2014/12/20

音のする家


 フランスの家はとにかく、音がする。古い床はどんなに静かに歩いても、ギシギシと音がする。ドアは閉めるのにコツがあって、一度では閉まらないから、やっぱり音がする。ぐっと力強く引いて、少し戻して回すとか、その家なりのコツがあるから、それを覚えるまでには時間を要する。
 
 フランス滞在中、友達の家にお呼ばれする時、お泊まりセットを持って行き、心置きなく飲んで楽しむ。でも、次の日の予定によっては、帰らなければならない日もある。そうなると後ろ髪を引かれ、帰りが深夜を過ぎることもしばしば。 いつも泊まるMarieの家では、もうすでにみんな寝てしまい、家の中は静まり返っていることも。。そんな時は静かに、抜き足差し足で玄関を入るのだけど、どんなに静かに息をひそめても、床が軋む音はどうにもならない。一階から二階への階段も難関だけど、Marieの家には三階まであり、そこへ上がるまでの階段は狭くて、さらに音がする。どんなにゆっくり歩いてもだめだ。じゃぁ、と少し早めに歩いてみるけど、ますます音がする。とにかく、どんなに努力しても無駄なのだ。
 きれいで快適な家やアパートもすばらしいけれど、どこもかしこも音のするフランスの家は、時にはひやひやするけれど、何だか落ち着く。音のする家がなつかしい。。
 

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