベッドが付いた勉強机は人気があると言っていた。はしごを使って登るベッド、その下に机、のよくあるやつだ。そう、そう、小さい子供のいるアパートでよく見かけた。好き嫌いは別として、その頃から色の感覚はやっぱり日本の感覚とは違うな、と感心したものだ。あっ、そうだ、フランスのブランドではないけどね。

2014/11/27

たばことマナー


 フランス人女性にとって、切っても切れないものって言えば、煙草だろう。ほとんどのフランス人女性は一度は吸ったことがあるんじゃないかと思う。私の友達もみんなそうだ。やめた友達、普段は吸わないけど飲むときだけ吸うとか、みんな様々だ。
 
 フランスの分煙はだいぶ進んだけれど、ひと昔前までは町行く人みんな、歩き煙草でポイポイ、道に吸い殻を捨てる。それが日常の行為なわけだから、誰も疑問に思わず、ポイポイ捨てる。今考えると異常な行動だけど、多数派なほうが普通だと思っていたのだから、変な話だと思う。
 まぁ、それは置いといて、これまた変なことは、全く知らない人に「たばこ1本ちょうだい」と言うことだ。町を歩いている時でも、Caféのテラスでくつろいでいる時でも、いつなんどきでも、たばこをせがまれる。これまたみんな、これを断らない。言われるがままに1本、差し出す。
 ずいぶん前から、日本よりはるかにたばこ代も高かった。でも、何だろう。マナーというのか、習慣とでもいうのか、断る人はほとんどいないのだ。ほんとに不思議だ。納得いかないのは、高校生が「たばこ、ちょうだい」と言ってきて、それを断ると文句を言うことだ。文句言われる筋合いはない、と思うんだけどな。
 
 もう、すっかりやめてしまったから、今の現状はわからないけど、どんどん値上がりするたばこ代にビビってか、ちょっとずつ、ちょうだいって言うフランス人も減ってはきてたなぁ。
 ちなみに、フィルターのないたばこと巻きたばこ、メンソールのたばこはいらない、って断ってくる。何だ、なんだ、図々しい。

2014/11/26

Papier d'arménie



 フランスでは昔からふつうにあって、なのに日本では何だかおしゃれに売られていたりして、びっくりするものがよくある。
 
 Embryolisse(アンブリオリス)という、チューブ式の保湿クリーム。さて、これって、フランスでは街角の薬局とか、スーパーMonoprix(モノプリ)に併設された化粧品売り場にもふつうに売られているものだ。これに似たクリームもいーっぱい出ていて、どれがどれだか、わからなくなりそうなくらいパッケージが似ているものも多い。
 このクリーム、フランス人女性にはなくてはならないもの。乾燥が激しいフランスでは、こんな風なクリームをたっぷりと塗る。ほんとに信じられないくらい大量に出して、顔に隈無くたっぷりと塗るのだ。そんな友達の姿を見つつ、ちょっと興味を持ったのが始まりだった。使い始めると使い勝手がよい。そして、何より安い。フランスだと、1000円ちょっとで買えてしまう。
 その後、みるみるうちに日本のおしゃれ雑誌で取り上げられるようになって、あっという間に有名になった。たぶん、フランス人の友達が使っているのを見た、誰かが紹介して、また誰かが紹介して、と続き、いつの間にか、日本で使う人が多くなっていったのだろう。これには、フランス人もびっくりだ。

 紙のお香もそう。Papier d'arménie(パピエ ダルメニィ)と言われるこれは、小冊子になっていて、切れ目に沿って切り取り、蛇腹の形に折って火を点ける。においもよいけれど、部屋の消臭、殺菌もできるから、フランスの家庭では昔から使われているらしい。昔はいわゆる、金物屋さんに売られている感じだったのだけど、今はセレクトショップとか、雑貨屋さんにも売られている。
 いやー、これはちょっと寂しい。友達が手紙をくれる度に、封筒にひっそりとしのばせてくれていた。ふたりの秘め事みたいでうれしかったのに。。今はみんな知ってるんだもんなぁ。

2014/11/25

ユーロスター


 またまた、パリからのロンドン旅行の話。パリに暮らし始めてすぐ、日本から友達がやってきた。海外なんか絶対行きたくない、と言い続けていた友達が意を決してやってきた。一週間ほどの滞在だけど、何とか楽しい旅になるようにしてあげたい。あちこち連れて行ってあげるも、友達は言葉もわからないうえに、楽しいけれど毎日歩き回って疲れて、旅半ばでもうすでにヘトヘト。ちょうど他の友達がロンドンに仕事でやって来るってことで、急遽、あちらで合流することになった。今回はユーロスターと呼ばれるTGVで行くことにした。その頃はロンドンまで3時間くらい。今は2時間ちょっとで行けるらしい。
 
 もちろん、友達は初めてのロンドン。パリ散歩で慣れたのか、急ぎ足の散策にも音をあげず、行きたいところ、見たいもの、買いたいものを堪能した。後ろ髪を引かれながらも余裕を持って、その頃まだ始発駅だったウォータールー駅へ向おうとした。
 でも、友達が名残を惜しむように、もう少し回りたいと言う。「タクシーを使って駅に行けば大丈夫じゃない?」ちょっと不安を感じつつ、残りの時間も有効に使い切り、駅へ向かおうとしたところ、タクシーが捕まらない。。えーっ、うそー。やっと捕まったと思ったら、ちょっとした渋滞にはまってしまった。最悪の状況も想定していたけど、ギリギリセーフで改札へ。でも乗り場まではまだまだ遠い。もう、終わったなと思った瞬間、スタッフの人が、トランシーバーで出発するはずの列車に連絡を取ってくれている。すぐさま、スタッフが先導してくれ、何とか乗ることができた。こんなことしてくれるんだなぁ、と驚きと感謝。
 
 土曜日の16時以降に出発して翌日の12時までに戻る超弾丸ツアーは往復66ユーロ。格安だし、短い滞在時にはちょうどいいかも。時間ギリギリ遊んで、少々遅れても大丈夫。あっ、うそです、うそ。
 
 

2014/11/24

ロンドン旅行


 パリに暮らしていた頃、ロンドンに何度も出かけた。いくつか理由はあったけれど、ロンドンは音楽の流行にも敏感だったし、マーケットで見つかる古着もパリのものに比べるとガツンと来るものが多くて、刺激にもなった。初めて行った時は東京からのひとり旅だったけど、二度目はパリから友達とだった。ちょうど、その時プロモーションで1番安かった、バスの旅を選んだ。夜、乗ったら朝着くっていう、いわゆる高速バスだ。今だったら、乗らないだろうから貴重な体験だな。

 ちょうど夏の終わり頃、もう朝晩はすっかり冷えてきた頃だった。ロンドン行きのバスに乗り込み、しばらく経った頃、何だか焦げくさいにおいがしてきた。その後すぐに、白い煙がバスの中に立ち込めてきた。車内は大騒ぎになり、バスは一時停車したのだけど、原因はエンジンの故障だったらしい。運転手さんが修理をし、しばらくすると出発する、と言う。替えのバスが来るわけでもなく、ロンドンよりはまだ近いパリに戻るわけでもなく、そのままロンドンに向かって出発となった。で、でも。。まだ少し煙は出ているし、焦げくさいにおいも相変わらず。窓を閉め切っていたら、くさいは煙たいはで、寝てもいられない。でも、初秋の風は骨身に染みる。もう、泣きそうなくらい、つらかった。そんな時、これまたすごいのがフランス人。ひとしきり文句を言った後は「しかたないじゃない」ってことで笑い飛ばしている。 お金返せ〜なんて言う人も無く、ありったけの服を着て、眠りについた。
 翌朝、みんな、疲れながらも笑顔でロンドンに降り立った。何か、大げさだけど、フランス人には、生命力を感じるのよねぇ。世界の終わりが来ても、フランス人だけは生き残りそうな気がする、マジで。。