2015/05/15

中庭


 フランスのアパートには、中庭があることが多い。門扉から見えることもあれば、ドアを開けて廊下を抜けて、またドアを開けると中庭が現れることもある。暮らしている頃は当たり前すぎたけど、今となっては羨ましすぎる。一階に住んでないとそこでくつろぐこともそうないけれど、自分の部屋に戻る時に通る、それだけで気持ちがいいし、窓を開け放って眺めるのも気持ちいい。

 書きながらふと思い出した。パリで初めて暮らしたアパートには大きな門があり、その向こうには結構広めの中庭があったっけ。その中庭を囲むようにアパートが建っていた。なので、向かい側にも棟があり、窓を開けると中庭の向こうの窓が見える構造になっていた。割と距離もあったので近すぎず、でも遠くない位置に隣人の部屋はあった。

 窓を開け放つと気持ちがよくて、天気のよい日には中庭に面した窓を全開にしていた。その日もずっと窓の外を見ていたわけではなかった。なのにいきなり「ジロジロ見るな」と叫ぶ、向かいのフランス人のおじさん。よく見ると、パンツ姿で歩いていた。
 時々、気づいてはいた、おじさんがパンツ一丁でいることを。。いやいや、イケメンでもないし、そんな趣味はない。何を思ったか、おじさんは怒っている。こっちだよ、怒りたかったのは。。

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