2014/08/27

Félicitations!


 初めて会ったのは、かれこれ14年前。Eveがまだ、小学生だった頃だ。出会ってから、しばらく文通していた私たちは、遠く日本からやって来た大人と、ノルマンディーに暮らす、恥ずかしがり屋の女の子という関係だった。数年後、ノルマンディーの実家を訪れると、すっかり大きくなったEveは、彼と一緒に帰って来た。目をキラキラさせて「日本ってどんなところなの?」と聞いてきたEveも大人に一歩近づいていた。

 そんなEveが、5年前、Aliceと一緒に日本にやって来た。初めての海外旅行が日本だったEveは、すでに二十歳の立派な大人になっていて、Aliceと共に東京観光を楽しんだ。
 ちょうどその頃、”やっぱり、またパリへ行こう!”の大詰めに差しかかっていた私は、時間的にも気持ち的にも余裕がなく、なかなか一緒に出かけてあげられない日が続いていた。
 ふたりはどんどん東京に馴れていき、日に日に帰りが遅くなっていった。心配だった私は、はじめはやんわり言っただけだったけど、10日ほど経った頃にかなり怒ってしまった。Aliceは少し日本語が理解できたけど、ほとんど喋れない若い女の子が、夜な夜な六本木を遊び歩くなんて、何かあってからでは困る。とりあえず、帰りは必ずタクシーで帰らせたけど、夜遊びは一向に収まらず、何だかいやーな空気のまま、ふたりの滞在は終わった。

 親代わりのつもりで心配だった気持ちと、羽目を外させてあげればよかったかなと思う気持ちが半々だったから、正直、再会するときはドキドキした。ちょっとぎこちなかったような気もするけど、すぐに元の私たちに戻った。女の子がいると、こんなに心配なのね。そんな、子供の頃から見てきたEveが、若くしてママになった。不思議だけど、ほんとにほんとにうれしい。男の子みたいだ。よかったね、女の子だと心配よ、Eve。

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